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第4章 ケズレルモノ
51-2 完全な情報と封殺のために
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ここに来る前に、そもそも洋館にて、僕は聞いていた。
「そういえばあいつ、どうしてあんなサイコロを使えたんですか? 捕まってたんでしょう? 武器と分かってたら近くに置かせないはずだし」
それを聞いたイチェリオさんは、何やら考え込んでから、答えを絞り出したようだった。
「体のどこかに埋め込んでいたとしか。それ以外あり得ない。だがまさかそこまでしているとはな、裏を掻かれた訳だ。だがやるべき方法ではないぞ。言ったように、体に変調を来す虞が――」
僕は芯の弾丸をまた目の前の男に向けて放った。この男だけは必ず気絶させる!――その想いで。そうしないとずっと抵抗される。その抵抗中に仲間を呼ばれてもまずい。それらを防ぐ一心で。標的箇所はさっきと同じ腹に加えてあごも。今度は一発ずつの二発。
敵からも飛んでくるものがあった。黒い十二面のサイコロだ。
――!
咄嗟にしゃがんだ。避けることには成功! こちらの攻撃が二発とも当たるのを確認することもできた!
それから、扉の陰にもう一度隠れた。
敵のサイコロの幾つかはモニター室内の壁に当たって反射し、その辺に転がった。
室内に入らなかったモノも通路の壁に当たり跳ね返った先に行ったことだろう。それぞれ元の大きさに戻ったはずだけど、確認はしない、そんな暇はない。
僕は再度顔を出した。
その時には、男は目を回していた。
彼に向けて伝える。「武器を体に埋め込んでるんだろ。増減能力で消せ。それが嫌なら――こっち側の人間になれ」
言いながら奪ったスマホを操作。文字はルオセウのものに変わっているらしい。けど、画像が変わっていないからきっと大丈夫。地図アプリを開いて現在位置を……。認識できた!
この地図データをスクリーンショットで撮って送る。とりあえず檀野さんに。彼の番号なら覚えてる。
直後、男が僕に返事を――
「好き勝手言いやがって。そっち側にだと? なれる訳がないんだよ」
まだあまり口が回っていないけど、とにかく僕には伝わった。切羽詰まった何かまでもが。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スマホに地図データのスクショがメールで送られてきた。それを見るに、大樹くんがいるのは……。
分かり難いな、引きの図があればいいんだが、文字はルオセウのもののようだし。
と、そこでイチェリオさんがこのスマホを覗き込んで。
「ホッカ……イド、ウ……イシ、カリ……ダ、ケ?」
その少し南西部らしい。これで位置が分かった。
「誰か石狩岳に行ったことは!?」
俺の問いに、誰もが首を横に振った。
ならばと、風浦に同じ画像を送ることにした。『北海道石狩岳頂上からやや南西』というタイトルも付けて。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
多分もうみんながここを探す段階だ。
それに僕も直接呼べる。
引きの地図を送る暇はなかったけど僕が見ることはできたし、だいたいの距離と方向感覚について、もう理解したからだ。
じゃあなぜスクリーンショットを送ったのかと問われれば、僕の答えは『念のため』だ。
引きじゃなく拡大図の方を送ったのは、引きでは一番近くの地名が見えなかったからだ。その近くの地名を変換したルオセウの文字をイチェリオさん達のどちらかが読むことで檀野さん達が具体的に把握できるようにするために送った。だけど、それから時間に余裕がなくなった。
――今はこの男をどうにかしないと!
この男の無力化だけはし辛い。長引かないようにしないと。
やり方は難しいし賭けになるかもしれない。危険な行為だ。分かってる。だけど!『体のどこにあの武器を隠しているか』は、見当が付いてる――!
