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第七話
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夜。
窓を叩く激しい雨と、
風のうねりが家を軋ませていた。
ゴロォ……ッ!
雷鳴が近くで落ち、
凪の肩がびくりと震える。
(……こわ……い……)
店も早めに閉め、
一人で灯りをつけて座っていたはずなのに、
外の音がどんどん不安を増幅させていく。
その瞬間——
ふっと明かりが消えた。
停電。
「ひっ……!」
小さく上がった悲鳴が、暗闇に吸い込まれる。
「凪?」
静かな低い声が、階段の下から聞こえた。
暗くても分かる。
その声だけは、胸のざわめきを一瞬で落ち着かせる。
サクはゆっくり階段を上がり、
ソファで蹲る凪の前にしゃがみ込んだ。
「大丈夫だよ、凪。」
不安を払うように、
大きな手がそっと頭を撫でる。
その温かさに、
凪はふっと涙が滲んだ。
「サク……」
暗闇の中の凪の瞳は心細く揺れ、
それを見たサクの胸に柔らかな痛みが落ちた。
「側にいてあげるから。……怖くない。」
凪が小さく縋るように寄れば、
サクはその肩を優しく抱き寄せた。
雨と風の音が遠のいていくように感じた。
凪が眠りにつくまで、
サクは静かに寄り添い続けた。
*
翌朝。
昨夜の嵐が嘘のように空が晴れ渡っていた。
しかし——
山からの道が土砂で完全に塞がれ、
街へ出られなくなっていた。
「……大丈夫。数日は食料がある。……人間の、だが。」
サクはそんな軽口を言ったが、
ふいに表情がわずかに揺れた。
彼の視線は、空になった箱へ向いていた。
輸血パック。
最後の一つを昨夜使ってしまった。
(……まずいな。)
サクは立ち上がろうとして、
ふらりと体を傾けた。
「サク!?」
駆け寄った凪が支えると、
サクの顔色は異常なほど白い。
「……っ……」
肩で息をし、
瞳の奥の赤が妙に鮮やかだ。
(これ……まさか……)
「サク……空腹、なんですか……?」
サクは答えない。
否定する余力すら残っていない。
凪は唇を噛んだ。
(……今、街には行けない。
輸血パックもない。
じゃあ……どうすれば……)
手が震えた。
けれど迷いはほんの一瞬だった。
「……サク。
嫌かもしれないけど……
私の血を使ってください。」
サクの瞳が見開かれた。
「凪、だめだ。それは絶対に——」
「他に方法が……浮かばないんです!」
凪はキッチンに置いてあった小さなナイフを手に取った。
「凪、やめ——!」
遅かった。
指先に、鋭い痛み。
「っ……!」
赤い滴が溢れ、
凪はその指をサクの唇へそっと押し当てた。
触れた瞬間、
空気が張りつめる。
サクの睫毛がかすかに震え、
喉がひくりと動いた。
「…………っ」
凪の指先が、温かい口内へ迎え入れられる。
舌が触れるわけではない。
ほんのわずかな湿度と熱だけ。
それなのに凪の背筋にぞくりとしたものが走った。
サクが息を飲むように喉を鳴らす。
ごく。
その一音で、
凪の心臓が跳ね上がる。
サクの指先が、
逃がさないように凪の手首をそっと掴んだ。
強くはない。
でも確かに求める力。
凪の血が喉を通るたびに、
サクの肩が震えた。
痛みとも、悦びとも違う反応。
危ういほどの熱。
凪は呼吸を忘れる。
そのときサクがゆっくり目を開けた。
凪を見上げる赤黒い瞳は、
抑えきれない熱に揺れていた。
(……サク……今の……)
数秒後、
サクははっと我に返り、凪の指を放した。
「凪!! ……なんで……こんな危ないことを……!」
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
謝る凪を、
サクはたまらず抱きしめた。
「謝るな……!
すまない……君に痛い思いをさせた……」
「でも……サクの顔色が……戻ったから……
それだけで……よかった……」
その言葉に、
サクの腕が一瞬だけ強くなった。
「凪……。
二度と……自分を傷つけるな。」
凪は小さく首を振る。
「嫌です。
私の血が……サクの役に立つなら……」
サクは深く、長く息を吐いた。
「……ならば。
必要なときは……私がする。
痛みがないように……必ずするから。」
凪は胸に顔を埋め、震える声で答えた。
「……約束ですよ?
