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◇151 蒼伊の誘い
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カチカチカチカチ——
無機質な連打音が部屋の中に響いた。
防音設備もさほどないので廊下にまで音は漏れ聞こえる。
明るい部屋の中で、椅子に座って1人黙々とコントローラーのボタンを連打していた。
「くっ……結構疲れるね、これ」
「そうだな。明輝後ろだ」
「えっ!? うわぁ」
「バックアップに入る。お前は適当に隠れていろ」
蒼伊に言われて私は建物の裏に隠れた。
スキルを使って5秒間だけ無敵になる。その隙に回復だ。
「えーっと、回復まで確か10秒かかるんだよね」
私はアイテム欄から回復アイテムを使った。
いわゆるバトルロワイアル略してバトロワ系の銃撃戦ゲーム『Sneak Combat』で遊んでいる明輝だが、蒼伊に誘われて現在戦闘中。
正直に言おう。何にもわからない。
明輝は只今初心者の動きのため、めちゃくちゃ狙われている。
「ふぅ、確か全部で50チームぐらいいるんだよね。残りはえーっと、4チームになってる!」
この手のゲームはやったこともない。そこで先になって動かないことに全力を注いでいた。
蒼伊とチームを組んでいるけれどさっきから1人で戦っている。
的確なタイミングで爆弾を投げたり、隠密スキルで忍び寄り、ナイフで一刺ししている。
狙われてもすぐに左右に避けて最小限の動きでかわしながら、反対側にいる仲間を倒していた。冷静沈着に動いている獲物を狩っているみたいで怖いけどかっこよかった。
「まさか一人で20チームぐらい倒しちゃうんだもんね。ここって確か最高ランクのマスターランク帯だよね」
「そうだな。だがいつもよりもぬるいな」
蒼伊はそんなことを言った。
明輝は凄く大変そうにしている。だけど聞こえてくる蒼伊に声は落ち着きがあった。
今日は蒼伊に突然誘われたとは言ったが、一体何で誘われたんだろう。
もしかして気晴らしか何かかな?
「ねえ蒼伊、今日はどうして誘ってくれたの? 私あんまり上手くないのに」
「少し気になることがあってな」
「それって何?」
「昨日の古代遺跡。私は色々考えてみたんだが……おい、来たぞ」
「またぁ!」
明輝は休まる暇もなくコントローラーをガチャガチャした。
蒼伊の方からはヘッドホン越しにも全然音が聞こえない。
時々聞こえるのは、カチカチと言うマウスの音とキーボードを緩く叩く音だけが聞こえていた。
「はぁはぁ……結構大変だね。でも残りは1チームだね」
「そうだな。それでさっきの話の続きだが、私は昨日1人残って古代遺跡の暗号解読を進めていた。すると気になるものがあってな。見解を聞きたい」
「見解って私にはさっぱりだよ」
「お前の突飛かつ非凡なアイデアが聞きたいんだ。それ気になることだが、壁の天井隅にあったシミは覚えているか?」
「えっ、シミ? うーん、覚えてないかな」
「そうか。シミがあったんだ。意味深に三角と四角のな」
それは明らかに意味がある。明輝はピンときた。
だけどそれ以降何か引っかかることもなく、明輝は黙ってしまう。
話の種は今度は明輝から出てくる。
「ねえ、一回考えるの止めない?」
「考える行為を止めるのか? そうだなじゃあ何か気晴らしに……」
「そうだ! 今度みんなで何処か行きたいね」
「何処かって曖昧だな。何かないのか?」
蒼伊から逆に振られてしまった。そこで思いついたのが、この間の満月山のことだ。
「もう10月だよね。星とか見に行かない?」
「星だと? それなら冬の方がいいだろ」
「でも夜天って書いてあったよね?」
「それはそうだが……ん? 待て」
明輝はスライドパットを動かすのを止めた。
すると蒼伊は何か考え始める。どうやらピンと来たみたいだが、蒼伊のことなので夜天には気づいていたはずだ。
