桜の涙

黒咲ゆかり

文字の大きさ
5 / 17

5.暖かい食卓

しおりを挟む
結局その日俺たちは学校に遅刻した。

「桜、大丈夫?」

「何が?」

「ほらっ、遅刻したから出されたでしょ課題。」

「あっ!うーん…冬夜に
手伝ってもらうから大丈夫。」

「はぁ?なんで俺が」

「お願い。私が見てあげたいところなんだけど
バイトが入っちゃって。」

「え…嫌…」

「おいっ!咲友美さんのお願いだぞ!
さっき見てたけどお前も遅刻したのに
なんでお前は課題でねーんだよ!」

「今日は出来ねーからだよ」

「え?冬夜今日何かあんの?」

「病院。」

「…。」

「行くだけだからすぐ帰る。」

「よかった。」

「はぁ?何病人ぶってんだよ。」

「宇佐くん!」

「……。」

「あとは、が成績いい方だからじゃないか。」

「宇佐くん泣かないで」

「泣いてねーもん」

チビはプルプル震えている。
何かに似てる……。?…。
あっ!

「うさぎ だ!」

「へ?」

「可愛いーうさぎ くんだってー」

「うさぎじゃない!虎がいい!」

はぁ?何言ってんのこいつ。
気にする所がちがくね?

「ごめんね。私、強い口調で
言いすぎちゃって。」

謝んなくていいと思う。

「俺の事、嫌いになった?」

「うーん…と、少し…」

「ガーン!」

いや、そこは嘘でも
NOと言ってあげて!

「あっ!ごめん、うさぎく…あっ!ごめん…。」

「うっ、何で咲友美さんまでぇっ」

かわいそ…。

「お前も大変だな…」

あっという間に今日も授業が終わった

「じゃあ、俺病院行くから先に家に帰ってて」

「分かった」

「桜帰ろ」

「うん。」

「おっ、俺も一緒に帰りたい」

「うん、帰ろ」

うさぎ、嬉しそうだな…。

俺は、病院へ向かった。
悪くなってななきゃいいな…。

「花田さん。」

看護師さんだ。

「はい。」

「この頃どうですか?」

「いたって健康です。
発作は一度だけ起きました。
あっ、でもすぐに治まりましたよ。」

「そうですか。まぁ、一応検査をして
おきましょうか。」

「はい。お願いします。」

検査が終わった。

先生の眉間にはしわがよっていた。

「花田さん、少し悪くなっていますね…。
少し今までより強い薬を出しておきますね。」

やっぱりな…。

「ありがとうございます。」

どんどん、悪くなる。二年って…。
この速さで進行していったら
どうなるんだろう…。
二年持たないって可能性も…。
いやいや、病は気からだ。
あっ、スーパー寄ってから帰ろ…。

「ただいまー」

「おかえり!」

「今作るから少し待ってろ」

「うん!」

俺は、急いで調理し始めた。

「冬夜、病院どうだった?」

俺は、手を止めた。本当の事を話そうか、
嘘をつくか迷った。
きっと、今俺が本当の事を言ったら
桜は気を使うだろうし、せっかくの飯が
うまくなくなる。

「………全然心配ないって。」

「よかった。」

安心している桜の顔を見ると少し胸が痛たい。

「できたぞ。」

「わぁ~!」

「和食にしてみたんだけど…。」

「私、和食大好き!」

「なら良かった」

白飯と、味噌汁、焼き魚、漬け物と、
本当に 日本 って感じの食卓だ。

「いだだきます!」

「いただきます。」

二人とも、無言の時間が続く。
桜からテーブルに透明な涙が落ちた

「だ、大丈夫か!?魚の骨が喉に刺さったのか!?」

「ううん。なんでだろう、
今日も朝、一緒にご飯食べたのに、
それとはちょっと違くて、
とっても美味しい。
冬夜が作ってくれたからかな?
二人で一緒に食べるからかな?
ご飯ってこんな、あったかかったっかな?」

「……。」

「いつも私がいる食卓は静かで、冷たかった、
だから今、この時間がとっても、
とってもあったかい」

そうか、人が作った料理も、
一緒に食べる暖かさも桜にとって
久しぶりなんだ。

「ありがとう。」

嬉し泣き、散々変なのって言ってたのに
笑いながら泣くって朝の俺と一緒じゃんか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

カメリア――彷徨う夫の恋心

来住野つかさ
恋愛
ロジャーとイリーナは和やかとはいえない雰囲気の中で話をしていた。結婚して子供もいる二人だが、学生時代にロジャーが恋をした『彼女』をいつまでも忘れていないことが、夫婦に亀裂を生んでいるのだ。その『彼女』はカメリア(椿)がよく似合う娘で、多くの男性の初恋の人だったが、なせが卒業式の後から行方不明になっているのだ。ロジャーにとっては不毛な会話が続くと思われたその時、イリーナが言った。「『彼女』が初恋だった人がまた一人いなくなった」と――。 ※この作品は他サイト様にも掲載しています。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

処理中です...