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26話 桃の香りの鷲①
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桃の香りがする鷲。
そんなのがいたら如何する?
桃の香りのする、美味しいお肉だよ? もしもそんなフレッシュな魔物がいたら、きっと高値だよね。そう、八百ギルはくだらないよ。
そんな魔物の名前と、生息域はね。
「そっち行ったよ、リーファさん!」
「わかりました。くっ、かなり速いですね」
僕たちはまたまた森の中を走っていた。
だけど今日はちょっと違う。
まるで間引きされた、それこそ人の手で手を加えたんじゃないかと勘違いしてしまうほど、木と木の間に隙間のような間隔が取られた、変わった森の中だった。
その森を気配を消しながら接近する僕と、風を使って体力を最小限にするリーファさん。
この二人で木々に傷をつけないように、慎重に走っていた。
そう、走っていた。何故かって?
「いけっ!」
僕はベルトからナイフを取り出すと、空目掛けて打ち上げた。
しかし敵にはまるで届かない。
いや、獲物には届きもしない。
「あちゃ。これでも駄目か」
「空を飛んでいますからね、ピーチイーグル」
ピーチイーグル。
桃のように膨れ上がった頬が特徴的で、かなりの高級食材。
頬肉が絶品で、最高に美味いらしい。
だけど全身から漂う、甘い桃の匂いが、貴族たちの間で流行っているそうだ。
でも乱獲はできない。
いくら高い値段がついたとしても、生態系を完全に破壊するのは、国的にも政府的にも駄目だった。
そこで僕たちみたいな冒険者は、決められた人が代わりに依頼を引き受けることになっている。
それで、何故かいつも僕はそれが多い。あまりに頻度が高いんだ。
「これって信頼なのかな? それとも面倒な役目を押し付けられてるだけ? うえっ。それなら、嫌だなー」
少し長めな独り言を吐いた。
とは言え投げ出したりはしないよ。
だからこそ僕は、
「リーファさん、風で先読みできる? ピーチイーグルがどこに止まるとか?」
「やってみます」
そう言うと走りながら目を閉じた。
神経を研ぎ澄ませて、風を読む。
僕には流石にできない芸当だ。何せ僕は魔法は……
「風の音は止みませんか。羽音も止まる気配もなし。駄目です、天月君。ピーチイーグルが止まる気はしません」
「そうだよね。だって逃げてるんだもん」
小さな声で、「すみません」が聞こえてきた。
でもリーファさんのせいじゃない。あれは野生の勘ってことだ。でもまさか、先制を外すなんて……
「リーファさん、僕が先行するから、風で思いっきり飛ばしてくれていい?」
「えっ? 何をですか?」
「もちろん、これだよ」
僕はナイフを見せびらかした。
しかしその先にはワイヤーが張ってあって、何か意図があるのは、すぐに察しがつく。
僕はリーファさんの実力を信じている。
いや、信じていたから、これを見せびらかしたんだ。今回の奥の手といきましょう。
そんなのがいたら如何する?
桃の香りのする、美味しいお肉だよ? もしもそんなフレッシュな魔物がいたら、きっと高値だよね。そう、八百ギルはくだらないよ。
そんな魔物の名前と、生息域はね。
「そっち行ったよ、リーファさん!」
「わかりました。くっ、かなり速いですね」
僕たちはまたまた森の中を走っていた。
だけど今日はちょっと違う。
まるで間引きされた、それこそ人の手で手を加えたんじゃないかと勘違いしてしまうほど、木と木の間に隙間のような間隔が取られた、変わった森の中だった。
その森を気配を消しながら接近する僕と、風を使って体力を最小限にするリーファさん。
この二人で木々に傷をつけないように、慎重に走っていた。
そう、走っていた。何故かって?
「いけっ!」
僕はベルトからナイフを取り出すと、空目掛けて打ち上げた。
しかし敵にはまるで届かない。
いや、獲物には届きもしない。
「あちゃ。これでも駄目か」
「空を飛んでいますからね、ピーチイーグル」
ピーチイーグル。
桃のように膨れ上がった頬が特徴的で、かなりの高級食材。
頬肉が絶品で、最高に美味いらしい。
だけど全身から漂う、甘い桃の匂いが、貴族たちの間で流行っているそうだ。
でも乱獲はできない。
いくら高い値段がついたとしても、生態系を完全に破壊するのは、国的にも政府的にも駄目だった。
そこで僕たちみたいな冒険者は、決められた人が代わりに依頼を引き受けることになっている。
それで、何故かいつも僕はそれが多い。あまりに頻度が高いんだ。
「これって信頼なのかな? それとも面倒な役目を押し付けられてるだけ? うえっ。それなら、嫌だなー」
少し長めな独り言を吐いた。
とは言え投げ出したりはしないよ。
だからこそ僕は、
「リーファさん、風で先読みできる? ピーチイーグルがどこに止まるとか?」
「やってみます」
そう言うと走りながら目を閉じた。
神経を研ぎ澄ませて、風を読む。
僕には流石にできない芸当だ。何せ僕は魔法は……
「風の音は止みませんか。羽音も止まる気配もなし。駄目です、天月君。ピーチイーグルが止まる気はしません」
「そうだよね。だって逃げてるんだもん」
小さな声で、「すみません」が聞こえてきた。
でもリーファさんのせいじゃない。あれは野生の勘ってことだ。でもまさか、先制を外すなんて……
「リーファさん、僕が先行するから、風で思いっきり飛ばしてくれていい?」
「えっ? 何をですか?」
「もちろん、これだよ」
僕はナイフを見せびらかした。
しかしその先にはワイヤーが張ってあって、何か意図があるのは、すぐに察しがつく。
僕はリーファさんの実力を信じている。
いや、信じていたから、これを見せびらかしたんだ。今回の奥の手といきましょう。
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