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第4章 ケズレルモノ
48-2 指示と日時
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疲れ切った俺は休まされていたが、山狩りは続いていた。
自衛隊は列を成してローラー作戦で深い山をずっと歩いているが、これでいつ見付かるか。
それともここではない?……もしくは、見付ける前に何かが起こってしまう――?
フラフラな足で再開する訳にもいかない。
俺は歯痒くて仕方なかった。
何もしてやれないのか俺は。この出来事に終止符を打つような何かを、俺は――。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝食を食べたあとだけど、胸が苦しくなる。決して食べ物のせいじゃない。
これが現実。
予想外のことなんて幾らでもある。でも、この数日の苦境の中で起こらなくていいのにと思ってしまう。
僕のせいか? 僕が無理言ってでも自分を明け渡していたら……。
昨日の状況も。僕がうまくやっていたら……。
ぐるぐると、考えてしまう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝起きてからすぐ、俺は、希美子さんと複数の自衛隊員と共に、彼らの組織の最上階から巡回を始めてみた。自衛隊員の装備には麻酔銃。
最下層まで巡回したが、連中の姿はどこにもなかった。
改めて洋館に戻ろう――という時、希美子さんのスマホが鳴った。
確認した彼女が「知らない番号」と零した。
その時、俺はつい、
「それは位置情報を特定されませんか!」
と強めに聞いてしまった。
「いえ、大丈夫です。藤宮家と同じように、位置が特定されない処置はちゃんと――」
「ふぅ。だったらよかった。掛けてみてください」
すぐに掛けない手はない。掛けずに数日、地道な調査を続け、それによって辿り着き不意を突く――なんて作戦だけを続けていたら、人質をどんどん増やされる可能性がある。殺される可能性だってある。それに、辿り着ける保証はない。
この番号が奴らのものなら。これに掛けることで、のちのち奴らが何か隙を見せれば、あるいは――。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私が掛けると、呼び出し音が数回鳴ってから止まった。
そして相手の声。男の声。「こちらはルオセウ人――まっさらな型紙を操る者だ。そちらは……俺達を捜索している。そうだな?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
イチェリオさんがみんなを広間に集めた。そして彼が言う。「連中が希美子さんのスマホを通し、こちら側に脅しを掛けてきました」
「あなた、本当にイチェリオさんですか?……希美子も」話を切ってそう問い詰めたのは、希美子さんに連れられて昨日ここに来てくれていた居那正さんだ。小太刀を手に持っている。
イチェリオさんは今回もまたチョークを浮かせた。希美子さんもタオルを。
だからこそみんながほっとしたのが、顔や吐息から分かった。
それから今度は希美子さんが。「彼らの脅しはこうです。『誰も殺されたくなければ藤宮大樹が一人で筑波山の展望台前に来い。日時は今日の昼、二時』……だそうです」
それは小さな声だったけど割とハキハキしてもいた――みんなに聞こえるようにっていう意識があったんだろう。情報の共有はほとんどできたと言える。
条件は変わったみたいだ。昨日の脅しでは『一時間ごとに一人殺す』ということだったらしいけど、その文言はこれにはないのか。もしかしたら本当に人質は誰も死んでいないかもしれない。そうだといい。
少しのあいだ、鳥の囀りくらいしか音が目立たなくなった。
そんな時、疑問を口にした者がいた。
「え、待ってください、その掛けてきた相手の番号から、何か分からないんですか?」
