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◇66 初日は、森林2
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釣竿を手にした。
きっと大丈夫、この間は魚がいなかったんだ。
アキラは釣竿を川の中に放り込み、じっと待つことにした。その姿を、フェルノはポカンとして、木の上から見ていた。
「何やってるんだろ」
傍から見れば、急に釣りを始めた人だ。
突然すぎて瞬きしてしまう。
しかし、アキラは大真面目で、真剣に釣りをしていた。
「あの魚、モンスターじゃなさそうだもんね。きっとかかるはず……」
アキラはじっと待った。
それにそこまで時間はかからないと思っていた。
何故なら、ああやって食事を取るということは、つまりお腹が減っている。しかしさっきの魚が食べたのは食べられないメダルだ。そんなものを食べても、お腹は満たされない。考えるまでもない話だ。
「って、何でも食べる系の魚だったら、駄目なんだけどね」
魚によっては、何でも食べるのだっている。
仮に食べられなくても、お腹に入れば何でもいいのだっているので、よく漁船に乗って魚を取る番組で、お腹を捌いたらペットボトルキャップが出てくることだってあったはずだ。
でもこんなところにいないことを賭けるしかない。
「お願い。釣れてよ……ねっ!」
糸が引っ張られた。
かなり重たい。さっきの魚そんなに大きくなさそうなのに、この引きの強さは異常だ。それにこの感じは石に引っかかったのでもない。つまり、狙っていたのとは違うのか。ここからじゃよく見えなかった。
「アキラ、マズいよ!」
「フェ、フェルノ? 何が見えるの!」
「モンスターがかかってる。さっき魚が針にかかった時に、その魚に噛みついてた」
「モンスター? って、負けてられないよ。って、お、落ちる!」
アキラは引っ張られた。
体重を落としているのに、苔で足が取られる。じりじりと引き寄せられてしまった。
しかしアキラも無理矢理にでも、耐えている。でも、
「うわぁ!」
「アキラ。燃え上がれ、私の炎。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
フェルノは、両腕に炎を集めた。まるでバーニアのように、燃え盛る。
風圧が生まれて、爆風に変わると、フェルノはまるで警戒もせずに木の上から飛び降りた。
川の中に落ちる。そうはならずに、川に引きずり込まれかけていたアキラを釣竿ごと、岸に押し上げる。
「うわぁ!」
バシャン……ピチ、ピチピチピチピチピチ! ——
「はぁはぁはぁはぁ。ありがと、フェルノ」
「危なかったよねー。あのまま落ちてたら、流されてたかも」
「ほんとありがと。でも、これでようやく……なにこれ?」
「だからモンスターだよ。無事釣れたね」
フェルノは笑顔で言ってくれた。
しかしアキラは表情を曇らせる。釣れていたのは、分厚い下顎をした魚のモンスターで、怖かった。
こんなのが釣りたかったわけじゃないから、喜べない。と言うか、本当に釣りたかった魚がいない。
「ね、ねえ。フェルノ、上から魚見えなかった?」
「魚? 確か食べられてたよ。もしかして、こういうことかな?」
フェルノは、釣り糸を拾ってみせた。
でも釣り針がなくなっている。これはまさか……
「もしかして、噛み切られた?」
「髪切られた?」
「ほぉ、バリバーアロワナか。なかなか珍しいモンスターじゃないか」
Nightが戻ってきた。
その手には残念だけど、収穫はなし。
如何やら、メダルは最初の一枚のみだった。
「「バリバーアロワナ?」」
「かなり珍しいモンスターだ。しかし、虹の鱗まであるじゃないか。希少な、バリ喰いの牙もある。誰が釣ったんだ?」
「「はい」」
アキラは自分を、フェルノはアキラを指さした。
するとNightは慰めを込めて、肩にポンと手を置き、励ました。
「大丈夫だアキラ。メダルよりも価値がある」
「う、うん。で、でもメダルが……」
「大丈夫だ。明日は違うところに行くぞ」
「う、うん」
「頑張れ、アキラ」
アキラは何を頑張れと? と首を傾げる。