明輝は何に気が付いたのかはわからなかったが、それから程なく敵に見つかり戦闘になってしまった。最後は蒼伊の活躍でもちろん勝った。
無機質な連打音が部屋の中に響いた。
防音設備もさほどないので廊下にまで音は漏れ聞こえる。
明るい部屋の中で、椅子に座って1人黙々とコントローラーのボタンを連打していた。
「くっ……結構疲れるね、これ」
「そうだな。明輝後ろだ」
「えっ!? うわぁ」
「バックアップに入る。お前は適当に隠れていろ」
蒼伊に言われて私は建物の裏に隠れた。
スキルを使って5秒間だけ無敵になる。その隙に回復だ。
「えーっと、回復まで確か10秒かかるんだよね」
私はアイテム欄から回復アイテムを使った。
いわゆるバトルロワイアル略してバトロワ系の銃撃戦ゲーム『Sneak Combat』で遊んでいる明輝だが、蒼伊に誘われて現在戦闘中。
正直に言おう。何にもわからない。
明輝は只今初心者の動きのため、めちゃくちゃ狙われている。
「ふぅ、確か全部で50チームぐらいいるんだよね。残りはえーっと、4チームになってる!」
この手のゲームはやったこともない。そこで先になって動かないことに全力を注いでいた。
蒼伊とチームを組んでいるけれどさっきから1人で戦っている。
的確なタイミングで爆弾を投げたり、隠密スキルで忍び寄り、ナイフで一刺ししている。
狙われてもすぐに左右に避けて最小限の動きでかわしながら、反対側にいる仲間を倒していた。冷静沈着に動いている獲物を狩っているみたいで怖いけどかっこよかった。
「まさか一人で20チームぐらい倒しちゃうんだもんね。ここって確か最高ランクのマスターランク帯だよね」
「そうだな。だがいつもよりもぬるいな」
蒼伊はそんなことを言った。
明輝は凄く大変そうにしている。だけど聞こえてくる蒼伊に声は落ち着きがあった。
今日は蒼伊に突然誘われたとは言ったが、一体何で誘われたんだろう。
もしかして気晴らしか何かかな?
「ねえ蒼伊、今日はどうして誘ってくれたの? 私あんまり上手くないのに」
「少し気になることがあってな」
「それって何?」
「昨日の古代遺跡。私は色々考えてみたんだが……おい、来たぞ」
「またぁ!」
明輝は休まる暇もなくコントローラーをガチャガチャした。
蒼伊の方からはヘッドホン越しにも全然音が聞こえない。
時々聞こえるのは、カチカチと言うマウスの音とキーボードを緩く叩く音だけが聞こえていた。
「はぁはぁ……結構大変だね。でも残りは1チームだね」
「そうだな。それでさっきの話の続きだが、私は昨日1人残って古代遺跡の暗号解読を進めていた。すると気になるものがあってな。見解を聞きたい」
「見解って私にはさっぱりだよ」
「お前の突飛かつ非凡なアイデアが聞きたいんだ。それ気になることだが、壁の天井隅にあったシミは覚えているか?」
「えっ、シミ? うーん、覚えてないかな」
「そうか。シミがあったんだ。意味深に三角と四角のな」
それは明らかに意味がある。明輝はピンときた。
だけどそれ以降何か引っかかることもなく、明輝は黙ってしまう。
話の種は今度は明輝から出てくる。
「ねえ、一回考えるの止めない?」
「考える行為を止めるのか? そうだなじゃあ何か気晴らしに……」
「そうだ! 今度みんなで何処か行きたいね」
「何処かって曖昧だな。何かないのか?」
蒼伊から逆に振られてしまった。そこで思いついたのが、この間の満月山のことだ。
「もう10月だよね。星とか見に行かない?」
「星だと? それなら冬の方がいいだろ」
「でも夜天って書いてあったよね?」
「それはそうだが……ん? 待て」
明輝はスライドパットを動かすのを止めた。
すると蒼伊は何か考え始める。どうやらピンと来たみたいだが、蒼伊のことなので夜天には気づいていたはずだ。
明輝は何に気が付いたのかはわからなかったが、それから程なく敵に見つかり戦闘になってしまった。最後は蒼伊の活躍でもちろん勝った。
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