お兄ちゃんの声だった。
この洋館には、奴らの船への突入部隊に参加した警察官も来ていた、その一人の男性が言う。「確かに、相手の居場所を正確に探知できるかもしれません」
その警察官は、方々に電話を掛けたようだった。
そのあとでまた彼が。
「どうやらうまくいかないようです。もう一度掛けてくれませんか」
「もう一度? 大丈夫ですか?」とは希美子さんが。
すると警察官は言った。「直接現在地が分からないのは残念ですが、逆探知で基地局の特定だけでもしたいので」
「分かりました」
逆探知の装置の接続が終わったのか、警察官男性が合図をする。
すると希美子さんが。「もしもし」
「何度も掛けるな」相手の男の声。
声はスピーカーから――出るように予め警察官男性が操作していた。
男は更に。「用件は伝えた。手を煩わせるな。人質を殺すか?」
「それだけは!」
希美子さんが焦りの声を上げた。まあ焦ったのは僕もだけど。
「そうだろう? やめておいてやる。次は出ないぞ」
その声のあと、プッツリと途絶えた。
切られてしまうのも当然だ、連中には、こちらに付き合う必要がない……。
……逆探知はどうだったのか。そちらにも視線が注がれる。
警察官男性は言った。「駄目だ。どの基地局も使っていない」
するとイチェリオさんが。「恐らく連中の船の何かが、この星の――この国の――通話の仕組みに似せた役割を担うことができているんでしょう、しかも探知されない。我々の船でそういったことができなくはない」
「くそ」と警察の男性が愚痴った。
気持ちは分かる。できるかもと思ったことができないんだから。
歯痒くて遣る瀬ない。
だけどまあ、次の行動は決まった。
今日の昼二時、筑波山の展望台に。
僕が……。僕が一人で?
そう思った時だ。檀野さんが口を開いた。「こうなったら、バレないように少し遠くに部隊を配置しましょう、それから大樹くんに化けた誰かが――」そして彼はイチェリオさんとシリクスラさんを見た。
その二人のうちどちらかが僕に? いつかヴェレンさんがしたように?
僕は思い返した。――僕のために死んだ。僕が安全に生きていたいから死んだ。大勢の人が。そう聞いた。ルオセウからわざわざ来たヴェレンさんまで。僕に化けたことがあるヴェレンさんまで――。
今回は、一人で来いと指示されたという話。会話を要求されたら、僕に化けた人だとどうなるか……。
その現場ですらその危険度。
これから、ほかにも酷い目に遭う人が大勢出るかもしれない。……全部、僕の存在のせい。僕が狙われるせいで。僕のせいで。
そんなに簡単に命が散ってしまうんなら、もう僕は。
――ごめん、実千夏。
僕は奴らの所に行く。要求をのむ。そうしたらルオセウに行っちゃうかもしれない。帰って来られないかもしれないけど、それでも僕が行く。これはみんなのためなんだ。
「僕は行きます。代わりなんて要らない。それが要らない分、別部隊を作りたいなら僕に化けさせないでそこに充てればいい。僕はとにかく彼らの言う通り――」
「待って」
それはシリクスラさんが止めようとした声だった。
でも僕は行く。
そう思う僕に彼女が。「私には、あなたを止める権利なんてない。それにもしかしたら、私には止めることさえできないかもしれない。もしかしたらあなたの方が強いかもしれない、油断さえしなければ」
「じゃあ――」
「でも! あなたは警察でも何でもない! マギュート以外の訓練なんか積んでなくて、そういう弱さが絶対にどこかで出る! そんなあなたが連れていかれないようにできる!? その自信があるって言うの!? あなたが捕まったら大変なことになる! 人質だって本当に何もされないとも限らないし、ルオセウの安全が脅かされるのよ! 分かってるの!?」
シリクスラさんが僕に問い質したあと、辺りがしんとした。
それから彼女がまた。「この星も、私の星も……平穏そのものがどうなるか。あなたの行動に懸かってる。……それでも行くって言うの?」
僕の目は潤んでた。けど今は僕だけじゃない。彼女もそうなった。
