VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
76 / 199
2ー3:ユニゾンハートは止まらない

◇76 凶悪過ぎるスキル

しおりを挟む
「なるほどな。それがお前のもう一つのスキルか」
「うん、あんなスキルだったなんて、知らなかったよ」

 ベンチに座り、アキラは溜息を付いた。
 【ユニゾンハート】というスキル。初めて使ったのだが、あそこまで強いとは思わなかった。
 むしろ、如何強いのかは傍から見ても分からない。
 それでも、アキラ自身は分かっていた。

「ねぇねぇ、どんなスキルなのー?」
「えっとね、確か……あれ?」

 私はスキルを改めて確認しようとした。
 Nightとフェルノにも見せてあげようと思ったんだ。

 だけど、私がメニューを開き、ステータスを開いた。
 そこでスキル欄を確認しようとするも、何故か、【ユニゾンハート】だけが再び読めない。


固有スキル:【ユニゾンハート】
条件:unknown
説明:unknown


「読めなくなってる……」
「「はい!?」」

 私にだけ伝わって、二人には決して伝わらない。
 そのせいか、説明のしようもない。
 一体全体どうなってるの? 私は首を捻るが、Nightは気を取り直す。

「あー、こほん。よく分かった。お前の二つ目のスキル、それは極めて厳しい条件付きスキルってことだ」
「条件付きスキル?」
「そうだ。スキルの中には、“条件”が含まれている。その中でも、特に記載の無い、プレイヤー自身で見つけなければ仕様すらできない、条件付きスキルが存在している。お前の二つ目の固有スキルは、まさにそれに該当するな」
「へ、へー」

 Nightに淡々説明されてしまったとは言え、納得はできない。いや、したくない。
 肝心の条件もあやふやで、私は茫然とする。
 それでも、必死に思い返してみると、私はポツリ呟いた。

「もしかして、意識を失ったから?」
「やっぱりお前、あの瞬間……」
「意識なかったの!? ヤバいじゃんかー」
「う、うん。でも大丈夫だったよ?」

 私は意識を失いかけていた。
 深層心理の世界に意識が消えると、スキルが答えてくれた。
 モノクロちゃんの言葉が過ったけど、多分それがトリガーじゃない。
 問題は、スキルがどんな条件で使えたのかじゃなくて、スキルがどうしてあれだけ危険なのかだ。

「今考えるべきは、スキルがどうしてあんなに強力だったのかだよ」
「協力というより、凶悪だな」
「ううっ……それは言わないでよ」

 確かに強力を通り越して、凶悪そのものだった。
 私のことを見ていた人達が《合成獣》とか言って、恐れ戦いていた。
 完全に化物扱いで、私はそれなりに傷付いた。

「どうして、どうしてみんな……」
「アキラ、お前共鳴シンクロ体質じゃないのか?」
「な、なにそれ?」

 Nightは思い付いた言葉を呟く。
 もちろん私に分かる筈もない。
 ポケーッと聞いていると、Nightは簡単に説明する。

「驚いたな、まさか本当にいるなんて」
「ん?」
「共鳴現象は、百万人に一人の割合と言われる、特異的な体質だ。先天的なもので、他者とやAIとの共鳴を可能にする。これが使える人間は、それだけ精神・身体能力が直接ダイレクトに伝わり、より高い効果を発揮する。それも相まって、普段なら滅多に起こらない、メンタルブレイクまで起きたんだろうな」
「メンタルブレイクって?」

 もう一つ新しい言葉が出て来る。
 一体なんのことかな? 私はポカンとすると、Nightはマジかな顔になる。

「お前、HPの下のバー、なんだと思っていたんだ?」
「えっ、MPでしょ? マジックポイント」
「この世界に、マジックポイントは存在しない。アレは、メンタルポイント。つまり、精神指数を表すものだ」
「め、メンタルポイント?」

 今まで全然気にも留めて来なかった。
 確かに、MPが消費されることは全然無かった。
 なのに、リボルグさん達はHPよりもMPの方が先に減っていた。
 しかも私の攻撃の直後で、魔法なんて使う素振りも無かった。

「メンタルポイントは、その人間の精神を数字化したものだ。基本的に、MPは例外成長しない。それに加えて、MPは恐怖を感じたり・強い精神エネルギー・共鳴者による精神攻撃を受けることで減少する」
「共鳴者って、私のこと?」
「そうだ。プレイヤー・NPCにのみ適応されるもので、モンスターには存在しない。完全にPvP用の項目だが、この数字が〇になることでメンタルブレイクと呼ばれる状態になる」
「メンタルブレイク……なんだか嫌な響きだね」
「まあな。メンタルブレイクされた相手は、精神を粉々に破壊される」
「ん?」
「粉々に破壊され、精神が砕け散る。すると簡単に言えば、心に隙間を感じたり、うつ状態、最悪の場合廃人になる例もある。それだけ今のVRゲームは肉体や精神に影響を及ぼす証拠だ」

 サラッとヤバいことを口にしていた。
 それじゃあ私のせいで、リボルグさん達は……考えれば考える程、顔色が悪くなる。
 青から紫になると、次第に白っぽくなった気持ちだ。

「それじゃあ私のせいで……」
「お前のせいじゃない。共鳴者は既に認知されていて、論文上でも法律上でも罪には問われない。それは個人の特有の個性だ。むしろ、メンタル部励起されることによって生じるものは、悪いものだけじゃない。直接相手の精神を叩くんだ。真逆の状態、ローでは無くハイにすることも可能。どう転ぶかは、共鳴者とメンタルブレイクされた個人の問題だ。お前が気にすることじゃない」
「で、でも……」

 そうは言っても、もし私のせいでリボルグさん達になにかあったらと思うと、気が気じゃない。
 人差し指を付けたり離したりするも、フェルノは私の手を掴む。
 キラキラした瞳で私のことを見つめると、腕をブンブン振り回す。

「凄いね、アキラ! やっぱりアキラって強いよ」
「フェルノ」
「ずーッと言ってたでしょ? アキラってさ、強いし凄いって。だって、自分よりも体の大きな人でもKOしちゃうくらいだもんねー」
「それ、ゲームの話か?」
「ううん、現実!」
「フェルノ、それは言わないでよ。私だって、悪気があった訳じゃないんだから……」

 あー、思いだしたくもない私の黒歴史を晒さないでよ。
 私は恥ずかしさのあまり小さくなるも、まるで気にしないフェルノに救われる。
 ニコッとした笑みもあるが、何よりも手が温かい。

「それより私が気になるのは、どうしてNightのスキルが使えたのかだよ!」
「そうだな。私もそれが気になる」
「えっ、ちょ、そんないっぺんに言わないでよ」
「どうして私の「Nightのスキルが使えたの?」たんだ!」

 私は一つ山と谷を超えたのに、もう一つに差し掛かる。
 このままじゃ質問攻めだ。
 何も答えを持っていない私はてんでさっぱりな中、二人に問われた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...