VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

文字の大きさ
178 / 617

◇178 黒鉄の巨人

しおりを挟む
 巨大な鉄の塊が聳え立っていた。
 四肢があるが全身は機械でできている。
 これはモンスターなのかそれともオブジェクトなのか、詳細は不明だが、アキラたちはそこにある巨大な黒鉄の巨人を、何となくこう見ていた。

「ロ、ロボット?」

 ここに来ての公式からのSF要素の提示にたじろいでしまった。
 けれど目も光っていないし、動く様子もない。
Nightが触ってみると、ひんやりしていたようだ。

「冷たいな。動いている様子はない」

 Nightは腕組をして考えてみた。

「どうやらこれがこの古代遺跡の存在意義だとみて間違いない」
「そうなの?」
「そうとしか考えられないだろ。周りの壁をよく見てみろ」

 Nightに促され、アキラたちはキョロキョロ周囲の壁を見て回す。
 するとフェルノが目を凝らしてみると、蝋燭の置ける燭台があった。

「たくさん蝋燭が置けそうだね」
「そうですね。まるでこの巨人を囲うように取り付けられています」
「だったらここが目指していたことよね。でもどうしてこんなものがあるのかしらね」
「それは知らん」

 Nightは容易く突っぱねる。
フェルノたちは置いてけぼりを食らっていたが、アキラだけはもう少し周りを見てみ回しつつ、他に何かないか探ってみる。

「うーん。おっ、何か落ちてるよ!」

 アキラは落ちていたものを拾い上げた。
 それは小さな歯車のようだが、錆び付いてはいない。
 ごく最近落ちて来たのか、周りには配線や金属の装甲が落ちている。

「なるほどねー。やっぱりこれがこの古代遺跡の守り神兼お宝だったんだー!」
「守り神案は採用だが、お宝とは言えないぞ」
「そうなのー? でも古代遺跡があるならお宝があってもいいよねー」
「あくまでそれは私たちの発想だ。これを作った公式の青写真に乗らないようにするなら、この世界の人間がかつて何かしらに意味を持ってこの巨人を作った。だからこの巨人は古代遺跡を作った人間たちの意志の結晶体と言ってもいいだろうな」
「……難しい設定だね」
「まあ考えるな。とにかくコレがこの遺跡の最深部に置き去りにされた何かだ」

 Nightは淡々と説明してくれた。
 それにしても可哀そうだ。こんなところで朽ちるまで放置されるなんて、もしもこの巨人に意思があるならきっと久々にやって来た人間に怒りを示すことだろう。
 アキラは嫌な予感を働かせながらも、ゆっくり装甲パーツに触ってみた。
 すると頭の中で何かが警告をした。

『アキラ、避けて』
「えっ!?」

 急に【ユニゾンハート】の能力の1つ、【ユニゾンコール】が反応した。
 咄嗟に半歩後ろに飛ぶと、先程触った腕が持ち上がりアキラを下から突き上げようとしていた。
 明らかに危険だと判断し、すぐさまNightたちの横に滑り込む。

「どうしたアキラ。急に……はっ!」
「みんな気を付けて。この巨人、動くよ」

 アキラがそう答えると、全身視線が釘付けになった。
 目の前には黒鉄の巨人がゆっくりとだが、アキラたちの前に拳を振り上げていた。

「全員避けろ!」
「そんなのわかってるってのー!」

 ドカァーン!

 フェルノは叫びながら、拳をかわした。
 しかしアキラたちが立っていた場所は、大きな窪みを作っている。
 動き自体はかなり鈍い。けれど一発で凄まじい破壊力だった。

「これって流石にヤバいよね?」
「そうだな。だが動きが鈍いのならまだ逃げる余地はある。幸い襲っては来ないようだからな」

 確かに動いているのは上半身だけだ。
 今なら逃げようと思えば逃げられたが、通路に出ようとすると、巨人は無理にでも体を動かして空洞を震撼させた。
 ガタガタガタガタと天井から石ころが降ってきて、完全に空洞を倒壊させようとしていた。

「クソッ、逃げようとすれば地下を倒壊させてもいいってことか」
「困ったね。どうしよう」
「こうなったらデスポするか、それともこいつをここで倒すしかないな」
「どっちかと言うと前者の方が可能性高いけど、勝ちに行くよね」
「当然だよー。それじゃあ一気に潰すよー!」

 フェルノは竜の腕を広げて、炎で纏った。
 コーティングすると同時に、黒鉄の巨人の腕と真っ向勝負をする。
 動き自体は呪いが最初のインパクトが強いのか、触れただけで軽く吹き飛ばされる。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「フェルノ吹き飛びすぎだよ!」
「ごめん、すぐに戻るから頑張って」
「そんな無茶な!」

 このパーティーで一番筋力のパラメータの高いフェルノがパワー負けする相手を私たちだけでどうにかできるのか? アキラは不安最中に、巨人の拳が飛んできたので、ギリギリのところでかわした。
 【月跳】で地面を蹴り上げると、伸ばした黒鉄の巨人の腕に乗り、一気に頭まで駆け上がろうとした。しかしよく回る腕に阻まれてしまい、簡単に落っこちてしまう。

「これって結構ヤバいよね」
「そうだな。空気も悪い。何とかして糸口を見出すしかないのか……」

 Nightは状況を見誤ったと苦汁を舐めるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり
ファンタジー
【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。 (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です) ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様でも公開しております。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

処理中です...