その少しだけ潤んだ目の持ち主に向けて。
「僕はもう、誰かの犠牲なんて嫌なんです。考えたくない。それに『僕が捕まったら』じゃない。『僕が研究されて過激派が力を得たら』だ、そうでしょう――?」
「だ、だけどそんなのは――」
「とにかく僕は行く! 奴らの指示にあるように一人で! もう誰にも死んでほしくない。人質が誰であっても死んでほしくないってそう思ってる。最初から思ってた! 信じてたんですよ!……でもこうなった。だから……」
僕は、彼らを責めてる。信じてたけどこんなことになったじゃないかと。
それを自覚して、自分が最低な人間に思えて、心の中で自分を罵ってから、続きを言葉にした。
「それにあなた達が化けて行ったって、会話できないじゃないですか。うまく翻訳機かマイクを隠しても、所持品を確かめられたら終わりだ。だから何を言われたって、それこそ、こうなったらもう僕じゃないと駄目だ。だから僕が行かないと。これはもう絶対だ、そうでしょう」
またしばらく場がしんとした。数秒か。十数秒か。
それからシリクスラさんが、重々しく小さな声で。「分かりました」って。
イチェリオさんが何か言ってもよかっただろうけど、彼はもしかしたら、シリクスラさんの返答を待ってあげたのかもしれない。
それからまたシリクスラさんが。「そう、ね……。ほかに方法はない……」悔しがっているように見える――。
その言葉に続きがあるのなら聞きたい。でも、シリクスラさんは何やらここにいるみんなに目配せするだけだった。反応を待った? 本当に方法はないのか?――って? そうじゃなければどうするかを考えただけか。
――でも、誰も何も言わない。
無音が数秒続いてから、檀野さんが。「特殊メイクでも発音部分を隠し切れないでしょうし、触られたらほぼ気付かれるでしょうね」
それを聞いたシリクスラさんが、意を決したみたいに、何度か頷いた。
それからシリクスラさんが僕に。
「分かりました。あなたを行かせて、その上で隙を突く。作戦を立てましょう。無策では行かせません。それにバレない範囲での私達の位置、行動についても話し合います」
僕はなぜだか安心した。やっと関われる。責任を取れる。そう感じたからかな。
「分かりました」そう言って覚悟する。
もう引かない。行ったら多分捕まるけど、隙を見て奴らを。絶対に奴らを……!
自衛隊は列を成してローラー作戦で深い山をずっと歩いているが、これでいつ見付かるか。
それともここではない?……もしくは、見付ける前に何かが起こってしまう――?
フラフラな足で再開する訳にもいかない。
俺は歯痒くて仕方なかった。
何もしてやれないのか俺は。この出来事に終止符を打つような何かを、俺は――。
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朝食を食べたあとだけど、胸が苦しくなる。決して食べ物のせいじゃない。
これが現実。
予想外のことなんて幾らでもある。でも、この数日の苦境の中で起こらなくていいのにと思ってしまう。
僕のせいか? 僕が無理言ってでも自分を明け渡していたら……。
昨日の状況も。僕がうまくやっていたら……。
ぐるぐると、考えてしまう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝起きてからすぐ、俺は、希美子さんと複数の自衛隊員と共に、彼らの組織の最上階から巡回を始めてみた。自衛隊員の装備には麻酔銃。
最下層まで巡回したが、連中の姿はどこにもなかった。
改めて洋館に戻ろう――という時、希美子さんのスマホが鳴った。
確認した彼女が「知らない番号」と零した。
その時、俺はつい、
「それは位置情報を特定されませんか!」
と強めに聞いてしまった。
「いえ、大丈夫です。藤宮家と同じように、位置が特定されない処置はちゃんと――」
「ふぅ。だったらよかった。掛けてみてください」
