VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇371 モチツキンの弱点は?

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 アキラとフェルノはお互いに身を寄せ合う。
 目の前にはモチツキンの姿。
 こちらを睨みつけているのか、それとも静観しているのか、杵を持つ手をグニャリとさせながら、アキラたちを待っていた。

「モチツキン、私たちを待っているよ」
「みたいだねー。にしても舐めているよねー」
「そ、そうなのかな? でも、フェルノの攻撃も効かなかったよ? 私たちのこと、舐めている前に眼中に無いのかも」
「それは傷付くなー。絶対一泡吹かせないとねー」
「でも如何やって?」

 モチツキン相手に、フェルノのパワーを武器にしても全くダメージが入らなかった。
 それだけ強靭な防御力を、モチツキン本体の臼は担っている。

「拳が入らないなんて、アキラの【キメラハント】で突破口を見いだせないのー?」
「ヤ、やってみるよ。【甲蟲】+【灰爪】+【月跳】!」

 アキラはいつももセットを発動。
 腕と脚を全力で強化すると、モチツキン目掛けて跳び出した。

 ズドン!

 接近すると同時に、超高速で杵が振り下ろされた。
 しかしアキラは全く動じない。
 意識を切り替え、素早く空を見上げて跳んだ。

「そりゃぁ!」

 高らかに跳び上がる。モチツキンの外した杵を逆手に取り、より高い所から蹴りを入れた。
 ズシン! とダメージが入った。
 けれどダメージが入ったと勘違いしたのはアキラだけで、傷は全く入らない。

「嘘でしょ!?」

 アキラは瞬きを繰り返す。
 しかしそんな暇を与えてくれないのがモチツキン。
 背後ではフェルノが口に手を当てて叫び出した。

「アキラ、危ない!」
「えっ?」

 アキラは振り返った。
 フェルノが危険を知らせてくれているようで、何が起きたのかと思った。
 すると急に杵が動き出す。ガタガタと地面の中から持ち上がり、勢いよくアキラを空へと吹き飛ばした。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 アキラは絶叫を上げる。
 不安定な体勢で空へと打ち上げられた影響か、上手く受け身が取れそうにない。

「くっ。それなら!」

 アキラはそれならばと思い、体を捻った。
 【灰爪】で武装して、回転しながら飛び込む。

「回転を武器にして、逆に攻撃に転じたのか……だかそれでも」

 Nightはチラリと視線をくべる。
 しかしアキラの渾身の作戦も、ただの捨て身に終わってしまった。

 カキーン!

「う、嘘でしょ!? うわぁ!」

 臼に爪が引っかかってしまった。
 ただそれだけのことでダメージなどはなく、モチツキンがドスンと一歩足踏みをしただけで、アキラは弾き飛ばされてしまう。

「い、痛い……」
「アキラ大丈夫?」
「大丈夫だけど……モチツキン、強すぎるよ。倒せる気がしない」

 フェルノが傍に寄って来てくれて、アキラのことを心配する。
 しかしアキラも過ぎに立ち上がると、モチツキンが長い杵を振り回してくるので、慌ててフェルノを押し倒して後ろに下がった。

「危なかった……」
「痛たたぁ。危く死ぬかと思ったねー」

 フェルノは翼を使ってクッションにする。
 おかげでアキラもフェルノも怪我はしていないし、HPが削られることもない。
 だけどそれでは勝てない。このまま一人一人戦っていても、肝心のダメージにはなってくれないとみて、二人は息を合わせる。

「アキラ、私が勢い付けるから、正面突破で殴りつけて!」
「あまりやりたくないけど……分かった」

 フェルノはアキラの腰を持った。
 右足の裏で地面を蹴り上げると、熱を使って加速する。
 雷斬程ではないが、もの凄い熱エネルギーを放ちながら、炎の道を生み出して、モチツキンに叩き込む。

「そりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 お腹から声を出して、正拳突きを突き出す。
 ズドン! 確かに拳は入った。
 【甲蟲】を使ってガードした腕、しっかりと力は乗っていたにもかかわらず、モチツキンにダメージがない。

「嘘だよね? こんなに全力でやったんだよ?」
「ちょっとくらい傷が入ってても良いよねー? なんで入らないんだろ」
「分からない。分からないから怖いんだよ。もしかして、最初から倒される想定されていない?」

 アキラはとっても嫌な予感がした。
 予め倒されることを想定されていない、それこそ何発も殴ってポイントを稼ぐみたいな、そんな仕様なのではないかと、アキラは想像した。
しかし背後からパチパチと細かく叩く音がする。

 振りむかなくても分かる。
 必死の思いが空気を揺らし、そして正解への道を導いた。

「そう言うことか」
「Night!」

 アキラは叫んだ。
 振り返ってみると、やっぱりNightがキーボードを操作して、ネットの情報を拾ってくれていた。
 その顔はあまり清々しくない。
 何か面倒なことなのは確定だが、アキラはこの状況を打破する方法だと信じて、Nightに尋ねる。

「何か分かったんだよね!」
「ああ。だが、コレは骨が折れるぞ」

 あくまでも比喩表現。そんなことは判っていたが、モチツキン相手には本当に骨を折るのではと想像してしまう。
 しかしゴクリと喉を鳴らすと、Nightに促す。

「お願い、教えてNight!」
「言われなくてもそのつもりだ。モチツキンの弱点は……」

 Nightが伝えようとした。
 その瞬間、ドスンと言う音共に、モチツキンも動き出した。
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