必ず……言ってくださいね……」
サクは凪の髪にそっと指を通し、
その命の温度を確かめるように抱きしめた。
嵐はもう去っていた。
けれど二人の胸に生まれた“ざわめき”だけは、
まだ静かに続いていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
半地下の静けさが落ち着くはずの空気を、
妙にざらつかせている。
暗闇の中で、サクは片手で額を押さえた。
「……ディープブラッド。
“ヴァンパイアキラー”……か。」
皮肉に笑うつもりが、
洩れた声はどうしようもなく低く掠れていた。
「よく言ったものだな……。
確かに——あれは、吸血鬼を“虜”にする。」
ただ甘いだけじゃない。
ただ満たされるだけでもない。
あれは、
吸ってしまえば終わりの、終わりの……その先。
「……君の血は、危険すぎるんだ。
凪……。」
胸の奥がひどく痛む。
空腹でも渇きでもない、もっと別の熱。
サクは深く長いため息を吐いた。
「君に……負担をかけたくはないんだ。
本当に……。」
指先が少し震えた。
「守りたいだけだったのに……
なぜ、こんなにも……近くなる。」
沈黙が落ちる。
半地下の冷たい空気の中で、
サクはただ一人、どうしようもなく揺れていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ナイフで切ったはずの指先を見つめた。
(……治ってる……)
触れても痛くない。
赤みすら残っていない。
——吸血鬼の唾液の効果。
痛みを消す薬効と、傷を塞ぐ再生作用。
でも、問題はそこじゃなかった。
唇に触れられた感触。
口の中の熱。
サクの喉が鳴る音。
あの瞬間の、近すぎる距離。
それらが、全部まとまって
指先から腕へ、胸の奥へ……じんわり熱を残している。
(……すこししか吸われてないのに……
どうして、こんな……)
顔が勝手に熱くなる。
「……サク。
私の血なんかでよければ……いくらでも……あげるのに……」
声にした途端、胸がきゅっと締めつけられた。
(……だめだ、こんなの言えない……
“好き”になっちゃダメなのに……)
深呼吸をして気持ちを整え、
凪は意を決して半地下へ向かった。
サクは、机に片肘をつき、静かに目を伏せていた。
昨夜の渇きはもう残っていない——
けれどどこか疲れているように見えた。
「……サク。」
名前を呼ぶと、サクの赤黒い瞳がゆっくりこちらを向いた。
凪は手を胸に重ね、小さく息を吸う。
「あのね……サク。
ここにいる間は……私を“食事”にしてほしいの。」
サクは一瞬、動きを止めた。
「……凪。」
「理由は……うーん……
サクはずっと私を守ってくれてるから……
その“お礼”ってことで、どう……?」
自分で言って、胸がじんと痛んだ。
(ほんとは……そんな理由じゃない……
もっと……違う気持ちなのに……)
サクは少しだけ目を伏せる。
(……理由、か。
どんな理屈をつけても……
この子は、きっとまた無茶をする……)
そして静かに顔を上げ、凪を見つめた。
「……わかった。
……“取引”ということだな。」
その声は淡々としているのに、
どこか——
凪の胸に落ちるような深さがあった。
凪は小さく笑う。
「……うん。取引。」
でもその笑顔の奥で、
自分の心臓が少しだけ早くなるのを止められなかった。
窓を叩く激しい雨と、
風のうねりが家を軋ませていた。
ゴロォ……ッ!
雷鳴が近くで落ち、
凪の肩がびくりと震える。
(……こわ……い……)
店も早めに閉め、
一人で灯りをつけて座っていたはずなのに、
外の音がどんどん不安を増幅させていく。
その瞬間——
ふっと明かりが消えた。
停電。
「ひっ……!」
小さく上がった悲鳴が、暗闇に吸い込まれる。
「凪?」
静かな低い声が、階段の下から聞こえた。
暗くても分かる。
その声だけは、胸のざわめきを一瞬で落ち着かせる。
サクはゆっくり階段を上がり、
ソファで蹲る凪の前にしゃがみ込んだ。
「大丈夫だよ、凪。」
不安を払うように、
大きな手がそっと頭を撫でる。
その温かさに、
凪はふっと涙が滲んだ。
「サク……」
暗闇の中の凪の瞳は心細く揺れ、
それを見たサクの胸に柔らかな痛みが落ちた。
「側にいてあげるから。……怖くない。」
凪が小さく縋るように寄れば、
サクはその肩を優しく抱き寄せた。
雨と風の音が遠のいていくように感じた。
凪が眠りにつくまで、
サクは静かに寄り添い続けた。
*
翌朝。
昨夜の嵐が嘘のように空が晴れ渡っていた。
しかし——
山からの道が土砂で完全に塞がれ、
街へ出られなくなっていた。
「……大丈夫。数日は食料がある。……人間の、だが。」
サクはそんな軽口を言ったが、
ふいに表情がわずかに揺れた。
彼の視線は、空になった箱へ向いていた。
輸血パック。
最後の一つを昨夜使ってしまった。
(……まずいな。)
サクは立ち上がろうとして、
ふらりと体を傾けた。
「サク!?」
駆け寄った凪が支えると、
サクの顔色は異常なほど白い。
「……っ……」
肩で息をし、
瞳の奥の赤が妙に鮮やかだ。
(これ……まさか……)
「サク……空腹、なんですか……?」
サクは答えない。
否定する余力すら残っていない。
凪は唇を噛んだ。
(……今、街には行けない。
輸血パックもない。
じゃあ……どうすれば……)
手が震えた。
けれど迷いはほんの一瞬だった。
「……サク。
嫌かもしれないけど……
私の血を使ってください。」
サクの瞳が見開かれた。
「凪、だめだ。それは絶対に——」
「他に方法が……浮かばないんです!」
凪はキッチンに置いてあった小さなナイフを手に取った。
「凪、やめ——!」
遅かった。
指先に、鋭い痛み。
「っ……!」
赤い滴が溢れ、
凪はその指をサクの唇へそっと押し当てた。
触れた瞬間、
空気が張りつめる。
サクの睫毛がかすかに震え、
喉がひくりと動いた。
「…………っ」
凪の指先が、温かい口内へ迎え入れられる。
舌が触れるわけではない。
ほんのわずかな湿度と熱だけ。
それなのに凪の背筋にぞくりとしたものが走った。
サクが息を飲むように喉を鳴らす。
ごく。
その一音で、
凪の心臓が跳ね上がる。
サクの指先が、
逃がさないように凪の手首をそっと掴んだ。
強くはない。
でも確かに求める力。
凪の血が喉を通るたびに、
サクの肩が震えた。
痛みとも、悦びとも違う反応。
危ういほどの熱。
凪は呼吸を忘れる。
そのときサクがゆっくり目を開けた。
凪を見上げる赤黒い瞳は、
抑えきれない熱に揺れていた。
(……サク……今の……)
数秒後、
サクははっと我に返り、凪の指を放した。
「凪!! ……なんで……こんな危ないことを……!」
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
謝る凪を、
サクはたまらず抱きしめた。
「謝るな……!
