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灰色の魔女
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体を取り戻したグレイス。
ハイツクバルものを見据えると、余裕な態度を見せた。
「来るなら来い」
(グレイスちゃん、そんな挑発しちゃダメだよ!)
もちろん、真心は否定的だった。
しかし、グレイスは一切姿勢を崩さない。
むしろ全身から溢れ出るエネルギーを飛ばすと、ハイツクバルものを威圧した。
「マホウツカイ……オマエ、マホウツカイ、カ?」
ハイツクバルものは、警戒をしていた。
グレイスに訊ねるも、表情は一切変えない。
さらに、声も出さず、威圧をした。
「とっとと来い。終わらせるぞ」
ハイツクバルものは怖がる。
マヤカシが怯えてしまい、このままでは、埒が明かない。
(グレイスちゃん、マヤカシが怖がってるよ?)
「そうだな。とはいえ、それも仕方が無いだろう」
グレイスは自分の実力を知っている。
それは目の前のマヤカシを怯えさせるには充分な程だ。
そのせいだろうか? ハイツクバルものは、遠巻きに逃げようとする。
「させるか」
けれどグレイスは威圧した。
ハイツクバルものを睨みつけ、魔法を唱えずに萎縮させる。
「どうだ?」
(凄いけど、怖いよ……)
「なっ!? それは心外だぞ」
(ごめんなさい。でも、ハイツクバルものだっけ? 逃げちゃうかもしれないよ?)
ハイツクバルものは、今にも逃げようとした。
流石のマヤカシ。本能に忠実だ。
「逃しはしない」
グレイスは左手を上げた。
すると何処からともなく、空中に、灰色の弾丸が生まれた。
「灰の銃」
(急にファンタジー! 空中に、灰色の弾丸が生まれたよ!?)
真心は驚いた。
口が饒舌に回ると、ツッコミが冴えた。
「ソレ、イヤダ。ク、クルナ!」
「私からは行かない。引き金は引き終えた。後は、仕留めるだけだ」
グレイスがそう言い切ると、弾丸は放たれる。
宙を回転しながら突き進むと、ハイツクバルものを追う。
その軌道からは逃げられない。
ましてや逃しはしない。
灰の銃は、ハイツクバルものを何処までもホーミングする。
「ク、クルナ! クルナ、クルナ!」
「無駄だ」
グレイスの宣言通りだった。
灰の銃は、何処までも追っていく。
ハイツクバルものの脳天を後ろからぶち抜くと、小さな風穴を開けた。
「イ、イタイ、イタイイタイイタイイタイ、クルシイ、クルシイクルシイクルシイクルシイ!」
「そうだろうか。だが、これで見えた」
グレイスは冷淡に呟く。
するとハイツクバルものの額にがピキンと割れる。
亀裂が入ると、ヘンテコなマークが浮かび上がる。
(ぐ、グレイスちゃん。こ、怖すぎるよ)
「だが、これで浮かび上がった」
(浮かび上がった?)
「ああ。アレが妖印だ」
ハイツクバルものの額にマークが浮かんでいる。
それこそが妖印。
マヤカシ共通の弱点で、そこを抑えれば、マヤカシは消滅する。
「さて、真心、よく見ていろ」
(どうする気?)
「決まっているだろ。こうするんだ!」
グレイスはそう言うと、素早く動いた。
動きの鈍ったハイツクバルものは、すでに虫の息。
そんな相手にも容赦はせず、ポケットから飛び出した、一枚の紙切れを額に押し当てた。
「“封”!」
「ウガガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ハイツクバルものは断末魔を上げた。
真心は、グレイスの中で、その声を聞く。
痛い、苦しい。だけど徐々にか細くなると、ハイツクバルものの姿が、紙切れの中に収まっていく。
(どうなってるの、これ?)
真心は理解不能になる。
あまりにも要素が多過ぎて、頭が熱でいっぱいだ。
眩い閃光に包まれながら、ハイツクバルものの姿は完全に紙切れの中に閉じ込められと、それ以上、妙な空気は無くなった。
この一瞬で、なにが起きたのか。
勝負はあっけなく、しかもすぐに終わった。
真心はポケーッとなるが、グレイスが勝ったことだけは、守ってくれたことだけは、なによりも伝わった。
ハイツクバルものを見据えると、余裕な態度を見せた。
「来るなら来い」
(グレイスちゃん、そんな挑発しちゃダメだよ!)