すぐに掛けない手はない。掛けずに数日、地道な調査を続け、それによって辿り着き不意を突く――なんて作戦だけを続けていたら、人質をどんどん増やされる可能性がある。殺される可能性だってある。それに、辿り着ける保証はない。
この番号が奴らのものなら。これに掛けることで、のちのち奴らが何か隙を見せれば、あるいは――。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私が掛けると、呼び出し音が数回鳴ってから止まった。
そして相手の声。男の声。「こちらはルオセウ人――まっさらな型紙を操る者だ。そちらは……俺達を捜索している。そうだな?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
イチェリオさんがみんなを広間に集めた。そして彼が言う。「連中が希美子さんのスマホを通し、こちら側に脅しを掛けてきました」
「あなた、本当にイチェリオさんですか?……希美子も」話を切ってそう問い詰めたのは、希美子さんに連れられて昨日ここに来てくれていた居那正さんだ。小太刀を手に持っている。
イチェリオさんは今回もまたチョークを浮かせた。希美子さんもタオルを。
だからこそみんながほっとしたのが、顔や吐息から分かった。
それから今度は希美子さんが。「彼らの脅しはこうです。『誰も殺されたくなければ藤宮大樹が一人で筑波山の展望台前に来い。日時は今日の昼、二時』……だそうです」
それは小さな声だったけど割とハキハキしてもいた――みんなに聞こえるようにっていう意識があったんだろう。情報の共有はほとんどできたと言える。
条件は変わったみたいだ。昨日の脅しでは『一時間ごとに一人殺す』ということだったらしいけど、その文言はこれにはないのか。もしかしたら本当に人質は誰も死んでいないかもしれない。そうだといい。
少しのあいだ、鳥の囀りくらいしか音が目立たなくなった。
そんな時、疑問を口にした者がいた。
「え、待ってください、その掛けてきた相手の番号から、何か分からないんですか?」
お兄ちゃんの声だった。
この洋館には、奴らの船への突入部隊に参加した警察官も来ていた、その一人の男性が言う。「確かに、相手の居場所を正確に探知できるかもしれません」
その警察官は、方々に電話を掛けたようだった。
そのあとでまた彼が。
「どうやらうまくいかないようです。もう一度掛けてくれませんか」
「もう一度? 大丈夫ですか?」とは希美子さんが。
すると警察官は言った。「直接現在地が分からないのは残念ですが、逆探知で基地局の特定だけでもしたいので」
「分かりました」
逆探知の装置の接続が終わったのか、警察官男性が合図をする。
すると希美子さんが。「もしもし」
「何度も掛けるな」相手の男の声。
声はスピーカーから――出るように予め警察官男性が操作していた。
男は更に。「用件は伝えた。手を煩わせるな。人質を殺すか?」
「それだけは!」
希美子さんが焦りの声を上げた。まあ焦ったのは僕もだけど。
「そうだろう? やめておいてやる。次は出ないぞ」
その声のあと、プッツリと途絶えた。
切られてしまうのも当然だ、連中には、こちらに付き合う必要がない……。
……逆探知はどうだったのか。そちらにも視線が注がれる。
警察官男性は言った。「駄目だ。どの基地局も使っていない」
するとイチェリオさんが。「恐らく連中の船の何かが、この星の――この国の――通話の仕組みに似せた役割を担うことができているんでしょう、しかも探知されない。我々の船でそういったことができなくはない」
「くそ」と警察の男性が愚痴った。
気持ちは分かる。できるかもと思ったことができないんだから。
歯痒くて遣る瀬ない。
だけどまあ、次の行動は決まった。
今日の昼二時、筑波山の展望台に。
僕が……。僕が一人で?
そう思った時だ。檀野さんが口を開いた。「こうなったら、バレないように少し遠くに部隊を配置しましょう、それから大樹くんに化けた誰かが――」そして彼はイチェリオさんとシリクスラさんを見た。
その二人のうちどちらかが僕に? いつかヴェレンさんがしたように?
