VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇325 初心者には難しい質問

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 少女の解説はその後も続いていた。
 ウキウキと楽しそうに話す少女の口調は心地良くて、明輝はスッと頭の中に入って来た。

 まずこの世界はちゃんとSFの世界をしていて、エネルギー問題だとか人類の格差を物語の主軸に置いているそうだ。
 その現状を淘汰するみたいに謎の機械生命体が襲ってきたり、AIと戦ったり、人類同士で戦争したりとお互いの意思を押し付け合うように戦いが起こる中で、主人公たちがその世界を変えていく。そんな王道ストーリーだけど、シリーズが進むにつれて、その世界戦独自の要素が多数付け加えられて複雑化しつつも重厚なストーリーと機体こと装鋼人機アームドヒューム、キャラ人気で今でも根強いファンがいるそうだ。

「ねっ、ちょっと面白そうでしょ」
「う、うん。難しい設定が追加されるっていうけど……」
「大丈夫大丈夫。大事なのは基本の世界観と、それぞれのキャラの心情だから。それ以降はもっと詳しくなるから、深掘っていかないとダメだから、初心者さんには難しいんだよ。だけどそれぞれの世界ごとにテーマはあって、さっきのスペリオン・ウィングの世界は金星の資源を争って対立が起こってしまって、お互いに生まれた確執を如何壊していくのか、如何やって調和するのかが物語の鍵になるんだよ」

 ちょっと難しそうと、明輝は思った。
 だけど聞いているだけでより深く世界観が気になってしまうのは、烈火や蒼伊の影響かもしれない。
 明輝は真剣な眼差しを送りつつ、未だに名前も分からない少女とお話をしていた。

「ちなみに、他にも並んでいるけど知ってるの?」
「ある程度は分かるよ。戦闘機のプラモまでは分からないけど、SFアニメに登場した作品ならね」

 その中でも特に鋼翼戦記イカロス・ウィングに関しては詳しかった。
 資料集とかも読んだことがある知識量で、明輝は圧巻とさせられる。

「ちなみに貴女は好きな機体とかある?」
「す、好きな機体?」
「うん。ほとんど観たことが無いんだよね?」
「う、うん。よく分かったね……」
「だって興味ある顔して無いもん。なのに私の話は真剣に聞いてくれているからね。ちょっと気になっちゃって……それでどの機体が好き?」

 逃げられる様子ではなかった。
 明輝は食い気味で聞かれてしまったので、「うーん」と悩みながらショーケースに並ぶロボットを眺める。その中でピンときた機体を一つ選んだ。

「アレとか好きかも」
「アレ? おっ、サンライズ・ウィングだね。主人公機だ!」
「そ、そうなの?」

 ネーミング的にそんな予感はしていた。だけど全然観たこともないので、ぱっと見で選んでしまった。
 すると少女はその隣を指さす。同じくらいカッコいいロボットだった。

「世間的には隣にあるライバル機のミッドナイト・ウィングの方が人気あるんだけどね」
「確かにあっちもカッコいいけど、白っぽい方が好きかも」
「そっか。……やっぱり貴女面白いね!」

 何故か高評価を貰ってしまった。明輝は分からないけれど「あ、ありがとう」とたどたどしく答える。
 にこやかな笑みを浮かべられて流石に嫌にはならない。
 だからこそ真っ当に受け入れた明輝だったが、少女はさらに楽しくなって尋ねる。

「ねえ、何か面白そうなアイデアとかないかな?」
「あ、アイデア?」
「そう、アイデア。貴女だったら、どんな機体を出してみたいって思う?」
「えっ、えーっと……」

 明輝は困惑した。むしろ困ってしまって、脳の許容を超えようとしていた。
 その提案は初心者には厳しくて、作品を知り尽くした上級者向けの質問だった。

(そんなこと言われても初心者の私には分からないよ!)

 心の中で悲鳴を上げる。
 作品のことをイマイチ知り尽くせていないせいで、如何したら良いのか分からないのだ。

 とは言え何も答えないわけにはいかない。
 何故か少女は期待するような目を明輝に向けていた。
 だから意識を切り替えて何となくの思い付きを浮かべる。

「え、えっと……主人公が途中までロボットに乗らないとか?」

 明輝は思い付きを言ってみた。
 そんな作品が果たしてあって良いのかは別として、最初から全面的に戦うとか、訳が分からないまま戦う展開じゃなくて、お互いのことを理解しようとした末に自分も機体に乗って戦いを止めようとする物語も悪くなかった。
 そして明輝の突飛なアイデアは、少女の心にグッと来る。

「良いねそれ! すっごく良い。主人公が最初は戦わないなんて普通無いよ。うん、それで途中で戦いを止めるために戦う……なるほどね」
「アイデアとしては良かった?」
「最高に良いよ。それに優しい設定だね」

 少女はにこやかに微笑む。
 それからぶつぶつと念仏を唱え始め、機体の名前とか設定を考え始めた。

「何か良い名前は無いかな?」
「な、名前? ロボットの名前だよね。うーん」

 ふと明輝は少女の髪を止めるリボンが目に行く。もしかしたらいい名前になるかも。そう思ってふと提案してみた。

「リボンとか?」
「リボン? リボン・ウィング? ちょっとダサくないかな?」
「そ、そうじゃなくてリボンみたいに結ばれるみたいな……かな?」
「リボンみたいに結ばれる……それじゃあ、メビウスとか? メビウスの輪みたいな?」

 少女はしっくり来ていた。
 明輝のアイデアを拡大解釈して広げると、しっくりくる名前が思いつく。
 その姿はまるで、インスピレーションの海の中を煌めくように、少女はパッと明るくなっていた。
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