もちろん、真心は否定的だった。
しかし、グレイスは一切姿勢を崩さない。
むしろ全身から溢れ出るエネルギーを飛ばすと、ハイツクバルものを威圧した。
「マホウツカイ……オマエ、マホウツカイ、カ?」
ハイツクバルものは、警戒をしていた。
グレイスに訊ねるも、表情は一切変えない。
さらに、声も出さず、威圧をした。
「とっとと来い。終わらせるぞ」
ハイツクバルものは怖がる。
マヤカシが怯えてしまい、このままでは、埒が明かない。
(グレイスちゃん、マヤカシが怖がってるよ?)
「そうだな。とはいえ、それも仕方が無いだろう」
グレイスは自分の実力を知っている。
それは目の前のマヤカシを怯えさせるには充分な程だ。
そのせいだろうか? ハイツクバルものは、遠巻きに逃げようとする。
「させるか」
けれどグレイスは威圧した。
ハイツクバルものを睨みつけ、魔法を唱えずに萎縮させる。
「どうだ?」
(凄いけど、怖いよ……)
「なっ!? それは心外だぞ」
(ごめんなさい。でも、ハイツクバルものだっけ? 逃げちゃうかもしれないよ?)
ハイツクバルものは、今にも逃げようとした。
流石のマヤカシ。本能に忠実だ。
「逃しはしない」
グレイスは左手を上げた。
すると何処からともなく、空中に、灰色の弾丸が生まれた。
「灰の銃」
(急にファンタジー! 空中に、灰色の弾丸が生まれたよ!?)
真心は驚いた。
口が饒舌に回ると、ツッコミが冴えた。
「ソレ、イヤダ。ク、クルナ!」
「私からは行かない。引き金は引き終えた。後は、仕留めるだけだ」
グレイスがそう言い切ると、弾丸は放たれる。
宙を回転しながら突き進むと、ハイツクバルものを追う。
その軌道からは逃げられない。
ましてや逃しはしない。
灰の銃は、ハイツクバルものを何処までもホーミングする。
「ク、クルナ! クルナ、クルナ!」
「無駄だ」
グレイスの宣言通りだった。
灰の銃は、何処までも追っていく。
ハイツクバルものの脳天を後ろからぶち抜くと、小さな風穴を開けた。
「イ、イタイ、イタイイタイイタイイタイ、クルシイ、クルシイクルシイクルシイクルシイ!」
「そうだろうか。だが、これで見えた」
グレイスは冷淡に呟く。
するとハイツクバルものの額にがピキンと割れる。
亀裂が入ると、ヘンテコなマークが浮かび上がる。
(ぐ、グレイスちゃん。こ、怖すぎるよ)
「だが、これで浮かび上がった」
(浮かび上がった?)
「ああ。アレが妖印だ」
ハイツクバルものの額にマークが浮かんでいる。
それこそが妖印。
マヤカシ共通の弱点で、そこを抑えれば、マヤカシは消滅する。
「さて、真心、よく見ていろ」
(どうする気?)
「決まっているだろ。こうするんだ!」
グレイスはそう言うと、素早く動いた。
動きの鈍ったハイツクバルものは、すでに虫の息。
そんな相手にも容赦はせず、ポケットから飛び出した、一枚の紙切れを額に押し当てた。
「“封”!」
「ウガガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ハイツクバルものは断末魔を上げた。
真心は、グレイスの中で、その声を聞く。
痛い、苦しい。だけど徐々にか細くなると、ハイツクバルものの姿が、紙切れの中に収まっていく。
(どうなってるの、これ?)
真心は理解不能になる。
あまりにも要素が多過ぎて、頭が熱でいっぱいだ。
眩い閃光に包まれながら、ハイツクバルものの姿は完全に紙切れの中に閉じ込められと、それ以上、妙な空気は無くなった。
この一瞬で、なにが起きたのか。
勝負はあっけなく、しかもすぐに終わった。
真心はポケーッとなるが、グレイスが勝ったことだけは、守ってくれたことだけは、なによりも伝わった。
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