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◇287 ようやく倒せたけど、疲労がエグい
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クリスマスボアがベルの鼻先に触れそうだった。
しかし焦ってテンパっていたベルだったが、その手には既にワイヤーは無かった。
あの一瞬、クリスマスボアが駆けだしたタイミングで脳が反応した。
全てを理解するような奇想天外のことはしておらず、一言言えるのは指が勝手に動いていた。
ワイヤーを地面に張り、丁度踝の高さに接していた。
これで準備は整ったと、空を見上げていた。
綺麗な夜空、雲の間から射す月明かり、月光に浮かび上がる二つの影があった。
「後は頼んだわよ」
ベルは薙刀フォームを解いていた。
ジッと二つの影、アキラとフェルノの姿を目で追うと、突然クリスマスボアの体が地面を擦り、ベルの真横を滑った。
ズドドドドドォォォズサァァァァァッ!
クリスマスボアの腹が地面を抉り撮った。
四肢をベタっと地面に広げ、牙が乾燥した地面と雑草に絡み付いた挙句に食い込んで動けなくなっていた。
あまりにも無防備すぎる体勢。
見れば前脚にワイヤーが絡まっていたので、ベルは役目を果たしたと言えた。
「後は私たちだね……」
「そうだねー。ってな感じで……おお、広い広い!」
アキラとフェルノは空高く飛んでいた。
アキラは【月跳】を発動し、フェルノは【炎熱竜化】で炎を噴射していた。
眼下にはベルたちが小さく見えた。
それからクリスマスボアの背中がはっきりと映り込んだ。
「これで行けるよ!」
「よーしっ、一撃で仕留めるよ!」
フェルノが拳を竜に変えた。
背中から翼を展開し滑空するように落ちて行った。
「えっ、ここまで来て飛ぶんじゃないの!?」
「私には殴る以外ないからさー。でもね……」
フェルノは全身にとてつもない圧力を感じていた。
にもかかわらず平然と話しをしており、拳をクリスマスボアの無防備な背中へと叩き込んだ。
「確実に仕留めに行くよ。……今回はしないけど」
フェルノの拳がクリスマスボアの背中に叩き込まれた。
まるで少年漫画の主人公のようで、隕石が衝突したのかと思う衝撃波だった。
クリスマスボアの背中がひしゃげた。
確実に骨を砕き、悲鳴すら上げさせなかった。
この時点でHPの九割九分を消失させ、既に勝ち目の前は揺らぐことはなかった。
「あ、あれ? これって私の出番ないよね?」
フェルノは綺麗にHPのミリ残しに成功した。
本当は仕留められたところを、一番ダメージの入る弱点ポイントだけを的確に外し、拳を最後に捻って掠らせたことで成せた業だ。
まさしく天才だと言えたのだが、フェルノは自分の手柄だけでは終わらせず、「イェイ」と親指を立てて見せた。
「アキラー、最後は頼んだよー。私の取りこぼした分もよろしくねー」
ニヤッと笑みを浮かべていた。
アキラはいつものことだと察し、「うん」と首を縦に振った。
「できれば倒してくれても良かったのに。で、でもせっかくフェルノがこんな神業を披露してくれたんだもんね。よーし、私も頑張るぞ!」
アキラは釈然としなかった。ここまでやってくれるのなら倒して欲しかったと率直な感想を呟いた。
しかしせっかくのフェルノがくれた活躍の場を無駄にもしたくなかった。
そこでアキラはすぐさま切り替えた。この状況をチャンスと考えることにした。
「それで後はこの剣を……お、重い」
Nightから託された剣を構えた。
いいや構えようとしたのだが、あまりにも剣身が長くて重心が不安定になった。
おまけに長さがある分重たかった。
今までNightはよくこんな剣を使っていられたと称賛した。
しかし思えば動きもぎこちなかった。
剣の切っ先を突き刺したりなど、基本的には剣を構えず最小限の動きだけを取っていた気がする。
アキラはこの時思ってしまった。
実際Nightの戦い方は凄く効率が良いだけではなく、できる最大限のパフォーマンスを常に追求していたと知る。
「やっぱりNightって頭良いんだ」
むしろ回転が速かった。
アキラの切り替えの速さとはまた別物の才能だった。
「でもさ、こんなに重たい剣を空中でどうやって制御しろってことなんだろ?」
Nightのことだから、何か考えがあるに決まっていた。
しかしアキラの頭ではそこまで理解できず、色々考える間に体が剣の重さも相まって急加速していた。
なのに時間だけはゆっくり感じた。
アキラは嫌な予感がした。
「あ、あれ?」
これってヤバいやつなのではと思ったその時、勝手に【キメラハント】が発動した。
アキラの潜在意識が、思考する意識よりも早く事態を把握したのだ。
「す、スライムになってる!? う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
フェルノと違って筋力に全振りでもなかった。
だからこのまま落ちたら全身打撲は必至と脳が警告して【半液状化】を使っていた。
体が青いプルンプルンスライムに早変わり。
同時に剣の切っ先が下になってクリスマスボアの背中へと落ちて行った。
グサリ!
