桜の涙

黒咲ゆかり

文字の大きさ
8 / 17

8.時の流れ

しおりを挟む
「寂しかったよ~…」

「んーそうか」

「えっ、何それ!冬夜は寂しくなかったの!?」

まぁ、つまらなかったな、

でも

「うん、桜が毎日来てくれたから。」

「えへへっ」

「何照れてんだよ!」

俺は桜の額にデコピンをした。

「イテッ」

「あ、そういえば明日からまた学校行けるの?」

「うん、一応な。」

「やったぁー!」

「だから、今日は早く寝ような。」

「うん。」

(今日、冬夜が睨んだ時…。
何となくあの人に似てた……ような気がする。
まぁ、気のせいだよね。)

「おい、桜、朝飯できたぞ。」

「んっ…。ん?キャァー!」

!!!!?

「おっ、おい?桜?」

「はぁっ、なんだビックリした
冬夜か良かった。」

…何だ?悪い夢でも見たのかな。

「朝飯だぞ!早く起きないと朝飯抜きな。」

「えっ!はいっ、はい!起きます!」

「いっただっきまぁーす!」

「いただきます。」

「あっ、この漬け物美味しい!」

「だろ?近所のおばさんからもらったんだ。」

「えっ!もうご近所さんと仲良くなったの!?」

「もうって、もう一ヶ月以上になるんだぞ。」「そっかぁ、早いね。」

最近、時間の進みが早い気がして少し怖い。

…手術したとして成功するかはからない。

…けど、生きたいって、生きるって決めたんだ。

「いってきまぁーす!」

「いってきます。」

頑張ろう、今日も1日が始まる。

「おはよー」

「おはよ…。」

「ん?何、冬夜なんか怒ってる?」

「まぁ、怒ってる…かな。」

「俺なんかしたかな…。」

「ほら、俺が入院してる時桜と出かけただろ。」

「…うーん…」

「はぁ、自覚がないのが一番悪いんだよ
拓也…。」

「桜をおいてお前ナンパしてきた女に
着いてっただろ。」

「あぁー…。」

「お前が居なくなって桜に何かあったら
どうすんるんだ?」

「まぁ、実際に何かあったわけじゃないんだからいいじゃん?」

「あったから言ってんだよ!
別に俺は何かなくても言ってたかもしれないけどさぁ。」

「へぇー…そんな好きなんだ。」

「拓也、ちゃかすな!」

「あの辺は変な奴がいるのお前も知ってたろ!」


「まぁね」

なんかまわりがざわざわしはじめた。

女子たちだ。

「お前そんな事言ってていいのか?」

「何が?」

「お前を見に女子達が集まってきてるぞ。」

「…いいんじゃない?勝手に来てるだけだし。」

「おまっ!?それは人としてどうかと思うぞ。」

よく目の前で言えるな…。

「まぁ、これからはそのへんよく考えろよ。」

「冬夜…。」

桜が申し訳なさそうな顔で俺の顔を見つめる。

「へぇ、冬夜くんって言うんだ。」

「拓也の友達?優しいんだね。」

拓也の追っかけ達が俺に集まって来る

その隙に拓也は教室から出て行った。

「あっ、ちょっ拓也!」

結局、ダメだったなぁ。

「むぅんー……。」

「どうした?桜」

「別にぃー…。」

「鈍感だな。」

俺と桜の間にいきなりひょこっとあらわれた。

「うわぁ!?うさぎ?」

「桜、嫉妬だよなぁ?」

「なっ!ななななんで!違うよ」

「嫉妬ぉー?何で俺に桜が」

「そうだよ。」

「「ねぇ?」」

「うわぁ、めっちゃそろってる…。」

「っでさぁ、いつも思うんだけど、
冬夜ってさ結構病院にかよってんじゃん?
なんか病気なの?」

「……うん。」

「どんなの?大丈夫なのか?」

「うん、多分大丈夫」

「冬夜?」

「そっかぁ、よかった」

少し胸が痛む。でも別に嘘をついた

訳じゃないんだ。じゃあなんでこんなに俺は…!!

そうだ俺は……。

この病気が治るって信じてないんだ。

治したい。手術をすれば治るんだ、

でも手術をして、手術が失敗したらどうなる?

心臓だぞ?どうなるかわからない。

治ると信じたいでもそんなの…わかる訳がない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

処理中です...