すまない……君に痛い思いをさせた……」
「でも……サクの顔色が……戻ったから……
それだけで……よかった……」
その言葉に、
サクの腕が一瞬だけ強くなった。
「凪……。
二度と……自分を傷つけるな。」
凪は小さく首を振る。
「嫌です。
私の血が……サクの役に立つなら……」
サクは深く、長く息を吐いた。
「……ならば。
必要なときは……私がする。
痛みがないように……必ずするから。」
凪は胸に顔を埋め、震える声で答えた。
「……約束ですよ?
必ず……言ってくださいね……」
サクは凪の髪にそっと指を通し、
その命の温度を確かめるように抱きしめた。
嵐はもう去っていた。
けれど二人の胸に生まれた“ざわめき”だけは、
まだ静かに続いていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
半地下の静けさが落ち着くはずの空気を、
妙にざらつかせている。
暗闇の中で、サクは片手で額を押さえた。
「……ディープブラッド。
“ヴァンパイアキラー”……か。」
皮肉に笑うつもりが、
洩れた声はどうしようもなく低く掠れていた。
「よく言ったものだな……。
確かに——あれは、吸血鬼を“虜”にする。」
ただ甘いだけじゃない。
ただ満たされるだけでもない。
あれは、
吸ってしまえば終わりの、終わりの……その先。
「……君の血は、危険すぎるんだ。
凪……。」
胸の奥がひどく痛む。
空腹でも渇きでもない、もっと別の熱。
サクは深く長いため息を吐いた。
「君に……負担をかけたくはないんだ。
本当に……。」
指先が少し震えた。
「守りたいだけだったのに……
なぜ、こんなにも……近くなる。」
沈黙が落ちる。
半地下の冷たい空気の中で、
サクはただ一人、どうしようもなく揺れていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ナイフで切ったはずの指先を見つめた。
(……治ってる……)
触れても痛くない。
赤みすら残っていない。
——吸血鬼の唾液の効果。
痛みを消す薬効と、傷を塞ぐ再生作用。
でも、問題はそこじゃなかった。
唇に触れられた感触。
口の中の熱。
サクの喉が鳴る音。
あの瞬間の、近すぎる距離。
それらが、全部まとまって
指先から腕へ、胸の奥へ……じんわり熱を残している。
(……すこししか吸われてないのに……
どうして、こんな……)
顔が勝手に熱くなる。
「……サク。
私の血なんかでよければ……いくらでも……あげるのに……」
声にした途端、胸がきゅっと締めつけられた。
(……だめだ、こんなの言えない……
“好き”になっちゃダメなのに……)
深呼吸をして気持ちを整え、
凪は意を決して半地下へ向かった。
サクは、机に片肘をつき、静かに目を伏せていた。
昨夜の渇きはもう残っていない——
けれどどこか疲れているように見えた。
「……サク。」
名前を呼ぶと、サクの赤黒い瞳がゆっくりこちらを向いた。
凪は手を胸に重ね、小さく息を吸う。
「あのね……サク。
ここにいる間は……私を“食事”にしてほしいの。」
サクは一瞬、動きを止めた。
「……凪。」
「理由は……うーん……
サクはずっと私を守ってくれてるから……
その“お礼”ってことで、どう……?」
自分で言って、胸がじんと痛んだ。
(ほんとは……そんな理由じゃない……
もっと……違う気持ちなのに……)
サクは少しだけ目を伏せる。
(……理由、か。
どんな理屈をつけても……
この子は、きっとまた無茶をする……)
そして静かに顔を上げ、凪を見つめた。
「……わかった。
……“取引”ということだな。」
その声は淡々としているのに、
どこか——
凪の胸に落ちるような深さがあった。
凪は小さく笑う。
「……うん。取引。」
でもその笑顔の奥で、
自分の心臓が少しだけ早くなるのを止められなかった。
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