僕は普通で平凡なモブ〜だって執事とメイドが最強なんだから〜

だらけたい

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19.口説かれて

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 結局装備品の金額は金貨1枚で落ち着いた。

「落ち着いたと言うより親方がムリヤリ終わらせたんだろ」か。

 確かにそうだね。

 金貨1枚と銀貨50枚を払おうとする僕と銀貨85枚でいいと言うアルナーさんの値段交渉が白熱し始めると、工房に戻ったはずの親方がまた戻ってきたかと思うと金貨をひっ掴んで、

「代金はこれでいいから商売の邪魔だからさっさと装備品持って帰れ!」

 と言うだけいってまた工房の方へ戻っていったからね。

 その後ろ姿を見送ったアルナーさんはやれやれとため息を吐き、親方がそう言うのならと装備品を受け取った僕を見たアルナーさんはやれやれと首を振りながら苦笑していた。

「ってか、なんで店側が値下げ交渉して客側が値上げ交渉してるんだよ!普通逆だろうが!」って。

 そうなったのだから仕方ないだろ。

「どこまで強情なんだよ」って。

 親方が決めた金額を払おうとしただけだぞ。

「冗談だとわかっていながらあえて真に受けてその値段で譲らないのは十分強情だろ」か。

 親方が自分で装備品の値段はこっちか決めると言ってきたのだからその値段を払うことのなにが悪い。

「はいはい。悪くない悪くない」って。

 アルナーさんの苦笑といいその投げやりな肯定といいなんとも腑に落ちない反応だな。

 まぁ、でも装備品も買えたことでようやく冒険者登録しに行ける。

 ということで、買った装備品を身につけてやって来たのは冒険者ギルドだ。

 漫画やアニメなどでは荒くれ者たちの巣窟として荒れて表現されていたり、礼儀正しくキレイな場所として表現されていたりとかなり差がある場所だけど、果たしてこの世界の冒険者ギルドはどんな場所かな?

 少しワクワクしながら中に入るとギルド内は騒がしく賑やかではあるけど全体的にキレイな場所だった。

「なんだろう。つまんねーな」って。

 何言ってるのだい。

「だって、これじゃあテンプレの初心者に絡むチンピラ冒険者とか出てこなさそうじゃん」って。

 そんなの出てこなくていいのだよ。

 出てこられても面倒だし。

 しかし、僕達ほど若い冒険者が居ないせいか注目されている気がするけど、絡まれなければそれでいいのでさっさとカウンターの方へ向かった。

「すいません」

 空いていたカウンターに座っていたお姉さんに声をかける。

「はい。なんでしょうか?」
「冒険者登録したいのですけど」

 僕のその1言でお姉さんは固まり、周りで聞き耳をたてていた人達は軽くざわついた。

「えっと、君は何歳かな?」
「僕は7歳で後ろみんなは9歳から11歳の間ですね。そういえば、冒険者登録に年齢制限ってありましたか?」

 今さらながらに思ったことだけど、父さん達が止めなかったことを考えると大丈夫なのだろう。

「いえ。年齢制限はないというか、君みたいな小さい子が登録に来ること自体がありえないというか………」

 困ったように苦笑しているお姉さん。

「登録出来るのでしたらしてください」
「えっと………」

 苦笑したままいっこうに登録を始めてくれないお姉さんにどうしたものかと僕が首を傾げると、

「君」

 別のお姉さんがやって来た。

「なんですか?」
「冒険者がどんなものかわかって言ってる?それに親の承認は得てきてるの?」

 少し睨むように見つめてくるお姉さん。

 まぁ、普通は7歳の子どもが冒険者登録に来たらこういう反応になるか。

「えぇ。もちろんどんなものかもわかっていますし、ちゃんと親の承認は得てきています」

 しっかりとお姉さんの目を見つめ返す。

 そもそも冒険者がどんなものか知らずに来るなんてただの馬鹿だと思うし、そんな馬鹿は早々に死んでしまうだろう。

「そう。わかっているならいいわ。フィーナ。登録してあげなさい」
「先輩!?」

 止めてもらえると思っていたフィーナさんは目を見開きながら先輩のほうを見た。

「フィーナ。冒険者っていうのはいつも危険と隣合わせである以上、なんでも自己責任なのよ。それをわかったうえで冒険者になることを選んだ彼らを止める権利は私達にはないのよ」
「それでも」

 初対面の僕達のことをこれほど心配してくれるフィーナさんはとてもいい人なんだろう。

 まだ納得出来ていないフィーナさんの頭を先輩が撫でた。

「それでも心配ならあなたがしっかりとサポートしてあげなさい。冒険者の決断は自己責任で冒険者自身が決めることだけど、その決断を決めるまでのサポートは私達の仕事でもあるからね」
「はい!」

 先輩の言葉に強く頷くフィーナさん。

「いい先輩後輩関係だし、2人ともいい人達だな」か。

 ホントにいい関係、いい人達だな。

「それでは」

 フィーナさんが頷いたのを見た先輩が自分の仕事に戻っていこうとしたので僕は慌てて呼び止めた。

「あの」
「はい?」

 まさか呼び止められるとは思っていなかったのか、先輩は少し驚いていた。

「お名前聞いてもいいですか?」

 そんな僕の言葉に少し考え込む先輩。

「もしかして口説かれてます?」

 クスッと笑いながら少し首を傾げた先輩。

 どこからどう見ても冗談を言っているとわかるのだけど、フィーナさんはあわあわしている反応が面白いのでノッてみる。

「一目惚れです。お付き合いしてください」

 手を差し出すと、フィーナさんはさらにあわあわしだす。

「ごめんなさいね。年齢がせめてあと10歳上だったら考えたのだけどね」

 そう答えながらもチラチラとフィーナさんの反応を見て楽しんでいる先輩。

「うわ~ん。キョウ~。フラレちゃったよ~」
「よしよし」

 ウソ泣きしつつキョウに抱きつくと優しく頭を撫でられた。

「ルイ。1度フラレたくらいで泣いちゃダメ」
「何度でもチャレンジすべき」

 流れにノッてきたオリフィスとリコフィスにゲキをいれられ僕は顔をあげた。

「って、オリフィス達が呼び捨てって珍しい」って。

 それは昨日………。
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