103 / 617
◇103 探検に行こうよ!
しおりを挟む
ギルドホームでのまったりとした時間を過ごす中、不意に雷斬が口にした。
「そう言えば本日は静かですね」
「フェルノがいないからね」
アキラはすぐさま返す。
別にフェルノが騒がしいわけではない。
アキラも同調するからうるさく聞こえるだけだ。
そこにNightが巻き込まれる形で捕捉するので話の展開が速くなり、雷斬とベルはその話しに耳を傾ける。
けれど今日はその中心人物の2人が欠けている。
そのためここまで静かな居住空間が完成したことに繋がった。
「お2人は何かご用事ですか?」
「うん。フェルノは部活で、3日間ぐらい合宿でいないんだ。Nightは家族旅行。今はハワイの方に言っているみたいだけど、夜にはログインできるって」
2人の都合は最初から織り込み済みだ。
フェルノに至っては数日前から山の方に部活の合宿があるとかで張り切っていた。
夏なのに蒸し暑い山に行くことには不満を垂らしていたけれど、楽しそうで何よりだ。
一方のNightは久々に帰って来た両親と兄と姉に引っ張られて海外旅行。
お金持ちなのは知っていたけれど、意外にハワイなのはベタすぎた。
だけど食事とかは凄いらしく、本人がインドアな気質なせいもあり普段から旅行の際はいやいや引っ張られるらしい。
「お土産楽しみだなー」
「お土産って、もしかして頼んでたの?」
ベルが尋ねる。
アキラはそれに対して首を横に振った。
別に頼んではいないけど、Nightの性格的にアキラの考えていることを読んできそうだった。
「ううん。でもNightなら買って来てくれると思うんだ」
「どれだけ信頼しているのよ」
「信頼しているからこそ、わざわざメッセージのやり取りで事細かに教えてくれるんでしょ? だって、ゲームの中でまで勉強を見てもらったんだもん」
あの日、1学期期末テストの数日前だ。
冒険もせずダンジョンにも潜らず、アキラたち3人はNight先生の徹底した予測を武器にしてテスト勉強に励んだ。
その結果なんと普段は中間ぐらいの点数しか取れないアキラは上位に食い込み、社会のテストではフェルノがトップ10入りを果たした。
「それって元々ポテンシャルは合ったんじゃないの?」
「そうかも。でも予測って凄いよね」
「予測ができるのはそれだけ知識を有しており、経験を積んだ証でしょうね。Nightさんは何かされていたのでしょうか?」
「FPSをやっているらしいよ。ソロで100人規模のガン・アクションゲームで何度も1位を取っているんだって。大型大会で優勝したこともあるらしいよ」
「それは凄いですね。道理で周りの様子を把握する力が優れているわけです」
雷斬の見立ては正しかった。
そんなこんなでアキラたちはこの場にいない人たちの話をしていると、ふとしたことでアキラは2人に提案した。
「そうだ。このメンバーだけって珍しいから、何かしようよ」
「何かってなによ」
「そうですね。アキラさんは何かやりたいことがあるのですか?」
「うん。さっきベルと少し話をしていたけど、この島の探索をしたくて」
アキラは唐突だった。
しかしベルも「あー」と口にして肯定的な反応を示す。
「いいわね、それ。私もこの島のこと気になっていたのよ」
「正直1人で探索するのは怖くて。2人の協力が欲しいんだ」
アキラは2人にお願いした。
しかしベルは最初からそのつもりで、雷斬も考える時間は持たない。
もちろんアキラたちに従う。
雷斬もこの島のことには少し興味があった。
「わかりました。早速準備をしましょうか」
「うん。マッピング能力が少し薄いメンバーだけど、何処まで行けるか挑戦してみようよ!」
「そうね。マッピング苦手なね」
ベルが強調した。
破壊不可のエフェクトがないといいんだけど、この島のことを何も知らない3人だった。
「そう言えば本日は静かですね」
「フェルノがいないからね」
アキラはすぐさま返す。
別にフェルノが騒がしいわけではない。
アキラも同調するからうるさく聞こえるだけだ。
そこにNightが巻き込まれる形で捕捉するので話の展開が速くなり、雷斬とベルはその話しに耳を傾ける。
けれど今日はその中心人物の2人が欠けている。
そのためここまで静かな居住空間が完成したことに繋がった。
「お2人は何かご用事ですか?」
「うん。フェルノは部活で、3日間ぐらい合宿でいないんだ。Nightは家族旅行。今はハワイの方に言っているみたいだけど、夜にはログインできるって」
2人の都合は最初から織り込み済みだ。
フェルノに至っては数日前から山の方に部活の合宿があるとかで張り切っていた。
夏なのに蒸し暑い山に行くことには不満を垂らしていたけれど、楽しそうで何よりだ。
一方のNightは久々に帰って来た両親と兄と姉に引っ張られて海外旅行。
お金持ちなのは知っていたけれど、意外にハワイなのはベタすぎた。
だけど食事とかは凄いらしく、本人がインドアな気質なせいもあり普段から旅行の際はいやいや引っ張られるらしい。
「お土産楽しみだなー」
「お土産って、もしかして頼んでたの?」
ベルが尋ねる。
アキラはそれに対して首を横に振った。
別に頼んではいないけど、Nightの性格的にアキラの考えていることを読んできそうだった。
「ううん。でもNightなら買って来てくれると思うんだ」
「どれだけ信頼しているのよ」
「信頼しているからこそ、わざわざメッセージのやり取りで事細かに教えてくれるんでしょ? だって、ゲームの中でまで勉強を見てもらったんだもん」
あの日、1学期期末テストの数日前だ。
