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第五話
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ー車内
ハンドルを握る指先が、かすかに震えていた。
(……落ち着け。もう匂いは残っていない……はずだ)
そう言い聞かせても、胸にくすぶる熱は消えない。
凪が降り、扉が閉まった瞬間からずっと、
喉の奥で、ひくっと飢えとも違う衝動が鳴り続けていた。
「……くっ……」
思い出すだけで蘇る体温。
あの血の甘さ。
吸血鬼の本能を乱す“ディープブラッド”。
だが――サクは気づいてしまった。
(……あれは、本能だけの話ではない)
近づけば危険だ。
離れれば狙われる。
理屈は理解しているのに、
胸の奥に別の声が熱を持って押し上がる。
“護りたい。
……自分の手で。”
「……っ」
自分の思考に、サク自身が一瞬息を呑む。
本能ではない。
任務でもない。
(……これは、何だ)
凪がこちらを見上げた時の瞳。
怯えではなく、信じるようなまっすぐさ。
胸が痛いほど熱くなる。
(触れたら終わる。だから距離を置いた……
なのにどうして……こんなにも、寂しい)
静かに自嘲の息が漏れた。
「馬鹿を言うな……これは警戒だ」
否定しても、
ミラーの中の凪の家の灯りが胸をざわつかせる。
(……あれが消えたら。
私は……どう感じる?)
認めれば戻れなくなる。
それでも――
胸の熱だけは、もう消えなかった。
サクは生まれて初めて、
“自分が揺らいでいる”ことを恐れた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ー官僚棟・山南の執務室
静かな部屋の扉が開き、山南が顔を上げる。
「……サク様? どうされましたか?」
サクは余計な前置きもなく告げた。
「山南。凪に護衛をつけることはできないか」
山南の手が止まる。
「凪ちゃんに……護衛を?
政府側の巡回は行っていますが……」
「不十分だ」
即答。
張り詰めた声音に、山南が目を細める。
「何か、あったんですね」
サクは視線を落とさぬまま言う。
「確証はない。だが彼女の血質上……狙われる可能性がある」
「……誰に?」
一拍の沈黙。
「吸血鬼にまつわる“誰か”に」
室内の空気が変わる。
「……凪ちゃんはただの人間ではないと?」
「今は言えん。だが放置はできん」
山南はしばらく黙り、ゆっくり頷いた。
「……分かりました。信頼できる者を探します」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ー翌日、山南からの報告
山南が資料を抱えたまま、どこか言いにくそうに言った。
「……サク様。護衛の件、総理から回答がありまして」
「言え」
変わらぬ静かな声。
山南は視線をわずかにそらす。
「“吸血鬼絡みなら、サク自身が護衛につくのが最も合理的だ”……と」
短い沈黙。
「…………そうか」
顔は変えない。
ただ息が、ほんのわずか深く落ちた。
山南は続ける。
「理由としては――
・吸血鬼に対抗できる
・凪ちゃんの性質を理解している
・そして何より、信頼できる
……とのことです」
サクは静かに言った。
「却下だ」
山南が瞬きをする。
「理由を伺っても?」
「凪は十七の娘だ。
男の護衛を家へ入れるのは不適切だ」
完全な正論。
その声音には感情の起伏がない。
「女性護衛に限定すべきだ」
山南は困ったように笑う。
「……ですが、女性で吸血鬼と渡り合える者が……」
「探せ」
ぶれない声。
(……私が行けば、また距離が縮まる……それは避けるべきだ)
サクの内側とは裏腹に、外面は完璧に冷静だった。
「ですが総理はサク様が最適だと――」
「総理の判断は理解する。
だが倫理的に不健全だ」
山南は静かに息を吐く。
「……では、サク様は凪ちゃんの家に入るつもりは?」
「ない」
一瞬の迷いもない。
(――自分を制御できる保証がない)
「吸血鬼であり、男である私が未婚女性の家に常駐するのは好ましくない」
山南は、ほんの少しだけ目を伏せた。
そして、穏やかに問いかける。
「……それは凪ちゃんを守るための理屈ですか?
