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雨が降っていた。
ずっとずっと。

憂鬱な気持ちで朝ごはんを食べながら奏多は天気予報を見ていた。
「今週1週間ずっと雨なんだからあんた颯斗君の家から傘とって帰ってきなさいよ?」
母がコーヒーを沸かしながらそう言う。
はーい、と気のない返事をしながら奏多は食パンを齧った。
「学校行きたくないな」
という奏多のつぶやきは雨音と天気予報の音声でかき消された。

「行ってきまーす」
部活道具の入った大きな鞄には小さすぎる折り畳み傘をさしながら奏多は言った。
返事を待たずにドアを閉める。
雨の日は学校に行きたくない。これは学生ならほとんどが思うことだと思うが、奏多はその雨が降っているという理由以外にも学校に行きたくない理由があった。






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