僕は☓っぽいけど○だから☓子校に行くなんて間違ってる!

だらけたい

文字の大きさ
25 / 85

25.アウトなんだって

しおりを挟む
 3年ぶりに帰ってきた小説町。

 なのだけど、こんなに急に、それも昨日と今日とで色んな出来事があったせいで、一応感情的には一区切りつけたつもりではいるのだけど、やっぱり感慨深いという気持ちになれていない。

 それがなくても感慨深いと思えるかはわからないけど。

 でも、そんな複雑な気持ちの中でも少しは懐かしいと思えているのは、やっぱりここが僕の生まれ故郷なのだということなのだろう。

 なんて、今年高校生になる少女が普通思うことじゃないんだろうね。多分。

 内心苦笑しつつも、人で賑わう駅前を見回してみる。

 最近は色んな街の駅前が再開発されているニュースをよく耳にするけど、小説町の駅前は3年前と何ら変わりないように見える。

 しかし、小学生の頃の記憶なんて曖昧なものだし、僕が気がついていないだけで色々と変わっている点があるかもしれない。

「ねぇチョウちゃん」
「なに?」
「見た感じ駅前は変わった様子はないけど、町内で変わったりしたところある?」
「そうだな~」

 チョウちゃんはあごに人差し指を当てると上を向いて考え始めた。

「確かに駅前は変わってないね」

 チョウちゃんはわざとらしく「は」を強調してきた。

 ということは、駅前以外では変わったところがあるのか、それとも何も変わってないのに変わったような雰囲気を出して僕がキョロキョロするのを見て楽しむためにワザと「は」を強調したのか。

「他が変わったかどうかは自分の目で確かめるといいよ」
「それもそうだね」

 チョウちゃんの言葉の真意を色々と考えるより、自分の目で見て確かめたほうが早いだろう。
 それに、もし何か変わったことがあるとして、それが分からなかったとしても商店街の人に聞けば素直に答えてくれるだろう。

「それじゃ」

 商店街に向けて1歩足を踏み出したけど、僕は本能的に1歩大きく後ろへ飛んだ。

 駅前のこんな人混みの中で周りの確認もせずに後ろに飛ぶなんて人にぶつかる可能性が高いし、人混みの中ではそんな小さなことでもそこから連鎖して大きな事故につながる場合もあって危ないから、良い子はやったらダメだからね。

 って、僕は誰に向かって注意しているのだろうか?

 意味不明だ。自分でも意味不明だけど言わないといけない気がしたから言ってみた。

 まぁ、それはいいか。

 で、そんな危ない状況だとわかっていながらもなぜ後ろへ飛んだかというと、ホントに本能的だというしかない。本能的な危機察知によるものとしか言いようがなかった。

 直後、僕の目の前を走り抜けた女性は、

「ぐふっ」

 というチョウちゃんの苦痛の声だけを残して、チョウちゃんを抱えたまま人混みの中へと消えていった。

 それを見送りつつホッとしていると、女性がチョウちゃんを抱えたまますぐに帰ってきた。

 戻ってきた女性は頬を膨らませていた。

「私の再会を喜ぶハグを避けるなんてヒドくないかな?」

 開口1番そんなことを言う女性だが、その女性が抱えているチョウちゃんがぴくりとも動かないのを見ると、避けて正解だったと思う。

 というか、僕の危機察知が反応したのはこの女性のせいか。

 それにそもそも文句を言われる筋合いはない。というより、それ以上に気にしないといけないことがあるだろう。

「いや、僕に文句言う前にチョウちゃんは大丈夫なの?」

 いまだにぴくりとも動かないチョウちゃんの姿を見ていると、生きているのかどうかすら不安になってくる。

「ちょっと気絶してるだけでちゃんと生きてるから大丈夫だって」

 あっけらかんと笑う女性だが、相手が気絶するほどのハグをするのはアウトだろうし、再会を喜ぶにしても強すぎるだろう。
 そして、本能的に避けなければそのハグを僕が受けていたわけで、そうしたら絶対チョウちゃんのように気絶していただろうし、やっぱりアウトだよね。

「気絶してる時点でアウトだね」

 すると、女性は不満げに近づいてきた。

「私が本気を出してたらチョウちゃん即死よ?」

 その言葉が冗談ではないことを知っているので笑えない。

 この女性の名前は桐リン。この小説町にある神社で暮らしている女性なんだけど、今は人の姿をしているけどその正体は神獣の麒麟だ。

 だからといって神社に祀られているわけでも、この小説町を護る守護獣とかでもなく、ホントにただただ住んでいるだけの神獣だ。
 しかし、ただただ住んでいるだけとは言っても働いていないわけではなく、巫女としてしっかりと働いていたりする。

「だから、気絶してる時点でアウトなんだって」
「ぶ~」

 頬を膨らませるリンを見て僕は苦笑した。

 すると、「は~」と息を吐いたリンは僕に笑顔を向けてきた。

「まぁ、いいわ。それより、おかえりなさい」

 何もよくない気がするが、笑顔でそう言われるとそれ以上なにも言えなくなり、少し苦笑混じりではあるけど僕も笑顔で答える。

「ただいま」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...