それとも……“あなた自身”のためですか?」
サクは黙った。
声も表情も動かさないのに、
影だけがわずかに揺れた。
「……未婚女性の体面もあるだろう。それだけだ」
淡々とした、完璧な言葉。
だが山南には分かっていた。
「サク様」
「……何だ」
「昨日、あんな顔で心配していた方が、
他人に任せられるとは思えません」
サクは沈黙した。
胸の奥で、何かが小さく震えた。
山南は微笑んだ。
「……あの子を、本当に守りたいんですね」
わずかに肩が揺れる。
サクは何も言わなかった。
だが――
沈黙がすべてを物語っていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
官僚棟・上層階。
サク――いや、名雲朔夜なぐもさくやは呼び出された総理室の前に立ち、静かにノックした。
「入れ。」
葛城総理は書類に目を落としたまま、淡々と告げる。
「南雲朔夜。君に新しい任務を言い渡す。」
サクの背筋がわずかに伸びる。
「……任務、ですか。」
総理は一枚の辞令書を差し出した。
「久遠凪の身辺警護だ。
対象に吸血鬼絡みの危険がある以上、君が最適だと判断した。」
「…………」
サクは受け取った辞令を、しばし無言で見つめた。
(……最悪のパターンだ……)
距離を取ると決めた矢先。
よりにもよって“護衛”など、近づくどころか生活圏を共有する任務。
葛城総理は、表情を変えずに付け足す。
「君以外に務まらん。……以上だ。」
静かな室内に、深い深い息が落ちた。
サクは辞令を胸に当て、低く呟く。
「……了解しました。」
だがその声音には、誰にも見せぬ迷いと熱が、わずかに滲んでいた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■久遠家──凪への通達
凪のスマホが震えた。
差出人は〈政府:山南一心〉。
(……え、山南さん?)
開いた瞬間、文面に目が固まる。
【身辺保護のため、護衛を一名、近日中に派遣します。
担当者:南雲朔夜】
一行を見た瞬間――
凪の呼吸が、ふっと止まった。
「……サク……?」
胸がぎゅうっと締めつけられる。
驚き、戸惑い、そして……
理由の分からない高鳴りが、静かな部屋の空気を震わせた。
(……どうしよう……
嬉しいとか、怖いとか……
そういうんじゃなくて……
なんか、心臓が……変……)
凪はスマホを胸元に押し当て、顔を赤くした。
その頃、同じ名を胸に抱えた吸血鬼は、
独りきりで深いため息をついていた。
――こうして二人は、
互いの意思とは無関係に“同じ屋根の下”へ向かっていく。
強制的に近づく運命の、最初の鐘が鳴った。
ハンドルを握る指先が、かすかに震えていた。
(……落ち着け。もう匂いは残っていない……はずだ)
そう言い聞かせても、胸にくすぶる熱は消えない。
凪が降り、扉が閉まった瞬間からずっと、
喉の奥で、ひくっと飢えとも違う衝動が鳴り続けていた。
「……くっ……」
思い出すだけで蘇る体温。
あの血の甘さ。
吸血鬼の本能を乱す“ディープブラッド”。
だが――サクは気づいてしまった。
(……あれは、本能だけの話ではない)
近づけば危険だ。
離れれば狙われる。
理屈は理解しているのに、
胸の奥に別の声が熱を持って押し上がる。
“護りたい。
……自分の手で。”
「……っ」
自分の思考に、サク自身が一瞬息を呑む。
本能ではない。
任務でもない。
(……これは、何だ)
凪がこちらを見上げた時の瞳。
怯えではなく、信じるようなまっすぐさ。
胸が痛いほど熱くなる。
(触れたら終わる。だから距離を置いた……
なのにどうして……こんなにも、寂しい)
静かに自嘲の息が漏れた。
「馬鹿を言うな……これは警戒だ」
否定しても、
ミラーの中の凪の家の灯りが胸をざわつかせる。
(……あれが消えたら。
私は……どう感じる?)
認めれば戻れなくなる。
それでも――
胸の熱だけは、もう消えなかった。
サクは生まれて初めて、
“自分が揺らいでいる”ことを恐れた。
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ー官僚棟・山南の執務室
静かな部屋の扉が開き、山南が顔を上げる。
「……サク様? どうされましたか?」
サクは余計な前置きもなく告げた。
「山南。凪に護衛をつけることはできないか」
山南の手が止まる。
「凪ちゃんに……護衛を?
