VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇291 サンタのそりに乗ってみた

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 トレントディアが引いてきたのは大きなそりだった。
 豪華な装飾が施されており、人は六人くらい乗っても余裕な大きさだった。

「コレってもしかして?」
「サンタのそりだねー。へぇー、だからトレントディアだったのかな?」

 本来サンタのそりを引くのはトナカイだ。
 だけどディアは鹿のことを表していた。
 それでもトナカイも鹿も結局鹿だったから問題無しってことだろう。

「もしかしてあのサンタクロース風のNPCって……」
「いやいやー。それは分からないでしょー?」

 アキラとフェルノにはまだ確証が無かった。
 しかし考えている時間も無いと言えば無かった。

「そんなことはこの際後回しだ。まずは街まで一気に戻る方法を……おっ!」

 時間もかなり押していた。
 Nightの言うことも分かるのだが、トレントディアにマントを持ち上げられてしまった。

 体重が軽いせいか、簡単に持ち上げられてしまった。
 Nightはハーネスでも付けている感覚でダラーンとしていると、後ろのそりの中に押し込められた。

「うぉっ! い、痛いな」

 しかし安全に降りれるわけではなかった。
 受け身を取ったおかげで最小限で抑え込んだものの、凸凹部分に叩きつけられてしまった。

「大丈夫Night?」
「ああ問題はない。それは良いが、この状況は何だ? まさかこのそりが浮くとでも言うのか?」

 かなりメルヘンチックな内容で、Nightは疑ってしまった。
 あくまでもGAMEなのだが、流石に科学的に信じたくは無さそうだ。

 けれどトレントディアがNightの質問を理解したのか、首をコクコクと縦に振った。
 瞬きを何度かした後、「そうなのか」と納得せざるを得なかった。

「私たちも乗って良いかな?」

 アキラも乗せて貰おうと思い、トレントディアに尋ねた。
 すると目配せして「乗って」と言われたように感じた。

「乗って良いんだね。やった!」
「それじゃ乗ってみよー。おお、意外にふかふか。ちゃんと足が置けるように階段状になっているねー」

 アキラとフェルノもそりへと乗り込む。
 するとトレントディアの視線が雷斬とベルにも向けられた。
 あまり親しくはないはずだが、アキラたちの友達だと見抜いた節があった。

「私たちも乗って良いのですか?」
「良いみたいよ。よっと、雷斬、立てる?」

 ベルが雷斬に手を差し伸べた。
 差し出された手を迷わず掴み、呼吸や心拍数も安定したのか、雷斬も無事立ち上がった。

「うわぁ、本当にふかふかね。サンタクロースってこんなそりに乗ってたんだ」
「確かに良い材質ですね。しかし本来この場所は子供たちに配るプレゼントを乗せる場所ではないのでしょうか?」
「仕方ないでしょ?? だって誰も操縦できないんだもん」

 誰も手綱を握っては無い無かった。
 あまりに不安な状況の中、Nightが手綱を手に取り全員を固定した。
 先端にはワイヤーで延長し、そりからふり落とされないように一応シーベルト代わりになってくれた。

「とりあえず左右からの圧には負けないだろう」
「それって上下考慮してないよね?」
「そうだな。だが本当に飛ぶかは……はぁっ!?」

 Nightが途中で舌を噛んだ。
 今一瞬、ふわっとした感覚があったのだ。

「えっ、と、飛んでるの!」
「凄いな。だが如何やって……」
「そんなの分かんないよー。でもさ、凄いよねー。飛んでるんだよー」
「フェルノは翼を出せば飛べるでしょ?」
「いやぁー、飛んだことないんだよねー」

 フェルノは頭を掻いていた。
 確かにフェルノが竜化すると、背中からも翼を出せた。

 けれど風を切る時と防御する時しか翼を使わなかった。
 アキラもNightもフェルノが飛んだところを見たことは無かったが、Nightはそんな話には見向きもしなかった。

「如何やって飛んでいるんだ? いや、まだ飛んでいるわけではないのか。単純に浮いているとした方が良いな……」
「Nightさん?」
「と言うことは斥力を生み出しているのか? 例えるならリニアモーターと同じ原理の可能性も……」
「Nightさーん!」
「いや、そうなると電磁力を必要とする。この辺りの地形に磁場が発生しているのだとすれば……」
「おーい、Night! 早く戻って来てよ!」
「うわぁ。な、何だ?」

 アキラはNightを思いっきり揺すった。
 すると突然意識を引き戻されて気持ち惑るなっていた。

「な、何だ急に!?」
「一人の世界に勝手に行かないでよ。話が付いていけないし、トレントディアたちも困惑しているから進んでくれないんだよ!」

 見ればトレントディアは全く進んでいなかった。
 恩人であるNightがぶつぶつ念仏を唱え始めたので、怯えてしまったらしい。

「いや、勝手に進めばよかっただろ」
「そうは行かないみたいなんだよ。それに悩んでいることが如何でも良すぎるの!」
「如何でもよくはない。このそりが如何やって宙に浮いているのか気になるだろ?」
「気にならないよ。そういうことはGAME何だから、ファンタジーで良いよ。ねっ、みんな?」

 アキラはフェルノたちに尋ねた。
 しかし渋い顔をしていた。

「どっちでもいいから早く行こうよ。時間無いんだよ?」

 フェルノに当たり前のことを言われた。
 そこで思い出したのは他でもなかった。
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