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26.一瞬たりとも
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「それより、よくわかったね。僕が帰ってきたって」
チョウちゃんは誰にも話していないと言っていたので、当然リンにも話してはいないだろう。それなのに、駅前に降り立ってから10分も経たないうちにリンが現れたということは、なんらかの方法で知ったということだろう。
「コウが小説町内に入ってきた瞬間に気配でわかったよ」
まさか気配でわかったなんて………。
笑顔で異常なことを言うリン。と思いかけたけど、本来麒麟のリンならそれくらいのことは普通に出来るよね、と思い直した。
昔っから人の姿のリンを見てきたせいかついつい麒麟であることを忘れてしまう。
「今日は巫女の仕事はなかったの?」
「そんなのコウが帰ってきたことにくらべれば些細なことだし、神主にあとは頼んで着替えて飛んできた」
リンからすれば神社での巫女の仕事もそんなことなのかもしれないけど、僕が帰ってきたからって放り出すのは、ね。
笑顔のリンに苦笑を向ける。
それにあとを任された神主さんもリン相手では怒るに怒れないし、あとで一緒に謝りにいこう。原因は僕だし。
「それより、転校してから3年間の間1度も帰ってこなかったのに1人で帰ってきてどうしたの?」
不機嫌な表情でちょっとトゲのある言い方をしてくるリン。
「確かに向こうに行ってから色々あって帰ってこれてないことは悪いと思ってるよ」
夏休みか正月くらいは帰ってきたいと思っていたのだけど、トラブルメーカー達が次から次へと僕を巻き込んでトラブルを起こすせいで、結局1度も帰って来れなかったのだ。
「まぁ、コウだから色々と巻き込まれてるんだろうとは思っていたから気にしてないけど、どうしたの?」
明らかに気にしている言い方だけど、リンが気にしていないと言っている以上謝っても堂々巡りしそうなので、とりあえず聞かれたことに答えよう。
「父さんの海外転勤に母さんが付いていくことになったから、チョウちゃんの家に居候しながらこっちの高校に通うために戻ってきたのだよ」
「ホント!?」
「ぐぇっ」
不機嫌な表情から一転して笑顔になったリンが興奮して腕に力を入れたため、チョウちゃんから出てはいけないような声が出てきた。
「本当だからチョウちゃんを抱き締めてあげないで」
「あっ」
どうにかすぐに落ちついてはくれたが、チョウちゃんはさらにだらんとしており、白目まで向いていたがかろうじて呼吸している音は聞こえているので死んではいないだろう。
というか、流石に白目のまま放置するのはかわいそうなのでまぶたは閉じておく。
「それよりそれより!」
一瞬は収まったリンの興奮が再燃し、チョウちゃんのことは気にしつつも一気に顔を近づけてきた。
「こっちの高校って何高校!?すぐに私も入学出来るようにするから!」
普通なら「何を言ってるんだ?」と言いたくなる言動だけど、リンは実際僕が通ってた小学校に子供の姿になって3年生の時に転校生としてやってきて、卒業まで通ったという前例がある。
「もう受験は終わってるし、入学式まで1週間もないんだからムリだよ」
とはいえ、それでもそれなりに準備をしたはずなので、今回は流石にムリだろう。
「そこは私の力でどうにでもなるから!」
それはどうにかしたらダメなことだろう。というか、僕と同じ高校に通いたいからという理由で力を使うのは、完全に力の無駄使いだろう。
しかし、答えないことにはリンは止まりそうもない。でも、自分の口から女子高校に通うとは言いたくない。
なので、遠回しに言うことにした。
「リンはチョウちゃんが学校の理事長になったこと知ってる?」
「知ってるよ。なんで教員免許も教師の経験もない私が~。って当時は言ってたからね」
初耳な情報もあったけど、それよりも今は話を続ける。
「それじゃあ、母さんとチョウちゃんの性格と僕の居候先がチョウちゃんの家だということをふまえて考えればわからない?」
ここまで言えばリンなら、というか母さんとチョウちゃんの性格を知る人なら誰でも答えにたどり着くだろう。
「なるほど。女子高校に通うんだね。じゃあ早速」
「ってちょっと待った」
あっさりと僕が女子高校に通うことを受け入れ、女子高校に入学するために力を使おうとするリンに待ったをかける。
「うん?」
「うん?じゃなくて、女子高校がどんな高校か知ってる?」
もしかしたらそれを知らないからあっさりと受け入れたのかもしれない。
「男子校だよね」
やっぱりあっさり言ってくるリン。
「いや。だったらまず女の僕が男子校である女子高校に入学することになったことへの驚きとか戸惑いとかのコメントがあるべきじゃないかな!」
それもないのにあっさりと頷かれるのは納得がいかないね。
「あ~」
僕が言うことでようやくその考えにいたったリンは目を閉じて考え始めるのかと思いきや、一瞬たりとも考えることなく目を開けて僕に苦笑を向けてきた。
「コウ以外の女子だったら驚いたかもしれないけど、コウだったら全く違和感なく納得しちゃったね」
リンは申し訳なさそうにしつつも「アハハ」と笑っているが、僕としては納得出来るような理由なわけもなく、
