虹色の夏

アオト★★

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第二十話「それぞれの想い」

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虹色の夏―

第二十話「それぞれの想い」



俺はその場から暫く動けなかった・・

青いカーテンがゆらゆらと風に揺れている。

「・・・優里、ごめん。」俺はそれだけ言って優里から離れた

「あたしの事嫌い?」優里がじっと俺を見つめた。

俺は立ち上がった。

「ごめん。優里、俺、俺はやっぱり要が好きだから優里の気持ちには答えられない」

「・・・そう、こっちこそなんかキスしてごめんね」優里も立ち上がった。

「・・・・うん。俺、そろそろ帰るよ」俺はそう言い部屋のドアを開けた

「送っていくよ」優里が俺に言った

「いいよ、すぐそこだから」俺はそれだけいうと玄関に向かった。

「今日はありがとう。隼人話せて嬉しかった」優里は笑いながら言った。

「・・うん、こちらこそお邪魔しました。」ガチャ

俺は玄関を出て歩き出した。

何故か無性に今要に会いたくなった

もうすぐ夕方になるけど今から会いに行くか

俺はもう一度要のマンションに向かった





隼人が帰ってからあたしは自分の部屋に戻った

改めて壁に掛かっている隼人と二人で写した写真をみた

ずっと好きだった。本当に好きだった隼人。でも、やっぱりあたしでは無理なのかも。

そう思いあたしは写真を壁から剥がした。





ピンポーン、マンションの一室のチャイムが鳴った。

ドアの扉がガチャッと開いた。「隼人?どうしたの?」要が驚いた顔をした

「はあはあ、要」「隼人?どうしたの、慌てて、もしかして走ってきたの?」

「要に会いたくて走ってきた」

「とりあえず部屋に入って、今日は両親の帰りが遅くなるから大丈夫だよ」

「ありがとう。」俺は要の部屋に入った







その頃、私は自分のアパートでカイと一緒にいた

夏祭りの時、要と隼人と逸れてしまった。探したけど見つからないので

私達は二人で回った

その後、私のアパートでカイと付き合ってから初めて一夜を一緒に過ごした・・。

今日もずっと一緒にいた。アパートのベランダから夕焼け空が赤く染まっていて

部屋に夕日が照らされていた。

「七海、熱海で俺が言ったこと覚えてるか?」カイが真剣な顔をして私を見た

「もちろん、覚えてるわよ、あの日カイから話したいことがあるって

言われて何かと思ったけど。」私は左手の薬指を見た

そこにはキラキラ光る指輪があった。エンゲージリングだった。



―今はまだ無理だけど、俺が大学を卒業したら俺と結婚してください―

カイは七海に熱海旅行の時にそうプロポーズをしていた。

―はい、宜しくお願いします― 七海はそう答えた。



「今日も泊まっていくでしょ?」七海はカイに寄りかかりながら甘い声でそう聞いた

「ああ、そうだな」カイは七海の手を握りそう答えた。




俺は要と要の部屋にいた。「急に来てごめんな、要」

俺は要が入れてくれたコーヒーを飲みながらソファーに

座っていた。「うん、大丈夫だよ」要は俺の隣に座っていた。



「どうしてもさ、要に会いたくなったんだ」

「隼人、何かあったの?」要にそう言われて一瞬ドキッとしたけど

「ううん。何でもないよ」俺は冷静を装いながらそう答えた。

「でも嬉しい。わたしも隼人に会いたかったから」

要が嬉しそうに言った。そういえば要のマンションに来るのは

付き合って初めてかもしれない。そう俺は思った。



つづく

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