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27.生贄に
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「ごめん」
リンは謝ってくるが、怒っている僕は無視して歩き続ける。
「ホントにごめん」
リンはさらに謝ってくるけど、
「コウ以外の女子だったら驚いたかもしれないけど、コウだったら全く違和感なく納得しちゃったね」
なんて言われて許せるわけがない!
「ねぇ、ねぇって」
リンは肩を掴んできたが、気にせずに歩き続ける。
僕だってしっかりと女子なんだ!だから男子校に行くなんて言えば普通は驚くずなのに、全く違和感なく納得しちゃったね、じゃない!
昔から性別間違えてるとか性別詐称とか性別詐欺とか言われてきたのだって怒りたい時もあったけど、まだ冗談まじりで言ってきているから許せていた。だけど、今回のリンは冗談まじりでもなくホントの素で言いきった!そんなのありえないでしょ!
一応言ったあとには申し訳なさそうにしていたけど、それでも許せる発言ではないし、なんの迷いもなくそんな言葉が出てくるということは、普段から僕のことを男子として見ていると言っているようなものだ!そのことが余計に許せない!
怒りから早足になり、色々考えていたせいで周りが見えなくなっていたこともあって、いつの間にか駅前商店街の真ん中あたりまで歩いてきていた。
しかもだ。僕の後ろには気絶したチョウちゃんを抱きながら僕に謝っているリンがいるので注目が集まっている。
「はぁ~」
僕は足を止めてため息を吐いた。
せっかく久しぶりに帰ってきたから楽しみにしていたのに、昨日から今日に至るまでほとんど怒っている気がする。
ホントはこんなに怒りたくないのに。
それもこれも母さんの性格を理解しているはずなのにありえない提案をしたチョウちゃんやそれに悪ノリした母さん、そしてトドメとばかりのリンの言葉。
これは誰だって怒るだろう。
それを思えば海外転勤をギリギリまで隠していた父さんはカワイイ方だったのだといまさらながら理解したし、少しやり過ぎたかもしれないとも思ってきた。かといって謝るかと言われたら謝らないけど。
だって迷惑をかけられたことには変わりないからね。
「なぁ、リン」
僕が足を止めたということは、リンの足も止まったということなので、そのタイミングで酒屋のおっちゃん、略して酒おっちゃんが話しかけてきた。
それに反応したリンは僕の肩から手を離して酒おっちゃんの方を向いた。
「なに?」
しかし、僕のことを気にしているせいかリンの返事は少しぶっきらぼうだった。
「なんで気絶してるチョウを抱いてるんだ?」
酒おっちゃんはまずはそこが気になったみたいで、チョウちゃんを指さした。
「私が気絶させちゃったから持ってるのよ」
「えっ?リンがチョウを気絶させた?なんで?」
状況を知らない酒おっちゃんが首を傾げていると、リンはチョウの頬を突いた。
「色々あるのよ」
そう言いながらチラッと僕の方を見るが、僕は無視する。
「なんならチョウの家に届けてくれる?」
リンが酒おっちゃんにチョウちゃんを差し出すも、酒おっちゃんは苦笑しながら首を振った。
「あいにくと酒は運んでも人を運ぶサービスはしてないんでね」
それはそうだろうね。いくらノリのいい酒おっちゃんでもそんなことはしないか。
「で、リンが謝ってるこっちのカッコいい女性は一体誰なんだ?」
どうやら酒おっちゃんは僕が誰だかわかってないみたいだ。
それにしっかりと女性と言ったし、やっぱりこの3年間でしっかりと女性らしく成長できたということだろう。
カッコいいという言葉はちょっと気になるところではあったけど。
「コウだよ」
チョウちゃんを抱きかかえなおしたリンは答えた。
「………え?」
リンの答えに少しの間があってから戸惑いの声をあげる酒おっちゃん。
その間はなんだろうか。
と、思っていると酒おっちゃんは僕の体を上から下へ、下から上へと見てから僕を指さしながらリンへ驚きの表情を向けた。
「ホントに、コウ、なのか?」
まだ戸惑っている酒おっちゃん。
なぜそこまで戸惑うのか、酒おっちゃんには小一時間聞きたいね。
戸惑っている理由は、僕が女性らしくなったからとかじゃないよね?
僕が笑顔を向けると酒おっちゃんはビクッとしつつ目線をリンの方へ戻した。
「コウだよ」
リンがそう言うと、酒おっちゃんは恐る恐るまた僕に視線を戻してきた。
というか、いつまで指をさしてきてるのかな。
僕は酒おっちゃんの指を掴むと反らせた。
「イタタタタタ!」
少し八つ当たりをした、ともいうが、指を反らすことを止める気はないし、しっかりと注意する。
「酒おっちゃん。人を指さしたらダメだよ」
「わかった!わかったから!」
酒おっちゃんがそう言うので指を離してあげた。
「確かにその怒り方とかはコウだな!」
そんなことで僕だと認められても困る訳だけど、ようやく僕をコウだと認めてくれたらしい。
なんて思っていると、酒おっちゃんの声を聞いた商店街の人達が集まってきた。
まるで、酒おっちゃんを生贄に状況を確認したみたいだね。というか、多分そうしたんだろうな。うん。
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ストック無くなったので更新期間が少し開きます。ご容赦ください。
リンは謝ってくるが、怒っている僕は無視して歩き続ける。
「ホントにごめん」
リンはさらに謝ってくるけど、
「コウ以外の女子だったら驚いたかもしれないけど、コウだったら全く違和感なく納得しちゃったね」
なんて言われて許せるわけがない!
