327 / 617
◇325 初心者には難しい質問
しおりを挟む
少女の解説はその後も続いていた。
ウキウキと楽しそうに話す少女の口調は心地良くて、明輝はスッと頭の中に入って来た。
まずこの世界はちゃんとSFの世界をしていて、エネルギー問題だとか人類の格差を物語の主軸に置いているそうだ。
その現状を淘汰するみたいに謎の機械生命体が襲ってきたり、AIと戦ったり、人類同士で戦争したりとお互いの意思を押し付け合うように戦いが起こる中で、主人公たちがその世界を変えていく。そんな王道ストーリーだけど、シリーズが進むにつれて、その世界戦独自の要素が多数付け加えられて複雑化しつつも重厚なストーリーと機体こと装鋼人機、キャラ人気で今でも根強いファンがいるそうだ。
「ねっ、ちょっと面白そうでしょ」
「う、うん。難しい設定が追加されるっていうけど……」
「大丈夫大丈夫。大事なのは基本の世界観と、それぞれのキャラの心情だから。それ以降はもっと詳しくなるから、深掘っていかないとダメだから、初心者さんには難しいんだよ。だけどそれぞれの世界ごとにテーマはあって、さっきのスペリオン・ウィングの世界は金星の資源を争って対立が起こってしまって、お互いに生まれた確執を如何壊していくのか、如何やって調和するのかが物語の鍵になるんだよ」
ちょっと難しそうと、明輝は思った。
だけど聞いているだけでより深く世界観が気になってしまうのは、烈火や蒼伊の影響かもしれない。
明輝は真剣な眼差しを送りつつ、未だに名前も分からない少女とお話をしていた。
「ちなみに、他にも並んでいるけど知ってるの?」
「ある程度は分かるよ。戦闘機のプラモまでは分からないけど、SFアニメに登場した作品ならね」
その中でも特に鋼翼戦記イカロス・ウィングに関しては詳しかった。
資料集とかも読んだことがある知識量で、明輝は圧巻とさせられる。
「ちなみに貴女は好きな機体とかある?」
「す、好きな機体?」
「うん。ほとんど観たことが無いんだよね?」
「う、うん。よく分かったね……」
「だって興味ある顔して無いもん。なのに私の話は真剣に聞いてくれているからね。ちょっと気になっちゃって……それでどの機体が好き?」
逃げられる様子ではなかった。
明輝は食い気味で聞かれてしまったので、「うーん」と悩みながらショーケースに並ぶロボットを眺める。その中でピンときた機体を一つ選んだ。
「アレとか好きかも」
「アレ? おっ、サンライズ・ウィングだね。主人公機だ!」
「そ、そうなの?」
ネーミング的にそんな予感はしていた。だけど全然観たこともないので、ぱっと見で選んでしまった。
すると少女はその隣を指さす。同じくらいカッコいいロボットだった。
「世間的には隣にあるライバル機のミッドナイト・ウィングの方が人気あるんだけどね」
「確かにあっちもカッコいいけど、白っぽい方が好きかも」
「そっか。……やっぱり貴女面白いね!」
何故か高評価を貰ってしまった。明輝は分からないけれど「あ、ありがとう」とたどたどしく答える。
にこやかな笑みを浮かべられて流石に嫌にはならない。
だからこそ真っ当に受け入れた明輝だったが、少女はさらに楽しくなって尋ねる。
「ねえ、何か面白そうなアイデアとかないかな?」
「あ、アイデア?」
「そう、アイデア。貴女だったら、どんな機体を出してみたいって思う?」
「えっ、えーっと……」
明輝は困惑した。むしろ困ってしまって、脳の許容を超えようとしていた。
その提案は初心者には厳しくて、作品を知り尽くした上級者向けの質問だった。
(そんなこと言われても初心者の私には分からないよ!)
心の中で悲鳴を上げる。
作品のことをイマイチ知り尽くせていないせいで、如何したら良いのか分からないのだ。
とは言え何も答えないわけにはいかない。
何故か少女は期待するような目を明輝に向けていた。
だから意識を切り替えて何となくの思い付きを浮かべる。
「え、えっと……主人公が途中までロボットに乗らないとか?」
明輝は思い付きを言ってみた。
そんな作品が果たしてあって良いのかは別として、最初から全面的に戦うとか、訳が分からないまま戦う展開じゃなくて、お互いのことを理解しようとした末に自分も機体に乗って戦いを止めようとする物語も悪くなかった。
そして明輝の突飛なアイデアは、少女の心にグッと来る。
「良いねそれ! すっごく良い。主人公が最初は戦わないなんて普通無いよ。うん、それで途中で戦いを止めるために戦う……なるほどね」
「アイデアとしては良かった?」
「最高に良いよ。それに優しい設定だね」
少女はにこやかに微笑む。
それからぶつぶつと念仏を唱え始め、機体の名前とか設定を考え始めた。
「何か良い名前は無いかな?」
「な、名前? ロボットの名前だよね。うーん」
ふと明輝は少女の髪を止めるリボンが目に行く。もしかしたらいい名前になるかも。そう思ってふと提案してみた。
「リボンとか?」
「リボン? リボン・ウィング? ちょっとダサくないかな?」
「そ、そうじゃなくてリボンみたいに結ばれるみたいな……かな?」
「リボンみたいに結ばれる……それじゃあ、メビウスとか? メビウスの輪みたいな?」
少女はしっくり来ていた。
明輝のアイデアを拡大解釈して広げると、しっくりくる名前が思いつく。
その姿はまるで、インスピレーションの海の中を煌めくように、少女はパッと明るくなっていた。
ウキウキと楽しそうに話す少女の口調は心地良くて、明輝はスッと頭の中に入って来た。
まずこの世界はちゃんとSFの世界をしていて、エネルギー問題だとか人類の格差を物語の主軸に置いているそうだ。
その現状を淘汰するみたいに謎の機械生命体が襲ってきたり、AIと戦ったり、人類同士で戦争したりとお互いの意思を押し付け合うように戦いが起こる中で、主人公たちがその世界を変えていく。そんな王道ストーリーだけど、シリーズが進むにつれて、その世界戦独自の要素が多数付け加えられて複雑化しつつも重厚なストーリーと機体こと装鋼人機、キャラ人気で今でも根強いファンがいるそうだ。
「ねっ、ちょっと面白そうでしょ」
「う、うん。難しい設定が追加されるっていうけど……」