しかしNightもフェルノも優しかった。
如何やら、アキラは運がいいらしい。
きっと大丈夫、この間は魚がいなかったんだ。
アキラは釣竿を川の中に放り込み、じっと待つことにした。その姿を、フェルノはポカンとして、木の上から見ていた。
「何やってるんだろ」
傍から見れば、急に釣りを始めた人だ。
突然すぎて瞬きしてしまう。
しかし、アキラは大真面目で、真剣に釣りをしていた。
「あの魚、モンスターじゃなさそうだもんね。きっとかかるはず……」
アキラはじっと待った。
それにそこまで時間はかからないと思っていた。
何故なら、ああやって食事を取るということは、つまりお腹が減っている。しかしさっきの魚が食べたのは食べられないメダルだ。そんなものを食べても、お腹は満たされない。考えるまでもない話だ。
「って、何でも食べる系の魚だったら、駄目なんだけどね」
魚によっては、何でも食べるのだっている。
仮に食べられなくても、お腹に入れば何でもいいのだっているので、よく漁船に乗って魚を取る番組で、お腹を捌いたらペットボトルキャップが出てくることだってあったはずだ。
でもこんなところにいないことを賭けるしかない。
「お願い。釣れてよ……ねっ!」
糸が引っ張られた。
かなり重たい。さっきの魚そんなに大きくなさそうなのに、この引きの強さは異常だ。それにこの感じは石に引っかかったのでもない。つまり、狙っていたのとは違うのか。ここからじゃよく見えなかった。
「アキラ、マズいよ!」
「フェ、フェルノ? 何が見えるの!」
「モンスターがかかってる。さっき魚が針にかかった時に、その魚に噛みついてた」
「モンスター? って、負けてられないよ。って、お、落ちる!」
アキラは引っ張られた。
体重を落としているのに、苔で足が取られる。じりじりと引き寄せられてしまった。
しかしアキラも無理矢理にでも、耐えている。でも、
「うわぁ!」
「アキラ。燃え上がれ、私の炎。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
フェルノは、両腕に炎を集めた。まるでバーニアのように、燃え盛る。
風圧が生まれて、爆風に変わると、フェルノはまるで警戒もせずに木の上から飛び降りた。
川の中に落ちる。そうはならずに、川に引きずり込まれかけていたアキラを釣竿ごと、岸に押し上げる。
「うわぁ!」
バシャン……ピチ、ピチピチピチピチピチ! ——
「はぁはぁはぁはぁ。ありがと、フェルノ」
「危なかったよねー。あのまま落ちてたら、流されてたかも」
「ほんとありがと。でも、これでようやく……なにこれ?」
「だからモンスターだよ。無事釣れたね」
フェルノは笑顔で言ってくれた。
しかしアキラは表情を曇らせる。釣れていたのは、分厚い下顎をした魚のモンスターで、怖かった。
こんなのが釣りたかったわけじゃないから、喜べない。と言うか、本当に釣りたかった魚がいない。
「ね、ねえ。フェルノ、上から魚見えなかった?」
「魚? 確か食べられてたよ。もしかして、こういうことかな?」
フェルノは、釣り糸を拾ってみせた。
でも釣り針がなくなっている。これはまさか……
「もしかして、噛み切られた?」
「髪切られた?」
「ほぉ、バリバーアロワナか。なかなか珍しいモンスターじゃないか」
Nightが戻ってきた。
その手には残念だけど、収穫はなし。
如何やら、メダルは最初の一枚のみだった。
「「バリバーアロワナ?」」
「かなり珍しいモンスターだ。しかし、虹の鱗まであるじゃないか。希少な、バリ喰いの牙もある。誰が釣ったんだ?」
「「はい」」
アキラは自分を、フェルノはアキラを指さした。
するとNightは慰めを込めて、肩にポンと手を置き、励ました。
「大丈夫だアキラ。メダルよりも価値がある」
「う、うん。で、でもメダルが……」
「大丈夫だ。明日は違うところに行くぞ」
「う、うん」
「頑張れ、アキラ」
アキラは何を頑張れと? と首を傾げる。
しかしNightもフェルノも優しかった。
如何やら、アキラは運がいいらしい。
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