僕は思い返した。――僕のために死んだ。僕が安全に生きていたいから死んだ。大勢の人が。そう聞いた。ルオセウからわざわざ来たヴェレンさんまで。僕に化けたことがあるヴェレンさんまで――。
今回は、一人で来いと指示されたという話。会話を要求されたら、僕に化けた人だとどうなるか……。
その現場ですらその危険度。
これから、ほかにも酷い目に遭う人が大勢出るかもしれない。……全部、僕の存在のせい。僕が狙われるせいで。僕のせいで。
そんなに簡単に命が散ってしまうんなら、もう僕は。
――ごめん、実千夏。
僕は奴らの所に行く。要求をのむ。そうしたらルオセウに行っちゃうかもしれない。帰って来られないかもしれないけど、それでも僕が行く。これはみんなのためなんだ。
「僕は行きます。代わりなんて要らない。それが要らない分、別部隊を作りたいなら僕に化けさせないでそこに充てればいい。僕はとにかく彼らの言う通り――」
「待って」
それはシリクスラさんが止めようとした声だった。
でも僕は行く。
そう思う僕に彼女が。「私には、あなたを止める権利なんてない。それにもしかしたら、私には止めることさえできないかもしれない。もしかしたらあなたの方が強いかもしれない、油断さえしなければ」
「じゃあ――」
「でも! あなたは警察でも何でもない! マギュート以外の訓練なんか積んでなくて、そういう弱さが絶対にどこかで出る! そんなあなたが連れていかれないようにできる!? その自信があるって言うの!? あなたが捕まったら大変なことになる! 人質だって本当に何もされないとも限らないし、ルオセウの安全が脅かされるのよ! 分かってるの!?」
シリクスラさんが僕に問い質したあと、辺りがしんとした。
それから彼女がまた。「この星も、私の星も……平穏そのものがどうなるか。あなたの行動に懸かってる。……それでも行くって言うの?」
僕の目は潤んでた。けど今は僕だけじゃない。彼女もそうなった。
その少しだけ潤んだ目の持ち主に向けて。
「僕はもう、誰かの犠牲なんて嫌なんです。考えたくない。それに『僕が捕まったら』じゃない。『僕が研究されて過激派が力を得たら』だ、そうでしょう――?」
「だ、だけどそんなのは――」
「とにかく僕は行く! 奴らの指示にあるように一人で! もう誰にも死んでほしくない。人質が誰であっても死んでほしくないってそう思ってる。最初から思ってた! 信じてたんですよ!……でもこうなった。だから……」
僕は、彼らを責めてる。信じてたけどこんなことになったじゃないかと。
それを自覚して、自分が最低な人間に思えて、心の中で自分を罵ってから、続きを言葉にした。
「それにあなた達が化けて行ったって、会話できないじゃないですか。うまく翻訳機かマイクを隠しても、所持品を確かめられたら終わりだ。だから何を言われたって、それこそ、こうなったらもう僕じゃないと駄目だ。だから僕が行かないと。これはもう絶対だ、そうでしょう」
またしばらく場がしんとした。数秒か。十数秒か。
それからシリクスラさんが、重々しく小さな声で。「分かりました」って。
イチェリオさんが何か言ってもよかっただろうけど、彼はもしかしたら、シリクスラさんの返答を待ってあげたのかもしれない。
それからまたシリクスラさんが。「そう、ね……。ほかに方法はない……」悔しがっているように見える――。
その言葉に続きがあるのなら聞きたい。でも、シリクスラさんは何やらここにいるみんなに目配せするだけだった。反応を待った? 本当に方法はないのか?――って? そうじゃなければどうするかを考えただけか。
――でも、誰も何も言わない。
無音が数秒続いてから、檀野さんが。「特殊メイクでも発音部分を隠し切れないでしょうし、触られたらほぼ気付かれるでしょうね」
それを聞いたシリクスラさんが、意を決したみたいに、何度か頷いた。
それからシリクスラさんが僕に。
「分かりました。あなたを行かせて、その上で隙を突く。作戦を立てましょう。無策では行かせません。それにバレない範囲での私達の位置、行動についても話し合います」
僕はなぜだか安心した。やっと関われる。責任を取れる。そう感じたからかな。
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