「――裏を掻かれた訳だ。だがやるべき方法ではないぞ。言ったように、体に変調を来す虞が――」
あの洋館にて、イチェリオさんがそう言ったあとだ。
僕は考え込んだ。
彼に変身してみると何か分かるだろうかと思ったが、多分、分かりっこない。自分で体験している。実千夏に説明するために人と同等の大きさの猫に変身した時、体中の傷はそのままあった。傷は自分のものが反映されるだけ。彼の体を調べることにはならない。
しばらく考えても、僕の頭には答えが浮かばなかった。聞くしかない。
「あー……、その。サイコロ男のことで何か分かるようなものって――手掛かりは――ほかにないんですか?」
イチェリオさんも考えたようだった。
そして僕に何か言ったのは、そばにいた一人の自衛隊員だった。
「あの。彼を撮った写真がありますよ」
彼にイチェリオさんが。「一応持ってきてほしいのですが、それはどんな写真ですか? どこに隠されているか分かりそうなものですか?」
するとその自衛隊員は、目を明後日に向けてから。
「変装のために服をすぐ取っ払ったでしょう、そのあとの写真なので、一応裸です。何かあるなら分かるかもと……。ああ、それと、あなた方の……亡くなられたお仲間がレントゲンのような検査もしましたが、そっちでは確認できなかったようですので、ヒントになりそうなのは写真だけかと。持ってきますね」
用意されたその写真を見ると、イチェリオさんは呟いた。「なるほどこれは……」
どうすれば敵の体内の操作対象を破壊もしくは隔離できるか……と思った直後、僕は決意した、『奴の武器を、体を抉ってでも……切断してでも引き離す』と。ただ、それでも大量出血で死なせたくはない。
だけど、規模を小さくはできない。敵も逃れようと動いてしまうから、じゃあどうすれば――と念頭に置きながら、モニター室から顔を出した。
そして。
左手のシャー芯に意識を集中し、目の前に四本の芯を出現させ、それを飛ばした。その四本でできた枠をゲート化させ、押し付ける――相手の左肩から先だけがゲートの向こうに行くように――。
「な、なんで――!!」
男が口走った。
それを耳にして僕が思ったのは、ただ静かな『やっぱりな』だった。
「そういえばあいつ、どうしてあんなサイコロを使えたんですか? 捕まってたんでしょう? 武器と分かってたら近くに置かせないはずだし」
それを聞いたイチェリオさんは、何やら考え込んでから、答えを絞り出したようだった。
「体のどこかに埋め込んでいたとしか。それ以外あり得ない。だがまさかそこまでしているとはな、裏を掻かれた訳だ。だがやるべき方法ではないぞ。言ったように、体に変調を来す虞が――」
僕は芯の弾丸をまた目の前の男に向けて放った。この男だけは必ず気絶させる!――その想いで。そうしないとずっと抵抗される。その抵抗中に仲間を呼ばれてもまずい。それらを防ぐ一心で。標的箇所はさっきと同じ腹に加えてあごも。今度は一発ずつの二発。
敵からも飛んでくるものがあった。黒い十二面のサイコロだ。
――!
咄嗟にしゃがんだ。避けることには成功! こちらの攻撃が二発とも当たるのを確認することもできた!
それから、扉の陰にもう一度隠れた。
敵のサイコロの幾つかはモニター室内の壁に当たって反射し、その辺に転がった。
室内に入らなかったモノも通路の壁に当たり跳ね返った先に行ったことだろう。それぞれ元の大きさに戻ったはずだけど、確認はしない、そんな暇はない。
僕は再度顔を出した。
その時には、男は目を回していた。
彼に向けて伝える。「武器を体に埋め込んでるんだろ。増減能力で消せ。それが嫌なら――こっち側の人間になれ」
言いながら奪ったスマホを操作。文字はルオセウのものに変わっているらしい。けど、画像が変わっていないからきっと大丈夫。地図アプリを開いて現在位置を……。認識できた!
