VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇257 雷斬は虫が苦手

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 青いカナリア、りーちゃんを捜すためアキラたちは森に向かっていた。
 今回も特に名前があるわけではないが、木漏れ日が優しい明るい森だった。

「うわぁ、気持ちが良いね!」
「本当ね。これだけ歩きやすいし陽も入るなら気分も良いわ」

 アキラとベルは森の中が明るかったので、気分も明るくなった。
 すると雷斬はたくさんある木を一本ずつ見て回っていた。

「雷斬。もしかしてそのやり方で捜すの?」
「はい。これしか思いつかなかったので」
「Nightなら効率が悪いっていうわね」

 そもそもの話、愛鳥捜し何て難しすぎる内容だった。
 アキラとベルは何とかしてあげたかったけど、雷斬のやり方しか思いつかなかった。

「それじゃあ私たちもやってみよっか」
「そうね。よいしょ!」

 ベルは木の上に早速登った。
 スキル【風読み】で風の調子を確認し、少しだけ操ってみせたのだ。

 あっという間に木の上に構えると、キョロキョロと他の木の上も見て回した。
 木の葉や枝の間を捜してみたが、やっぱり見つからなかった。

「いないわね」
「こっちもいないみたいだよ」

 アキラも木の上に登りカナリアを捜してみた。
 実際青いカナリア何て珍しくて、すぐに見つかるはずなのにここまで捜しても見つからないならもう見つからないのでは? と諦めそうになった。

「皆さん頑張りましょう。彼女の笑顔を取り戻しましょう」
「凄い主人公だね」
「私は脇役で構いませんよ。それよりそちらの木は如何でしょうか?」

 雷斬は隣の木を指さした。
 他の木よりも一層葉っぱが生え揃っていた。
 この森は冬にもかかわらず枯葉などが落ちておらず、とても冬とは思えなかった。

「ってことは……あっ!」
「きゃっ!」

 葉っぱの裏に付いていた虫が落ちた。
 芋虫が雷斬の頭に落ちてきて、可愛らしい声を上げた。
 意外な一面をアキラは見た。

「まだ虫ダメなのね」
「すみません。あ、あの……取ってもらえませんか?」
「ごめんね。よいしょっと、ほら森へお帰り」

 アキラは芋虫を殺さないように指で掴むと、適当な葉っぱの上に乗せた。
 のそのそと動いていたが、鳥肌を立てていた雷斬を少し揶揄ってみた。

「きゃっ! って可愛かったよ」
「茶化さないでください。私、本当に虫が苦手なんです」
「誰にだって苦手分野はあるよね。でもモンスター相手には普通だよね?」
「怯えていられませんから。無理はしているんですよ」

 今までそんなこと気が付かなかった。
 雷斬の意外な一面を見たアキラだったが、スッと木の上から降りてきたベルがアクションでお手上げを表現した。

「やっぱりダメね。何にもいないわ」
「いるのは虫だけだね。如何しよう。この森、こんなに明るいのに虫しかいないよ。というか虫もほとんどいないよ」

 こんなにポカポカしているのにモンスターも居ないのでがっかりだった。
 けれどもっと奥まで行ってみるのも逆に怖かった。
 せめて森の何所に行ったかくらい分かればクエストも達成できそうなのにとアキラは唸った。

「ほんと、何処行ったんだろ」

 何か手掛かりはないだろうかと、アキラは腕組をした。
 目を瞑り意識を集中させた。
 すると段々精神と感覚が研ぎ澄まされていく気がして、急に静かになった。

 木の葉が風に煽られて擦れる音。
 暖かな陽の光が差し込み、体をポカポカにしてくれること。
 そんな本当に当たり前のことが実感できた瞬間、ふと遠くから木を叩く音が聞こえてきた。気がした——

 コンコンコン!

 いいややっぱり聞こえた。
 アキラはこの音は何かと思い、雷斬とベルにも尋ねた。

「二人とも、今の音聞こえた?」
「もちろん聞こえたわよ。木を叩く音よね」
「拍子木を打ち合わせる音にも似ていますね。自然の中で和を思わせる音が聞こえたのは嬉しいですね」
「そうかしら? でも変よね。こんな森の中で聞こえるなんて……」

 ベルは少しだけ不思議に思った。
 だけどすぐにアレかなとアキラたちの頭の中に共通イメージが思い浮かんだ。

「「「キツツキ!」」」

 三人はピッタリ同時に答えた。
 息が合って来たと照れてしまうが、ここまで一度もまともに相手したことがないモンスターに興奮もした。
 そもそも如何やって戦うのか、アキラはやっぱり首を捻った。

「キツツキのモンスターってどんなかな?」
「さあ、行けば分かるでしょ?」
「そうですね。ですがこの音の響き方的に考えれば、そこまで大きな種類と言うわけではなさそうですね」

 雷斬はそんな分析をしてみせた。
 とは言えここで立ち尽くしていても話は進まないとアキラたちも分かっていた。

「まあ何か手掛かりになればいいでしょ? 同じ鳥類だから集まってたりしてね」
「それだとありがたいんだけどね」

 だけどアキラたちの足は既に向かっていた。
 何でもいいから手掛かりが欲しかったので、確証はないが行くしかなかった。
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