僕は☓っぽいけど○だから☓子校に行くなんて間違ってる!

だらけたい

文字の大きさ
3 / 85

3.波乱の

しおりを挟む
「コウ。朝よ。起きなさい」
「もう………朝………?」

 母さんに起こされて時計を見るとまだ5時。

 なんでこんな時間に起こすんだよ。

 と、思いながら母さんを見上げる。

「早すぎない?」

 中学時代でもこんなに朝早くに起きるなんてなかったのに、卒業してからは早くても8時にしか起きてこなかったのでまだ眠い。

 眠い目をこすっていると、母さんが頭を撫でてきた。

「新幹線の時間があるからこれでもギリギリまで寝かしてあげていたほうよ」

 新幹線。

 そう言われて思い出した。

 今日、新幹線にのって小学生時代に住んでいた小説町に行くのか。

 色々急すぎて頭が混乱していたせいで忘れてた。

「だから起きてね」

 そう言われると起きるしかないし、ここで駄々をこねると母さんからどんなお仕置きがされるかわからないので、眠い目をこすりながら起き上がり、大きくあくびをする。

「おはよう、母さん」
「おはよう。顔洗って着替えたらご飯食べなさい」
「うん」

 笑顔で部屋を出ていく母さんの後ろ姿を見送ってから、ふぁ~、ともう1度あくびをしてからバンザイする形で背を伸ばしてから立ち上がる。洗面所で顔を洗ってから服を着替えてリビングに行くと父さんがお腹をさすりながら朝食とにらめっこしていた。

「おはよう、父さん」
「おはよう、コウ」
「どうしたの?食べないの?」
「昨日のミニカツ丼のせいで胃もたれしていてな」

 う~、と言いながらまだ朝食とにらめっこしている父さんの後ろにいつの間にか笑顔の母さんが立っていた。

「あら。私のミニカツ丼が悪かった、と?」
「胃もたれの原因は確実にそれだろうな」

 別にやましいことがあるわけでもなく、事実を言っているだけなので父さんはビクビクすることなく言い返していた。

 母さんは困ったような顔で頬に手を当てた。

「そうね。だからあなたの朝食だけおかゆにしてあげたんじゃない」

 確かに、僕や母さんの朝食はパンにサラダにベーコンエッグにスープといつもの朝食だったが、父さんの朝食だけおかゆだった。

「その気遣いを昨日のミニカツ丼の時にもみせてほしかったけど」

 父さんの言い分もわからないことはないが、それを言うと母さんに睨まれるだろうから成り行きを見守る。

「だからカツ丼をミニにする気遣いをみせたじゃない」
「それだったらミニカツ丼自体を出さないという気遣いにしてほしいよ」
「ごめんなさいね」

 母さんにバックハグされながら頭を撫でられた父さんは、ゆっくりながらもおかゆを食べ始めた。

 これで決着がついたらしい。

 そんな2人のやり取りを苦笑しながら見つつ、僕も朝食を食べ始める。

「そういえばコウ。スマホ貸してちょうだい」

 父さんから離れた母さんがそう言いながら僕に手を差し出してきたので、僕はロックを解除したスマホを母さんの手に乗せた。
 すると、母さんは自分のスマホを取り出して僕のスマホと何かやり取りをし始めた。

「ありがとう」

 母さんから返ってきたスマホを見るが、特に変わったところはなかった。

「何をしたの?」

 中を調べればわかるんだろうけど、朝食も食べないといけないのでシンプルに母さんに聞いた。

「電話帳とラァインにチョウちゃんの連絡先を入れただけよ」

 確かにそれはこれからチョウちゃんの家に居候するにあたって必要になることだけど、今日会うのだから別に今入れる必要はないはずなので、パンを咥えながら首を傾げてみる。

 そんな僕の姿に苦笑した母さん。

「行儀悪いわよ」

 なので首を元に戻してパンを食べ始めるとまた母さんは苦笑した。

「一応チョウちゃんには新幹線の着く時間は教えてるけど、着いたら連絡欲しいって言っていたからね」
「なるほど」

 それなら納得だった。

「だから忘れずに連絡してあげてね」
「わかったよ」

 朝食を食べ終わり、新幹線の時間もあるということで家を出て駅のホームにやって来た。

「コウ。チョウちゃんにあんまり迷惑かけすぎずに高校生活頑張れよ」
「父さんこそ母さんに迷惑かけすぎないようにね」
「なに言ってるんだよ」

 父さんに頭を小突かれた。

「父さんはどうかはわからないけど、私は年に1回は戻ってくるつもりだから、体調だけは気をつけてね」
「うん。母さんも慣れない海外で体調崩さないようにね」
「えぇ」

 母さんに抱きしめられたので抱きしめ返す。

 別に今生の別れとかではないので泣くことはない。というより何もかもいきなりすぎて泣きたくても泣けないとも言えた。

 そんなことを思っていると新幹線がやって来たので乗り込む。

「コウ。高校生活楽しんでこい」
「チョウちゃんによろしくね」
「うん。じゃあね」

 新幹線の扉が閉まり、動き出した。

          ✳

「行きましたね」
「行ったな」

 コウを見送った私達は空港行きの電車に乗り込んだ。

「しかし、聞かなかったコウも悪いと思うが、言わなかった母さんもなかなか悪い母親だ」

 私がそう言うと、母さんはニンマリと微笑んだ。

「あら。いくらでも聞く機会はあったのだから、聞かなかったコウが全部悪いのですよ、あなた」

 それを言うなら言う機会もいくらでもあった、ということにもなるのだが、それを言ったところで母さんはコウが悪いと言うだけだろうから、これ以上は言わないでおこう。

「コウの高校生活はしんどいモノになりそうだな」
「波乱の高校生活。それもまたいいんじゃないですか?」
「いいのかな?」
「いいんですよ」

 母さんがそう言うならそうしておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...