政府側の巡回は行っていますが……」
「不十分だ」
即答。
張り詰めた声音に、山南が目を細める。
「何か、あったんですね」
サクは視線を落とさぬまま言う。
「確証はない。だが彼女の血質上……狙われる可能性がある」
「……誰に?」
一拍の沈黙。
「吸血鬼にまつわる“誰か”に」
室内の空気が変わる。
「……凪ちゃんはただの人間ではないと?」
「今は言えん。だが放置はできん」
山南はしばらく黙り、ゆっくり頷いた。
「……分かりました。信頼できる者を探します」
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ー翌日、山南からの報告
山南が資料を抱えたまま、どこか言いにくそうに言った。
「……サク様。護衛の件、総理から回答がありまして」
「言え」
変わらぬ静かな声。
山南は視線をわずかにそらす。
「“吸血鬼絡みなら、サク自身が護衛につくのが最も合理的だ”……と」
短い沈黙。
「…………そうか」
顔は変えない。
ただ息が、ほんのわずか深く落ちた。
山南は続ける。
「理由としては――
・吸血鬼に対抗できる
・凪ちゃんの性質を理解している
・そして何より、信頼できる
……とのことです」
サクは静かに言った。
「却下だ」
山南が瞬きをする。
「理由を伺っても?」
「凪は十七の娘だ。
男の護衛を家へ入れるのは不適切だ」
完全な正論。
その声音には感情の起伏がない。
「女性護衛に限定すべきだ」
山南は困ったように笑う。
「……ですが、女性で吸血鬼と渡り合える者が……」
「探せ」
ぶれない声。
(……私が行けば、また距離が縮まる……それは避けるべきだ)
サクの内側とは裏腹に、外面は完璧に冷静だった。
「ですが総理はサク様が最適だと――」
「総理の判断は理解する。
だが倫理的に不健全だ」
山南は静かに息を吐く。
「……では、サク様は凪ちゃんの家に入るつもりは?」
「ない」
一瞬の迷いもない。
(――自分を制御できる保証がない)
「吸血鬼であり、男である私が未婚女性の家に常駐するのは好ましくない」
山南は、ほんの少しだけ目を伏せた。
そして、穏やかに問いかける。
「……それは凪ちゃんを守るための理屈ですか?
それとも……“あなた自身”のためですか?」
サクは黙った。
声も表情も動かさないのに、
影だけがわずかに揺れた。
「……未婚女性の体面もあるだろう。それだけだ」
淡々とした、完璧な言葉。
だが山南には分かっていた。
「サク様」
「……何だ」
「昨日、あんな顔で心配していた方が、
他人に任せられるとは思えません」
サクは沈黙した。
胸の奥で、何かが小さく震えた。
山南は微笑んだ。
「……あの子を、本当に守りたいんですね」
わずかに肩が揺れる。
サクは何も言わなかった。
だが――
沈黙がすべてを物語っていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
官僚棟・上層階。
サク――いや、名雲朔夜なぐもさくやは呼び出された総理室の前に立ち、静かにノックした。
「入れ。」
葛城総理は書類に目を落としたまま、淡々と告げる。
「南雲朔夜。君に新しい任務を言い渡す。」
サクの背筋がわずかに伸びる。
「……任務、ですか。」
総理は一枚の辞令書を差し出した。
「久遠凪の身辺警護だ。
対象に吸血鬼絡みの危険がある以上、君が最適だと判断した。」
「…………」
サクは受け取った辞令を、しばし無言で見つめた。
(……最悪のパターンだ……)
距離を取ると決めた矢先。
よりにもよって“護衛”など、近づくどころか生活圏を共有する任務。
葛城総理は、表情を変えずに付け足す。
「君以外に務まらん。……以上だ。」
静かな室内に、深い深い息が落ちた。
サクは辞令を胸に当て、低く呟く。
「……了解しました。」
だがその声音には、誰にも見せぬ迷いと熱が、わずかに滲んでいた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■久遠家──凪への通達
凪のスマホが震えた。
差出人は〈政府:山南一心〉。
(……え、山南さん?)
開いた瞬間、文面に目が固まる。
【身辺保護のため、護衛を一名、近日中に派遣します。
担当者:南雲朔夜】
一行を見た瞬間――
凪の呼吸が、ふっと止まった。
「……サク……?」
胸がぎゅうっと締めつけられる。
驚き、戸惑い、そして……
理由の分からない高鳴りが、静かな部屋の空気を震わせた。
(……どうしよう……
嬉しいとか、怖いとか……
そういうんじゃなくて……
なんか、心臓が……変……)
凪はスマホを胸元に押し当て、顔を赤くした。
その頃、同じ名を胸に抱えた吸血鬼は、
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