【R18】まじめ優等生JDと純愛エロ教授の複雑怪奇なお話

scene4

キャスティング

　アカリの書き上げたシナリオは２つのシーンで構成されていた。

　ひとつは教授室のシーン。グロザワがエロ不足に業を煮やしてカットを入れた、その後のシナリオを再構成したものだ。DVD窃盗事件の犯人は、元のシナリオでははじめは、楓に妬みを持つ女子学生・川上ということになっていて、こ」を教授と協同して捕まえて問い詰めるシーンがあったのだが、ここを大幅カットして、一足飛びに黒幕の助教授を登場させ、楓の凌辱シーンに進むことにした。

　このシーンのキャスティングに、アカリは、楓役のなずなは当然として、キーになる助教授役に穴掘を配したいと推してきた。ついさっき失態を犯した穴掘の再配置にグロザワは異論を呈したが、

「大丈夫。なずなちゃんなら、今の穴掘さんでも十分にいけるわ」

　自信ありげなアカリの言葉にグロザワもしぶしぶ頷いた。この現場に穴掘以上の男優がいないことは確かだったし、新人の調教は穴掘の真骨頂でもあった。

　新しいシナリオには新たにエロボケ学生とストーカー学生の二人の男子学生が登場する。エロボケ学生役はエグチ、ストーカー役にはグロザワが指名された。エグチに騙された恨みも含まれているのか、エグチの演じるエロボケ学生は殆ど出番のないモブキャラだったが、一方のストーカー役は、ある意味穴掘助教授を食う存在として描かれていた。

　何と言ってもストーカー学生の持つカメラの役割に注目だ。教授室で繰り広げられるなずなの凌辱シーンが、ストーカー学生のカメラを通じてあの1年の夏の水泳実習の日に繋がっていく。あの夏の日に楓が巻き込まれた事故と、空白の時間。教授が捨てきれなかったDVDの本当の謎。DVDに収められた水泳実習のシーンで楓役を演じるのがアカリである。

　僅か90分で書き上げられたアカリのシナリオ、そのアイデアの先にあるエンディングも含めて、アカリという作家の類稀なる才能と、エロスとの親和性の高さには、AVの鬼を自認するグロザワも舌を巻くしかなかった？これを映像に出来るかどうかの全ては、俺たちの現場に掛かっている。挑まれた。グロザワはこのシナリオをアカリから自分への挑戦状と受け止めた。アカリを女優として起用し、自分も男優として出演するラストシーンは、これまでAVに賭けて来たすべてを費やして臨むより他ない。

「NGも撮り直しもしない」

　アカリの最後の要求はこれだった。全て一発勝負。身体が震えた。しかしこれは武者震いだ。やってやるよ。吠え面かくなよ。終わったらまた、一緒に仕事しようぜ。

（続く）