Nightの十字架状の剣がクリスマスボアの背中に直撃した。
最後にミリ残っていたHPがあまりのオーバーなダメージ量の前に塵へと変わってしまった。
「お、落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
一方のアキラも危険だった。
地面に激突すると思った瞬間、当然地面に激突した。
「えっ?」
しかしアキラの体は無事だった。
おまけに【半液状化】も解けていた。
当然困惑もしてしまった。
Nightから種明かしされたのはその二分後だった。
しかし焦ってテンパっていたベルだったが、その手には既にワイヤーは無かった。
あの一瞬、クリスマスボアが駆けだしたタイミングで脳が反応した。
全てを理解するような奇想天外のことはしておらず、一言言えるのは指が勝手に動いていた。
ワイヤーを地面に張り、丁度踝の高さに接していた。
これで準備は整ったと、空を見上げていた。
綺麗な夜空、雲の間から射す月明かり、月光に浮かび上がる二つの影があった。
「後は頼んだわよ」
ベルは薙刀フォームを解いていた。
ジッと二つの影、アキラとフェルノの姿を目で追うと、突然クリスマスボアの体が地面を擦り、ベルの真横を滑った。
ズドドドドドォォォズサァァァァァッ!
クリスマスボアの腹が地面を抉り撮った。
四肢をベタっと地面に広げ、牙が乾燥した地面と雑草に絡み付いた挙句に食い込んで動けなくなっていた。
あまりにも無防備すぎる体勢。
見れば前脚にワイヤーが絡まっていたので、ベルは役目を果たしたと言えた。
「後は私たちだね……」
「そうだねー。ってな感じで……おお、広い広い!」
アキラとフェルノは空高く飛んでいた。
アキラは【月跳】を発動し、フェルノは【炎熱竜化】で炎を噴射していた。
眼下にはベルたちが小さく見えた。
それからクリスマスボアの背中がはっきりと映り込んだ。
「これで行けるよ!」
「よーしっ、一撃で仕留めるよ!」
フェルノが拳を竜に変えた。
背中から翼を展開し滑空するように落ちて行った。
「えっ、ここまで来て飛ぶんじゃないの!?」
「私には殴る以外ないからさー。でもね……」
フェルノは全身にとてつもない圧力を感じていた。
にもかかわらず平然と話しをしており、拳をクリスマスボアの無防備な背中へと叩き込んだ。
「確実に仕留めに行くよ。……今回はしないけど」
フェルノの拳がクリスマスボアの背中に叩き込まれた。
まるで少年漫画の主人公のようで、隕石が衝突したのかと思う衝撃波だった。
クリスマスボアの背中がひしゃげた。
確実に骨を砕き、悲鳴すら上げさせなかった。
この時点でHPの九割九分を消失させ、既に勝ち目の前は揺らぐことはなかった。
「あ、あれ? これって私の出番ないよね?」
フェルノは綺麗にHPのミリ残しに成功した。
本当は仕留められたところを、一番ダメージの入る弱点ポイントだけを的確に外し、拳を最後に捻って掠らせたことで成せた業だ。
まさしく天才だと言えたのだが、フェルノは自分の手柄だけでは終わらせず、「イェイ」と親指を立てて見せた。
「アキラー、最後は頼んだよー。私の取りこぼした分もよろしくねー」
ニヤッと笑みを浮かべていた。
アキラはいつものことだと察し、「うん」と首を縦に振った。
「できれば倒してくれても良かったのに。で、でもせっかくフェルノがこんな神業を披露してくれたんだもんね。よーし、私も頑張るぞ!」
アキラは釈然としなかった。ここまでやってくれるのなら倒して欲しかったと率直な感想を呟いた。
しかしせっかくのフェルノがくれた活躍の場を無駄にもしたくなかった。
そこでアキラはすぐさま切り替えた。この状況をチャンスと考えることにした。
「それで後はこの剣を……お、重い」
Nightから託された剣を構えた。
いいや構えようとしたのだが、あまりにも剣身が長くて重心が不安定になった。
おまけに長さがある分重たかった。
今までNightはよくこんな剣を使っていられたと称賛した。
しかし思えば動きもぎこちなかった。
剣の切っ先を突き刺したりなど、基本的には剣を構えず最小限の動きだけを取っていた気がする。
アキラはこの時思ってしまった。
実際Nightの戦い方は凄く効率が良いだけではなく、できる最大限のパフォーマンスを常に追求していたと知る。
「やっぱりNightって頭良いんだ」
むしろ回転が速かった。
アキラの切り替えの速さとはまた別物の才能だった。
「でもさ、こんなに重たい剣を空中でどうやって制御しろってことなんだろ?」
Nightのことだから、何か考えがあるに決まっていた。
しかしアキラの頭ではそこまで理解できず、色々考える間に体が剣の重さも相まって急加速していた。
なのに時間だけはゆっくり感じた。
アキラは嫌な予感がした。
「あ、あれ?」
これってヤバいやつなのではと思ったその時、勝手に【キメラハント】が発動した。
アキラの潜在意識が、思考する意識よりも早く事態を把握したのだ。
「す、スライムになってる!? う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
フェルノと違って筋力に全振りでもなかった。
だからこのまま落ちたら全身打撲は必至と脳が警告して【半液状化】を使っていた。
体が青いプルンプルンスライムに早変わり。
同時に剣の切っ先が下になってクリスマスボアの背中へと落ちて行った。
グサリ!
Nightの十字架状の剣がクリスマスボアの背中に直撃した。
最後にミリ残っていたHPがあまりのオーバーなダメージ量の前に塵へと変わってしまった。
「お、落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
一方のアキラも危険だった。
地面に激突すると思った瞬間、当然地面に激突した。
「えっ?」
しかしアキラの体は無事だった。
おまけに【半液状化】も解けていた。
当然困惑もしてしまった。
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