冒険もせずダンジョンにも潜らず、アキラたち3人はNight先生の徹底した予測を武器にしてテスト勉強に励んだ。
その結果なんと普段は中間ぐらいの点数しか取れないアキラは上位に食い込み、社会のテストではフェルノがトップ10入りを果たした。
「それって元々ポテンシャルは合ったんじゃないの?」
「そうかも。でも予測って凄いよね」
「予測ができるのはそれだけ知識を有しており、経験を積んだ証でしょうね。Nightさんは何かされていたのでしょうか?」
「FPSをやっているらしいよ。ソロで100人規模のガン・アクションゲームで何度も1位を取っているんだって。大型大会で優勝したこともあるらしいよ」
「それは凄いですね。道理で周りの様子を把握する力が優れているわけです」
雷斬の見立ては正しかった。
そんなこんなでアキラたちはこの場にいない人たちの話をしていると、ふとしたことでアキラは2人に提案した。
「そうだ。このメンバーだけって珍しいから、何かしようよ」
「何かってなによ」
「そうですね。アキラさんは何かやりたいことがあるのですか?」
「うん。さっきベルと少し話をしていたけど、この島の探索をしたくて」
アキラは唐突だった。
しかしベルも「あー」と口にして肯定的な反応を示す。
「いいわね、それ。私もこの島のこと気になっていたのよ」
「正直1人で探索するのは怖くて。2人の協力が欲しいんだ」
アキラは2人にお願いした。
しかしベルは最初からそのつもりで、雷斬も考える時間は持たない。
もちろんアキラたちに従う。
雷斬もこの島のことには少し興味があった。
「わかりました。早速準備をしましょうか」
「うん。マッピング能力が少し薄いメンバーだけど、何処まで行けるか挑戦してみようよ!」
「そうね。マッピング苦手なね」
ベルが強調した。
破壊不可のエフェクトがないといいんだけど、この島のことを何も知らない3人だった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
(更新終了) 採集家少女は採集家の地位を向上させたい ~公開予定のない無双動画でバズりましたが、好都合なのでこのまま配信を続けます~
にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
突然世界中にダンジョンが現れた。
人々はその存在に恐怖を覚えながらも、その未知なる存在に夢を馳せた。
それからおよそ20年。
ダンジョンという存在は完全にとは言わないものの、早い速度で世界に馴染んでいった。
ダンジョンに関する法律が生まれ、企業が生まれ、ダンジョンを探索することを生業にする者も多く生まれた。
そんな中、ダンジョンの中で獲れる素材を集めることを生業として生活する少女の存在があった。
ダンジョンにかかわる職業の中で花形なのは探求者(シーカー)。ダンジョンの最奥を目指し、日々ダンジョンに住まうモンスターと戦いを繰り広げている存在だ。
次点は、技術者(メイカー)。ダンジョンから持ち出された素材を使い、新たな道具や生活に使える便利なものを作り出す存在。
そして一番目立たない存在である、採集者(コレクター)。
ダンジョンに存在する素材を拾い集め、時にはモンスターから採取する存在。正直、見た目が地味で功績としても目立たない存在のため、あまり日の目を見ない。しかし、ダンジョン探索には欠かせない縁の下の力持ち的存在。
採集者はなくてはならない存在ではある。しかし、探求者のように表立てって輝かしい功績が生まれるのは珍しく、技術者のように人々に影響のある仕事でもない。そんな採集者はあまりいいイメージを持たれることはなかった。
しかし、少女はそんな状況を不満に思いつつも、己の気の赴くままにダンジョンの素材を集め続ける。
そんな感じで活動していた少女だったが、ギルドからの依頼で不穏な動きをしている探求者とダンジョンに潜ることに。
そして何かあったときに証拠になるように事前に非公開設定でこっそりと動画を撮り始めて。
しかし、その配信をする際に設定を失敗していて、通常公開になっていた。
そんなこともつゆ知らず、悪質探求者たちにモンスターを擦り付けられてしまう。
本来であれば絶望的な状況なのだが、少女は動揺することもあせるようなこともなく迫りくるモンスターと対峙した。
そうして始まった少女による蹂躙劇。
明らかに見た目の年齢に見合わない解体技術に阿鼻叫喚のコメントと、ただの作り物だと断定しアンチ化したコメント、純粋に好意的なコメントであふれかえる配信画面。
こうして少女によって、世間の採取家の認識が塗り替えられていく、ような、ないような……
※カクヨムにて先行公開しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
【完結】Go to バナナ 〜VRMMOで自然農業ガチ勢のボクはなぜか最強です〜
鳥山正人
ファンタジー
バナナ裁判長。それがいつも見る奇妙な夢。
フルダイブ型VRMMO『黄泉の国の桃太郎』
採取、錬金、鍛冶スキルという純生産職を選んだ主人公、三上ハヤト。
AIによるリアル志向のマイファームで、現実では叶えられなかった自然農業に挑む。
虫や鳥を“天使”と見なす独自の自然農法は、やがて“神品質”の作物を生み出す。
温度と時間に黄金比を織り交ぜた錬金術と鍛冶スキル。
神品質を生み出す主人公。やがてそこには沢山の人が集まっていく。
常識を覆す農業ファンタジー、開幕!
──────
自筆です。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる