VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇236 龍の髭が二つもある?

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 アキラは真っ直ぐ続く道をひたすらに走った。
 足元は少しぬかるんでいて、少しでもブレーキを掛けなかったら簡単に転びそう。
 ある程度の速さで走っていくと、だんだんと視界が広く、白くなってきた。

「あれ? 私、目悪くなったのかな?」

 そんな訳ではなかった。
 単純に逆光になっていて、視界が悪くなる。
 その証拠に、目の前以外の景色は普通に視界に映り込む。

「おかしな道。GAMEとかである、裏ルートってやつなのかな?」

 アキラは知ったかぶりな知識を当てはめてみた。
 だけど目の前の視界だけが悪いのは、あまりにもバグな気がしてならない。

「それにしてもこの道、誰が作ってくれたのかな?」

 元を辿ればそこだった。
 突然道ができたこと、その道を進むしか用意されていないこと。
 後ろを振り向くのが怖くなる一方通行な道の上で、アキラは色んな事を考えていた。

 何処まで言っても景色が同じ。
 頭がおかしくなりそうに思うかもだけど、アキラはそんなことは考えない。
 今考えているのは、どれくらい時間が経ったのかだ。
 きっととんでもない時間が経っていると、アキラは何となく足を速める。

「みんな心配しているかもね」

 そんなことをポツポツ呟く。
 すると逆光の隙間が少し開き、視界に人だかりが見えてきた。
 数は四人くらい。まだ距離はあるけれど、形的にももしかしたらと思い、目を凝らし耳を傾ける。
 そこに居るのは少女達で、如何やらアキラの話をしているようだった。

「後はアキラだけなんだが……」
「そうだねー。一体何処に行っちゃったのかな?」
「さっきからメッセージを送ってはいるのですが……」
「全く返信が無いわね。一体何をしているのよ」
「全くだな」

 何だかみんな怒っている。
 アキラは嫌な予感がしてメッセージを確認しようと思ったが、まずは合流を優先した。
 全力で一本道を走って行くと、だんだん視界も良くなる。逆光が解けた途端、頭の中に声が響く。

『直通を特別に作ってあげましたよ。感謝してください』

 この声はアクアドラゴンのものだった。
 と言うことはこの道を作ってくれたのはアクアドラゴンで、今も何処かからかアキラのことを見ていた。

「ありがとうアクアドラゴン」
『ふん』
「だけど、全身びしょ濡れだけはやめて欲しかったなぁー。なんてね」

 アキラははにかんで見せた。
 すると頭の中に『道を作ってあげただけ、感謝してくださいよ』と怒られてしまったので、素直に「ごめんなさい」と謝った。
 それ以降、アクアドラゴンの声はプッツンと聴こえなくなってしまった。
 つまりは逆光が完全に消失し、視界がクリアになった証拠で、ようやく合流が叶った。

「おーい、みんなー!」

 アキラは手を振って合図を送る。
 するとNightが真っ先に振り返り、驚いた表情をしてからの怪訝な表情に早変わり。
 完全に怒っているなと思ったアキラだったが、今回はちゃんと成果もあるので許して貰えると期待する。

「あっ、アキラだ。おーい、こっちこっちぃー!」
「うん、ちょっと待ってて」

 フェルノは口に手を当てて声を拡散する。
 アキラは滑らないようにそれなりに急いでフェルノたちの下へと駆け寄った。

「はぁはぁ。ごめんね、みんな。遅くなっちゃった?」
「うーん。そんなに遅くは……」
「遅いだろ。メッセージを最初にフェルノが一斉送信してから二時間だぞ、二時間」

 アキラは目を丸くした。
 何のことかさっぱり分からない。

「えっ、ちょっと待ってよ。今、何って言ったの?」

 アキラは訊き返してしまった。
 おかしな奴だと思われたかもしれないが、雷斬は答えてくれる。

「アキラさん。実はアキラさんと連絡が取れなくなってから二時間ほど時間が経過していたんです」
「二時間も? そんな、私の体感だと、まだ三十分くらいなんだけどな……」
「三十分なわけが無いだろ。実際、フェルノから連絡を貰ったのが二時間前で、ずっと捜していたんだぞ」
「そうなの? ごめんね。えっと、メッセージだよね? うわぁ、いつの間にかこんなに届いてたんだ……」

 メニューを表示してメッセージ欄を見てみる。
 確かに大量のメッセージが送られていて、アキラはドン引きした。
 だけどそれだけ心配させてしまったんだと実感し、何だか気が引けてしまう。

「ほんとにごめんね」
「もう良いよー。それよりさ、ついに手に入れたよー!」
「手に入れた? あっ、実は私も手に入れたんだぁ!」
「嘘っ!? えっ、もしかしてそのせいで遅くなっちゃったの?」
「う、うん」

 まさかフェルノも手に入れているとは思わなかった。
 アキラはその間アクアドラゴンとの壮絶なバトル? を演じていたせいもあって、遅くなってしまった。
 
しかしこうして事情が間接的に伝わったこともあって、少し空気が大人しくなる。
ホッと胸を撫で下ろすアキラは早速ポーチの中から取り出した。

「「それじゃあ、せーのっ! ……あれ?」」

 アキラとフェルノはお互いに龍の髭を取り出して見せた。
 しかしアキラは想像していた。似ているけれど明らかに違う。
 アクアドラゴンの髭の方が断然カッコよくて繊細で透き通っていた。
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