約束の時

igavic

文字の大きさ
11 / 15

告解

しおりを挟む
至福の時間はあっという間に過ぎ1年になる。
より深くお互いを愛するようになっていたが
ひとつの疑問が未だに解決されてはいなかった。

時々連絡が取れなくなる例の彼女の行動は
徐々に私を冷静で居られなくしていた。

そして遂に彼女の家に行った日の深夜、
眠りにつくまでの穏やかな時間を狙って、
今思い出したかのようにこう切り出した。

「今だから白状するけど、
 会ったばかりの頃の話しなんだけど、
 聖子に会いたくて以前の家の近くまで
 車で行ったことがあって」

「えー、知らなかった、
 電話して欲しかったなー、
 その時私は家に居たのかな?」

「もちろん電話しようと思って
 近くの公衆電話を探したんだけど結局
 見つからないうちに着いちゃって」

「いつのことだろう、
 今なら私がしちゃうかもね」

「近くに車を止めて少ししたら
 タクシーが止まって聖子が降りてきたんだ
 それもかなり酔ってたみたいで」

「うっそ、声掛けてくれなかったの?
 声掛けてよー」

「でも、一緒に男の人が降りてきて
 聖子のこと抱えてたから」

「えーっ、誰だろう、どんな人?
 全然覚えてないんだけど」

「ごめん、それ見た途端に
 アクセル踏んでたからよく見てなかった」

「あー、もしかしてこれって
 やきもち焼いたよって話し?」

「そう、凄いところ見せつけられたから」

「なんにも覚えてないんだけど
 気がついたら家だった時の事かな」

「多分そうだと思う、タイミング的に」

「だったらあのパブのボーイさんだと思う
 家が近いからって乗せてもらったみたい
 ほとんど覚えてないんだけどね
 後でオーナーに聞いて恥ずかしかったー」

彼女の話し方から想像するに
深い仲では無い様で安心した。

「そっか、わりと心配性なんだね
 でも今は安心でしょ?」

「そうかな」 

「そこはいつもの"大丈夫"か
 "そうだよ"でしょ、もう」

彼女のはっきりとものを言う性格と
真っ直ぐな愛情にいつも助けられていた。

「でもね、ひとつ言わなきゃいけないかも」

「なんだろう、ちょっと怖いけど」

と言いながらもいよいよ期待した領域に
入っていく気配で期待はさらに大きくなった。

「実はね、五十嵐くんに初めて会った頃、
 告白された5つ下の人がいてね、
 すぐに断ったんだけどその後も
 何度か連絡してきてて」

「5つ下って23歳?」

「そう、私は年下苦手だし、それも5つも」

「それで?今は?」

「今も時々電話してくる」

「聖子は迷惑と思ってるの?」

「ほんとうに悪い人ではないし
 電話しないでとも言えなくて」

「五十嵐くんが嫌ならはっきりと言うけど」

こんな時、賢人達は何と返すのか知りたかった。
少々危険な香りを感じさせながらも
彼女の憎めない小悪魔的な振る舞いに
ある意味魅力を感じて惚れていただけに
ここは彼女の思うようにして欲しいと思った。

「大丈夫、聖子を信じてるから
 その子を傷つけないようにしてくれれば」

「わかった、そうする
 五十嵐くんらしい、大好き」

そう言うと彼女の優しいキスで話しは終わった。

私は彼女を抱きしめずにはいられなかった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

雪とともに消えた記憶~冬に起きた奇跡~

梅雨の人
恋愛
記憶が戻らないままだったら…そうつぶやく私にあなたは 「忘れるだけ忘れてしまったままでいい。君は私の指のごつごつした指の感触だけは思い出してくれた。それがすべてだ。」 そういって抱きしめてくれた暖かなあなたのぬくもりが好きよ。 雪と共に、私の夫だった人の記憶も、全て溶けて消えてしまった私はあなたと共に生きていく。

処理中です...