この地図データをスクリーンショットで撮って送る。とりあえず檀野さんに。彼の番号なら覚えてる。
直後、男が僕に返事を――
「好き勝手言いやがって。そっち側にだと? なれる訳がないんだよ」
まだあまり口が回っていないけど、とにかく僕には伝わった。切羽詰まった何かまでもが。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スマホに地図データのスクショがメールで送られてきた。それを見るに、大樹くんがいるのは……。
分かり難いな、引きの図があればいいんだが、文字はルオセウのもののようだし。
と、そこでイチェリオさんがこのスマホを覗き込んで。
「ホッカ……イド、ウ……イシ、カリ……ダ、ケ?」
その少し南西部らしい。これで位置が分かった。
「誰か石狩岳に行ったことは!?」
俺の問いに、誰もが首を横に振った。
ならばと、風浦に同じ画像を送ることにした。『北海道石狩岳頂上からやや南西』というタイトルも付けて。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
多分もうみんながここを探す段階だ。
それに僕も直接呼べる。
引きの地図を送る暇はなかったけど僕が見ることはできたし、だいたいの距離と方向感覚について、もう理解したからだ。
じゃあなぜスクリーンショットを送ったのかと問われれば、僕の答えは『念のため』だ。
引きじゃなく拡大図の方を送ったのは、引きでは一番近くの地名が見えなかったからだ。その近くの地名を変換したルオセウの文字をイチェリオさん達のどちらかが読むことで檀野さん達が具体的に把握できるようにするために送った。だけど、それから時間に余裕がなくなった。
――今はこの男をどうにかしないと!
この男の無力化だけはし辛い。長引かないようにしないと。
やり方は難しいし賭けになるかもしれない。危険な行為だ。分かってる。だけど!『体のどこにあの武器を隠しているか』は、見当が付いてる――!
「――裏を掻かれた訳だ。だがやるべき方法ではないぞ。言ったように、体に変調を来す虞が――」
あの洋館にて、イチェリオさんがそう言ったあとだ。
僕は考え込んだ。
彼に変身してみると何か分かるだろうかと思ったが、多分、分かりっこない。自分で体験している。実千夏に説明するために人と同等の大きさの猫に変身した時、体中の傷はそのままあった。傷は自分のものが反映されるだけ。彼の体を調べることにはならない。
しばらく考えても、僕の頭には答えが浮かばなかった。聞くしかない。
「あー……、その。サイコロ男のことで何か分かるようなものって――手掛かりは――ほかにないんですか?」
イチェリオさんも考えたようだった。
そして僕に何か言ったのは、そばにいた一人の自衛隊員だった。
「あの。彼を撮った写真がありますよ」
彼にイチェリオさんが。「一応持ってきてほしいのですが、それはどんな写真ですか? どこに隠されているか分かりそうなものですか?」
するとその自衛隊員は、目を明後日に向けてから。
「変装のために服をすぐ取っ払ったでしょう、そのあとの写真なので、一応裸です。何かあるなら分かるかもと……。ああ、それと、あなた方の……亡くなられたお仲間がレントゲンのような検査もしましたが、そっちでは確認できなかったようですので、ヒントになりそうなのは写真だけかと。持ってきますね」
用意されたその写真を見ると、イチェリオさんは呟いた。「なるほどこれは……」
どうすれば敵の体内の操作対象を破壊もしくは隔離できるか……と思った直後、僕は決意した、『奴の武器を、体を抉ってでも……切断してでも引き離す』と。ただ、それでも大量出血で死なせたくはない。
だけど、規模を小さくはできない。敵も逃れようと動いてしまうから、じゃあどうすれば――と念頭に置きながら、モニター室から顔を出した。
そして。
左手のシャー芯に意識を集中し、目の前に四本の芯を出現させ、それを飛ばした。その四本でできた枠をゲート化させ、押し付ける――相手の左肩から先だけがゲートの向こうに行くように――。
「な、なんで――!!」
男が口走った。
それを耳にして僕が思ったのは、ただ静かな『やっぱりな』だった。
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