「納得するなー!」
僕は叫び声をあげた。
チョウちゃんは誰にも話していないと言っていたので、当然リンにも話してはいないだろう。それなのに、駅前に降り立ってから10分も経たないうちにリンが現れたということは、なんらかの方法で知ったということだろう。
「コウが小説町内に入ってきた瞬間に気配でわかったよ」
まさか気配でわかったなんて………。
笑顔で異常なことを言うリン。と思いかけたけど、本来麒麟のリンならそれくらいのことは普通に出来るよね、と思い直した。
昔っから人の姿のリンを見てきたせいかついつい麒麟であることを忘れてしまう。
「今日は巫女の仕事はなかったの?」
「そんなのコウが帰ってきたことにくらべれば些細なことだし、神主にあとは頼んで着替えて飛んできた」
リンからすれば神社での巫女の仕事もそんなことなのかもしれないけど、僕が帰ってきたからって放り出すのは、ね。
笑顔のリンに苦笑を向ける。
それにあとを任された神主さんもリン相手では怒るに怒れないし、あとで一緒に謝りにいこう。原因は僕だし。
「それより、転校してから3年間の間1度も帰ってこなかったのに1人で帰ってきてどうしたの?」
不機嫌な表情でちょっとトゲのある言い方をしてくるリン。
「確かに向こうに行ってから色々あって帰ってこれてないことは悪いと思ってるよ」
夏休みか正月くらいは帰ってきたいと思っていたのだけど、トラブルメーカー達が次から次へと僕を巻き込んでトラブルを起こすせいで、結局1度も帰って来れなかったのだ。
「まぁ、コウだから色々と巻き込まれてるんだろうとは思っていたから気にしてないけど、どうしたの?」
明らかに気にしている言い方だけど、リンが気にしていないと言っている以上謝っても堂々巡りしそうなので、とりあえず聞かれたことに答えよう。
「父さんの海外転勤に母さんが付いていくことになったから、チョウちゃんの家に居候しながらこっちの高校に通うために戻ってきたのだよ」
「ホント!?」
「ぐぇっ」
不機嫌な表情から一転して笑顔になったリンが興奮して腕に力を入れたため、チョウちゃんから出てはいけないような声が出てきた。
「本当だからチョウちゃんを抱き締めてあげないで」
「あっ」
どうにかすぐに落ちついてはくれたが、チョウちゃんはさらにだらんとしており、白目まで向いていたがかろうじて呼吸している音は聞こえているので死んではいないだろう。
というか、流石に白目のまま放置するのはかわいそうなのでまぶたは閉じておく。
「それよりそれより!」
一瞬は収まったリンの興奮が再燃し、チョウちゃんのことは気にしつつも一気に顔を近づけてきた。
「こっちの高校って何高校!?すぐに私も入学出来るようにするから!」
普通なら「何を言ってるんだ?」と言いたくなる言動だけど、リンは実際僕が通ってた小学校に子供の姿になって3年生の時に転校生としてやってきて、卒業まで通ったという前例がある。
「もう受験は終わってるし、入学式まで1週間もないんだからムリだよ」
とはいえ、それでもそれなりに準備をしたはずなので、今回は流石にムリだろう。
「そこは私の力でどうにでもなるから!」
それはどうにかしたらダメなことだろう。というか、僕と同じ高校に通いたいからという理由で力を使うのは、完全に力の無駄使いだろう。
しかし、答えないことにはリンは止まりそうもない。でも、自分の口から女子高校に通うとは言いたくない。
なので、遠回しに言うことにした。
「リンはチョウちゃんが学校の理事長になったこと知ってる?」
「知ってるよ。なんで教員免許も教師の経験もない私が~。って当時は言ってたからね」
初耳な情報もあったけど、それよりも今は話を続ける。
「それじゃあ、母さんとチョウちゃんの性格と僕の居候先がチョウちゃんの家だということをふまえて考えればわからない?」
ここまで言えばリンなら、というか母さんとチョウちゃんの性格を知る人なら誰でも答えにたどり着くだろう。
「なるほど。女子高校に通うんだね。じゃあ早速」
「ってちょっと待った」
あっさりと僕が女子高校に通うことを受け入れ、女子高校に入学するために力を使おうとするリンに待ったをかける。
「うん?」
「うん?じゃなくて、女子高校がどんな高校か知ってる?」
もしかしたらそれを知らないからあっさりと受け入れたのかもしれない。
「男子校だよね」
やっぱりあっさり言ってくるリン。
「いや。だったらまず女の僕が男子校である女子高校に入学することになったことへの驚きとか戸惑いとかのコメントがあるべきじゃないかな!」
それもないのにあっさりと頷かれるのは納得がいかないね。
「あ~」
僕が言うことでようやくその考えにいたったリンは目を閉じて考え始めるのかと思いきや、一瞬たりとも考えることなく目を開けて僕に苦笑を向けてきた。
「コウ以外の女子だったら驚いたかもしれないけど、コウだったら全く違和感なく納得しちゃったね」
リンは申し訳なさそうにしつつも「アハハ」と笑っているが、僕としては納得出来るような理由なわけもなく、
「納得するなー!」
僕は叫び声をあげた。
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