「ねぇ、ねぇって」
リンは肩を掴んできたが、気にせずに歩き続ける。
僕だってしっかりと女子なんだ!だから男子校に行くなんて言えば普通は驚くずなのに、全く違和感なく納得しちゃったね、じゃない!
昔から性別間違えてるとか性別詐称とか性別詐欺とか言われてきたのだって怒りたい時もあったけど、まだ冗談まじりで言ってきているから許せていた。だけど、今回のリンは冗談まじりでもなくホントの素で言いきった!そんなのありえないでしょ!
一応言ったあとには申し訳なさそうにしていたけど、それでも許せる発言ではないし、なんの迷いもなくそんな言葉が出てくるということは、普段から僕のことを男子として見ていると言っているようなものだ!そのことが余計に許せない!
怒りから早足になり、色々考えていたせいで周りが見えなくなっていたこともあって、いつの間にか駅前商店街の真ん中あたりまで歩いてきていた。
しかもだ。僕の後ろには気絶したチョウちゃんを抱きながら僕に謝っているリンがいるので注目が集まっている。
「はぁ~」
僕は足を止めてため息を吐いた。
せっかく久しぶりに帰ってきたから楽しみにしていたのに、昨日から今日に至るまでほとんど怒っている気がする。
ホントはこんなに怒りたくないのに。
それもこれも母さんの性格を理解しているはずなのにありえない提案をしたチョウちゃんやそれに悪ノリした母さん、そしてトドメとばかりのリンの言葉。
これは誰だって怒るだろう。
それを思えば海外転勤をギリギリまで隠していた父さんはカワイイ方だったのだといまさらながら理解したし、少しやり過ぎたかもしれないとも思ってきた。かといって謝るかと言われたら謝らないけど。
だって迷惑をかけられたことには変わりないからね。
「なぁ、リン」
僕が足を止めたということは、リンの足も止まったということなので、そのタイミングで酒屋のおっちゃん、略して酒おっちゃんが話しかけてきた。
それに反応したリンは僕の肩から手を離して酒おっちゃんの方を向いた。
「なに?」
しかし、僕のことを気にしているせいかリンの返事は少しぶっきらぼうだった。
「なんで気絶してるチョウを抱いてるんだ?」
酒おっちゃんはまずはそこが気になったみたいで、チョウちゃんを指さした。
「私が気絶させちゃったから持ってるのよ」
「えっ?リンがチョウを気絶させた?なんで?」
状況を知らない酒おっちゃんが首を傾げていると、リンはチョウの頬を突いた。
「色々あるのよ」
そう言いながらチラッと僕の方を見るが、僕は無視する。
「なんならチョウの家に届けてくれる?」
リンが酒おっちゃんにチョウちゃんを差し出すも、酒おっちゃんは苦笑しながら首を振った。
「あいにくと酒は運んでも人を運ぶサービスはしてないんでね」
それはそうだろうね。いくらノリのいい酒おっちゃんでもそんなことはしないか。
「で、リンが謝ってるこっちのカッコいい女性は一体誰なんだ?」
どうやら酒おっちゃんは僕が誰だかわかってないみたいだ。
それにしっかりと女性と言ったし、やっぱりこの3年間でしっかりと女性らしく成長できたということだろう。
カッコいいという言葉はちょっと気になるところではあったけど。
「コウだよ」
チョウちゃんを抱きかかえなおしたリンは答えた。
「………え?」
リンの答えに少しの間があってから戸惑いの声をあげる酒おっちゃん。
その間はなんだろうか。
と、思っていると酒おっちゃんは僕の体を上から下へ、下から上へと見てから僕を指さしながらリンへ驚きの表情を向けた。
「ホントに、コウ、なのか?」
まだ戸惑っている酒おっちゃん。
なぜそこまで戸惑うのか、酒おっちゃんには小一時間聞きたいね。
戸惑っている理由は、僕が女性らしくなったからとかじゃないよね?
僕が笑顔を向けると酒おっちゃんはビクッとしつつ目線をリンの方へ戻した。
「コウだよ」
リンがそう言うと、酒おっちゃんは恐る恐るまた僕に視線を戻してきた。
というか、いつまで指をさしてきてるのかな。
僕は酒おっちゃんの指を掴むと反らせた。
「イタタタタタ!」
少し八つ当たりをした、ともいうが、指を反らすことを止める気はないし、しっかりと注意する。
「酒おっちゃん。人を指さしたらダメだよ」
「わかった!わかったから!」
酒おっちゃんがそう言うので指を離してあげた。
「確かにその怒り方とかはコウだな!」
そんなことで僕だと認められても困る訳だけど、ようやく僕をコウだと認めてくれたらしい。
なんて思っていると、酒おっちゃんの声を聞いた商店街の人達が集まってきた。
まるで、酒おっちゃんを生贄に状況を確認したみたいだね。というか、多分そうしたんだろうな。うん。
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