VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇554 痛み分けな結末

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 バー――――ン!! ボー――――ン!!

 爆発音が響き渡った。
 眩い閃光に包まれると、とてつもない熱が迸る。
 ボーンドラゴンはコアにぶつかり、真っ先に光と爆発に飲まれた。

「ボンギャラララァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 ボーンドラゴンの姿は爆発に巻き込まれてしまった。
 光に覆い包まれ、絶叫と共に飲み込まれる。
 それが最後の言葉になると、ボーンドラゴンは消えてしまった。

「な、なにが起きて……あ、あっっ!?」

 アキラは見えなかった。
 視界が奪われると、何が起きているのか分からない。
 にもかかわらず、頬を焼く様な熱が走ると、アキラは声を上げた。

「ヤッバ! アキラ、逃げるよー!」
「私が道を切り拓きます。満月斬り!」

 雷斬は道を切り拓く。
 満月斬りで光と熱を断ち切ると、その後ろをフェルノが全力で駆け込む。

「うっ、うわぁ!? フェルノ、なんで私抱えてるの?」
「いいから、早くしないと……ぐへっ!」
「フェルノさん!? うわぁ!」

 アキラとフェルノは雷斬にぶつかった。
 互いに体を押し付け合うと、光と熱に押し出される。
 部屋の壁に思いっきり叩き付けられると、アキラはようやく視界を取り戻す。

「い、痛い……けど、熱い! 熱い熱い!?」
「もしかしてあのコア、壊しちゃダメだった系?」
「恐らくそうですね。早く壁の裏に」

 アキラたちは熱に襲われた。
 コアを壊したせいか、とてつもない光と熱に肌が焼けそうになる。
 壁に手を触れながら何とか進むも、流石に間に合わない。HPがドンドン削れていく。

「このままじゃ、強制ログアウトしちゃうよ」
「でもさー」
「そうですね。このままでは、時間も……」
「お前ら、私を忘れるな」

 Nightの声が聞こえた。
 耳を打たれると、アキラたちの前に巨大な盾が床から生える。
 すると光と熱が遮られ、一気に焼けた肌が冷たくなった。

「さ、寒い! 今度は急に寒い!?」
「当り前だ。熱源を壊したからには、この部屋は一気に冷えるぞ」
「そんな! っていうか、Night。遅いし、無茶だよ。私たちじゃなかったら、死んでたよ!」

 アキラは遅れて助けに来たNightを叱った。
 危うく最終日を迎える前に死に掛けた。
 険しい表情になる中、Nightはインベントリからアイテムを取り出す。

「ほらっ」
「おっと。コレ、回復ポーション?」
「火傷も回復できるように、私が調整したものだ」

 Nightは回復ポーションを取り出し、アキラたちそれぞれに手渡す。
 受取った中身を一気に飲み干す。
 すると喉の奥がヒリヒリする。変な感覚に追い込まれると、今にも吐き出しそうになった。

「不味っ!」
「当り前だ。効能が高い分、苦みも倍だからな」
「うえっ、こんな飲むのー? 吐きそうな人がいるのに?」
「……」

 アキラたちは嗚咽を漏らした。
 そんな中、雷斬だけは全力で耐える。
 無言のまま動かない石になると、ベルに肩を触られる。

「雷斬、無理してまで飲む必要は無いのよ?」
「……」
「飲めないのね。はいはい、ゆっくり飲めばいいのよ」

 あんなもの、飲みたくもない。
 けれど飲まないと、いつまでも肌が痛い。
 イベントで勝利した筈だけれど、この部屋から出られるようになるまで、まだ少し時間があるようで、アキラたちは苦悶の表情を浮かべた。

「ううっ、不味い」
「これ、今まで飲んだ奴より厳しくない?」
「不味いを通り越して不味いものを調合したからな。その分、効き目は凄いだろ」
「「効き目?……嘘っ!?」」

 アキラとフェルノは驚いた。
 体中が焼ける感覚が無くなり、痛みがスッと引いて行く。
 更に腕を見てみると、焼けた肌が治って来た。
 とんでもない回復効果に目を見開くと、瞬きさえできなかった。

「嘘じゃない。それが現状いまだ」
「不味いだけのことはあるねー」
「うん。これで効かなかったら、Nightのこと……」

 手が出ていたかもしれない。
 それくらい不味くて仕方が無く、本気で吐き出したかった。

 それでもアキラたちはポーションを飲み切る。
 口の端から緑色の液体が垂れてはいるが、気が付けばHPも全回復、怪我も治っている。
 万全を今更期したアキラたちだったが、そろそろ時間らしい。

「おっ、来たな」

 アキラたちの体が粒子に包まれる。
 如何やらテレポートの準備が整ったようで、第二フェーズも無事に終わった。
 のだが、まだアキラたちは分からないことがある。

「そう言えばNight。ボーンドラゴンはどうして……」
「ああ、それは……」

 ボーンドラゴンが何故倒されたのか。
 Night以外の面々は、あまり分かっていなかった。
 そのせいか、テレポート寸前で訊ねたのだが、間に合わない。

「「「あっ!」」」

 スッと互いが目の前から消え合う。
 要塞の中枢部には誰もいなくなってしまうと、冷たく寂しい空気が立ち込める。

 Nightの作った盾だけが取り残されると、真っ暗闇に覆われた。
 もはや肉眼での視認は不可能。
 呆気ない幕引きを前に、第二フェーズは無事に終わった。
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