「大丈夫大丈夫。大事なのは基本の世界観と、それぞれのキャラの心情だから。それ以降はもっと詳しくなるから、深掘っていかないとダメだから、初心者さんには難しいんだよ。だけどそれぞれの世界ごとにテーマはあって、さっきのスペリオン・ウィングの世界は金星の資源を争って対立が起こってしまって、お互いに生まれた確執を如何壊していくのか、如何やって調和するのかが物語の鍵になるんだよ」
ちょっと難しそうと、明輝は思った。
だけど聞いているだけでより深く世界観が気になってしまうのは、烈火や蒼伊の影響かもしれない。
明輝は真剣な眼差しを送りつつ、未だに名前も分からない少女とお話をしていた。
「ちなみに、他にも並んでいるけど知ってるの?」
「ある程度は分かるよ。戦闘機のプラモまでは分からないけど、SFアニメに登場した作品ならね」
その中でも特に鋼翼戦記イカロス・ウィングに関しては詳しかった。
資料集とかも読んだことがある知識量で、明輝は圧巻とさせられる。
「ちなみに貴女は好きな機体とかある?」
「す、好きな機体?」
「うん。ほとんど観たことが無いんだよね?」
「う、うん。よく分かったね……」
「だって興味ある顔して無いもん。なのに私の話は真剣に聞いてくれているからね。ちょっと気になっちゃって……それでどの機体が好き?」
逃げられる様子ではなかった。
明輝は食い気味で聞かれてしまったので、「うーん」と悩みながらショーケースに並ぶロボットを眺める。その中でピンときた機体を一つ選んだ。
「アレとか好きかも」
「アレ? おっ、サンライズ・ウィングだね。主人公機だ!」
「そ、そうなの?」
ネーミング的にそんな予感はしていた。だけど全然観たこともないので、ぱっと見で選んでしまった。
すると少女はその隣を指さす。同じくらいカッコいいロボットだった。
「世間的には隣にあるライバル機のミッドナイト・ウィングの方が人気あるんだけどね」
「確かにあっちもカッコいいけど、白っぽい方が好きかも」
「そっか。……やっぱり貴女面白いね!」
何故か高評価を貰ってしまった。明輝は分からないけれど「あ、ありがとう」とたどたどしく答える。
にこやかな笑みを浮かべられて流石に嫌にはならない。
だからこそ真っ当に受け入れた明輝だったが、少女はさらに楽しくなって尋ねる。
「ねえ、何か面白そうなアイデアとかないかな?」
「あ、アイデア?」
「そう、アイデア。貴女だったら、どんな機体を出してみたいって思う?」
「えっ、えーっと……」
明輝は困惑した。むしろ困ってしまって、脳の許容を超えようとしていた。
その提案は初心者には厳しくて、作品を知り尽くした上級者向けの質問だった。
(そんなこと言われても初心者の私には分からないよ!)
心の中で悲鳴を上げる。
作品のことをイマイチ知り尽くせていないせいで、如何したら良いのか分からないのだ。
とは言え何も答えないわけにはいかない。
何故か少女は期待するような目を明輝に向けていた。
だから意識を切り替えて何となくの思い付きを浮かべる。
「え、えっと……主人公が途中までロボットに乗らないとか?」
明輝は思い付きを言ってみた。
そんな作品が果たしてあって良いのかは別として、最初から全面的に戦うとか、訳が分からないまま戦う展開じゃなくて、お互いのことを理解しようとした末に自分も機体に乗って戦いを止めようとする物語も悪くなかった。
そして明輝の突飛なアイデアは、少女の心にグッと来る。
「良いねそれ! すっごく良い。主人公が最初は戦わないなんて普通無いよ。うん、それで途中で戦いを止めるために戦う……なるほどね」
「アイデアとしては良かった?」
「最高に良いよ。それに優しい設定だね」
少女はにこやかに微笑む。
それからぶつぶつと念仏を唱え始め、機体の名前とか設定を考え始めた。
「何か良い名前は無いかな?」
「な、名前? ロボットの名前だよね。うーん」
ふと明輝は少女の髪を止めるリボンが目に行く。もしかしたらいい名前になるかも。そう思ってふと提案してみた。
「リボンとか?」
「リボン? リボン・ウィング? ちょっとダサくないかな?」
「そ、そうじゃなくてリボンみたいに結ばれるみたいな……かな?」
「リボンみたいに結ばれる……それじゃあ、メビウスとか? メビウスの輪みたいな?」
少女はしっくり来ていた。
明輝のアイデアを拡大解釈して広げると、しっくりくる名前が思いつく。
その姿はまるで、インスピレーションの海の中を煌めくように、少女はパッと明るくなっていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます
鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。
このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。
それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。
その称号効果はスライム種族特効効果。
そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・
このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。
主人公は経験値でモンスターを殴ります。
──────
自筆です。
俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件
夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。
周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。
結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~
RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。
試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。
「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」
枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる