VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇297 本当にサンタだったNPC

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 それからしばらくの間初雪を堪能した。
 しかし次第に雪が止み、完全に降らなくなった。

「あっ、もう終わっちゃった」
「意外に早かったな」

 ただ寒いだけの空が広がっていた。
 するとトレントディアは心身が冷え込まないようにと、ゆっくり地上へと向かった。

「あっ、もう下りるんだね」
「まあそれが妥当だな。安全に頼んだぞ」

 Nightが声を掛けると、トレントディアたちはゆっくりと地上に向かって下りていく。
 まるで空を駆けるみたいで楽しかった。



 トレンドディアたちの引くそりは街外れに下りた。
 アキラたちは急な気圧の変化に苦しめられながらも、実際には短時間だったはずなのに長時間に感じた空の旅を終えた。

 そりから降りた。
ふらっとして、頭を押さえた。

「あ、あれ? 地面の感覚が……」
「おっとっと、大丈夫アキラ?」

 転びそうになったところでフェルノが体を支えてくれた。
 「ありがとう」と感謝し、「大丈夫大丈夫」とへらへら笑っていた。

「お疲れ様でした、トレントディアさん」
「ほんと良く飛べたわね。やっぱりそりの効果かしら?」
「私はそう思っている」

 Nightたちはそりを観察したり、トレントディアを労っていた。
 アキラたちもすぐに仲間に加わると、何処からか唐突に声が聞こえてきた。

「ふぉっふぉっふぉっ!」

 この笑いからは聞き覚えがあった。
 振り返って見て見ると、そこに居たのは先程会ったサンタクロース風のNPCだった。

「あっ、あのお爺さんだ!」
「こう見ると、本当にサンタクロースに見えるな」
「そうだねー。でも最初情けなかったけど?」
「そんなこと言ったらダメだよ。おーい、こっちです。こっちこっち!」

 アキラはサンタクロースのNPCを呼び寄せた。
 するとトレントディアたちの首に付いた鈴がシャンシャーン! と甲高い音を奏でた。

「ふぉっふぉっふぉっ! 如何やら間に合った様じゃな」
「間に合った?」

 サンタクロース風のNPCは手を後ろに回したまま近づいてきた。
 しかしNightだけは訝しい表情を浮かべるとともに、アキラたちの前に立った。

「止まれ」
「ふぉっ?」

 Nightがそう言うと、圧倒的な威圧感からか、サンタクロース風のNPCは立ち止まった。
 アキラたちも何事かと思った。そこで止めようとしたが。逆に手を前に出されてしまった。
Nightは引き下がる気が無いようだ。

「如何したんじゃ? 儂は無事に役目を果たしてくれたから感謝を伝えに来ただけなのじゃが?」
「これはお前が仕組んだことか?」
「何じゃ?」

 サンタクロース風のNPCは首を捻った。
 アキラたちも何のことを言っているのか気になった。

「ねえNight、何に怒っているの?」
「おかしな話だろ。突然タイミングを見計らったかのようにトレントディアがやって来たのは」
「そ、そうかな?」

 可能性として、クリスマスイベントと言うことで、サンタクロース風のNPCがトレントディアたちを呼んできた。トナカイと言うこともあり、イベントには最適で、ここまでは納得ができた。
 アキラにもそこまでは思いついたが、ここで一つ疑問が浮かんだ。

 如何して・・・・このNPCが・・・・・トレントディアを・・・・・・・・呼べたのか・・・・・

「確かに変な話だよね。もしかしてお爺さんはここにいるトレントディアたちと知り合い何ですか?」
「ふぉっふぉっふぉっ。知り合いも何も、儂の手伝いをよくしてくれる二頭じゃよ」

 サンタクロース風のNPCは高笑いを始めた。
 だけどそれでは呼べた理由には繋がらないので、NightはNPC相手にも容赦せずに踏み込んだ。

「それで納得しろっていうの?」
「納得できんか? うーむ、なかなかに小難しいお嬢ちゃんじゃな」
「そうかも知れない。だけど引き下がっちゃいけないから」

 Nightはもの凄く頑固だった。このまま話を流してくれれば良かったのに、こんなところで詰まってしまった。
 アキラたちはしばしNightの言い分を聞かされた。
 いつものことだから特に気にも留めなかったが、サンタクロース風のNPCは困った顔をした。

「難しいのぉ」

 流石に難しい相手だった。
 それを受けてサンタクロース風のNPCはポケットからアイテムを取り出した。
 茶色くて光沢感のある呼び鈴だった。

「トレントディアを呼べたのはこの鈴のおかげじゃ」
「その鈴が? 確かに特定の動物にだけ聞こえる波長を奏でられるとしたら可能性はあるが……」
「如何じゃ信じたじゃろ?」

 サンタクロース風のNPCは自信ありげな顔を浮かべた。
 けれどNightはまだ引き下がらなかった。

「だけどそれだとアイテムで呼んだにすぎない」
「じゃからの。儂は本当にサンタクロースなんじゃよ。そうじゃなこれなら信じるじゃろ。よいしょぉ!」

 サンタクロース風のNPCは背負い投げでもする構えを取った。
 すると何処からともなく白くて大きな袋が現れた。
 それはまさしくサンタクロースが持っているプレゼントの入った袋そのもので、手を突っ込むと中から出てきたのは……。

「コレが証拠じゃよ!」

 放送された袋が出てきた。
 普通のNPCにはできない特殊な現象にプレゼント、流石のNightも「はっ?」と言うのが精一杯な情報量に信じるしか道は無かった。
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