VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
177 / 199
5ー3:星の線を結んで

◇177 現実の星空

しおりを挟む
「えーっと、確かこの変だったかな?」

 私は一階の奥の部屋。
 物置と化した一室に、私は足を運ぶ。
 正直、床は綺麗にしているけれど、ものが多すぎてヤバい。
 足の踏み場もほとんどない中、私は段ボール箱を開けた。

「あれ、おかしいなー? 捨ててない筈なんだけど」

 私はあるものを探していた。
 けれど中々見つからない。
 もしかして捨てちゃった? と思って諦めかけた。
 
「ん? あっ、あった!」

 私は段ボールの奥の奥。本当に一番下。
 他のものに踏み潰される形で、私は目的のものを見つけた。

「これだ。お母さんが使ってた、星座早見盤!」

 私は両手でシッカリと握った。
 それこそ、お母さんが昔使っていたらしい、星座早見盤。
 今の時代では星の位置も変わっているし、わざわざ実物を使わなくても、電子でいくらでも情報が手に入る。それでもこうして実物を手にすると、何だか感慨深い? のかな。

「懐かしいなー。確か、全然星の位置が違ってたんだっけー」

 私が小学生の時、お母さんがまだ海外の大学で教授をする前のこと。
 その時は、よく分からないものをたくさん見せて貰った。
 その中の一つにこの星座早見盤があって、使ってみたけど全然ダメだった。
 だって、空模様が今と全然違っていたから、星座早見盤の意味が無かった。って、どうしてそんな骨董品を収集しているのかは、お母さんの専門分野だからだ。

「こうやってクルクル回して。あはは、面白いかも?」

 正直、何をモチベーションに面白いのかは分からない。
 だけど今とは違う星模様が浮かび上がっている。
 ネットで昔の情報を探せばすぐなんだろうけど、この手動感がお母さんの血を引いている証拠だった。

「そうだ。今どんな星が出てるかな?」

 私は部屋の隅っこを見た。
 そこにはちょっといい天体望遠鏡が置かれている。
 一応埃は払っているけれど、使えるかな? 私はお母さんに教えて貰った使い方を思い出すと、一応メンテナンスはしつつ、二階に持ち運んだ。

「この部屋でいいかな?」

 私の家は、使って無い部屋がもの凄く多い。
 そのうちの一つ、唯一ベランダが付いた部屋。
 扉を開け、窓を開けると、天体望遠鏡を置いた。

「うーん、うん。星が見える!」

 空は澄み切ってはいないけど、美しかった。
 現実の夜空は、街の灯りや排気ガスで少し曇っている。
 それでも星は輝いていて、あんまり星座には詳しくないけど、とりあえず天体望遠鏡を覗き込む。

「さてと、今日はどんな空模様かな?」

 私は夜空を見つめた。
 鏡越しに映り込む眩しい星の光。
 よく分からないけど美しい。私は綺麗だなと、あまりにもシンプルな感想を浮かべた。



 カタカタカタカタ!

 暗い部屋の中。大量のディスプレイからブルーライトの光が飛び交う。
 私は一人、ジッと見つめている。
 何度も何度も瞬きをしながら、大量の写真データと睨めっこだ。

「クソッ、どれだ?」

 私が探しているのは、例の壁のシミの謎。
 恐らくは天体図なのは間違いない。
 しかし何処の空模様なのか分からないので、一つ一つ調べる羽目になった。

「現実のものではないだろうな。だが、あの世界の何所だ?」

 私は正直苦戦を強いられていた。
 そもそもの話、太陽の古代遺跡に到達しているのは私達だけ。
 つまりは情報が皆無。ネットの海をいくら潜っても、見つかる筈がない。

 そのせいか、私は苦悶の表情を浮かべた。
 唇を噛み、イライラした顔をしている。
 けれどそれを選んだのは私なので、この苦行を乗り越えるしかない。

「苦行だな」

 これも一つのタスクだ。
 そう思えば、いつもと大差はない。
 的確なタスクマネジメントを使えば、上手い具合に処理が利く。

「とは言え、もう少しだな」

 何も闇雲に探し回っている訳ではない。
 いつも以上に時間は掛かったが、私の脳はシッカリと働いている。
 おかげで欲しい情報までの最短距離を進んでいた。

「そもそも、太陽の古代遺跡は他のダンジョンとは異なっている。つまりは、星の動きも固定じゃない。そうなれば、似たような場所を探せば、自然と答えは出るだろ」

 今回の謎を解くためのミソ。それこそ、太陽の古代遺跡と同じような仕組みの場所を探すのだ。
 今回の太陽の古代遺跡も、シャンベリ―も。どちらも現実とリンクするダンジョン。
 即ち時間経過や時間固定が存在しているので、それと同じ仕組みの場所を探せば、自然と答えは導き出される。

 現に固定された星空や逆に現実と密接にリンクしている天体図は見つかった。
 これらの中、より一層限定的にする。
 太陽の古代遺跡の天窓。アレが最大のヒントになる。

「天窓から取り込む月の光。月明かりをメモリで特定するのなら、星の動きが同じでなければいけない。つまりは闇雲な天体図では意味が無いってことになる」

 天窓から月明かりを得なければいけない。
 光源が決まっている以上、あのメモリの真相は星の位置関係。
 それを把握しなければいけないからこその、壁のシミ。
 それらを天体図に落とし込み、私は更に検索タグを絞る。

「そうなると、同じ条件下の場所が、何処かに必ずある筈だ」

 一つ一つ項目を選び、要素を増やす。
 すると目的までの最短距離が道として表れる。
 私はキーボードを高速で打つと、ディスプレイには、とんでもない量の文字列が羅列されていた。

「そして、ここが!」

 私はキーボードのEntreを押した。
 カチッ! と気持ちの良い音がする。
 指先から伝わり、ディスプレイに検索結果が照合結果が表示された。

「やはりな。この場所なら、同条件だ」

 ディスプレイ上に表示された画像。
 映像はないものの、木々に覆われた山が映し出されている。
 如何やらここなら同条件のデータが取れるらしい。

「きっとこの場所で待機すれば答えが導き出される筈だ」

 この場所なら、狙った情報が得られる可能性が高い。
 あくまでも可能性の話だが、比率を上げるには充分。
 まずは前段階が終わった。これでお終い、かと思えばそんなに容易くはない。

「とは言え、調べることはまだまだたくさんあるな。天候、気温、後は位置関係。日にちも重要だな。特に月、新月の日を除くとなると、調べる項目は多いな」

 場所を特定できても、まだやることは多い。
 決まった時間がないのなら、その分条件が増えてしまう。
 ディスプレイにはグラフが表示され、タスクが幾つも重なっている。
 これら全てを調べ上げなければ、情報としての整合性が取れない。
 明輝達ができる訳ないので、私がやるしかなかった。

「ふぅ。さて、もう少し作業を続けようか」

 私は軽く伸びをした。
 凝り固まっていた体がバキバキと唸り声を上げる。
 できれば深夜までは時間を掛けたくない。そんなことをすれば、世鴉よがらに何を言われるか分からないので、私は適度に休息を摂りながら作業を続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

処理中です...