桜の涙

黒咲ゆかり

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9.林間学校前日

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「えー、林間学校の班を決めます。
では、5人1組になってください。」

「えーっと、俺達の班は、俺と、桜と、
うさぎと、咲友美と、…拓也、か。」

拓也もいるのか。

「じゃあ、先生に伝えてくるよ!」

「あー、頼む!」

桜は拓也と同じく班で嫌じゃないのか…?

「あーのさぁ、桜は…。」

やめておこう…。

「冬夜?」

「あ、なんでもない。」

「えー、気になる!」

別に、拓也から桜を遠ざけたいわけじゃなし…。

ていうか、俺はなんでこんなに桜を心配してだ?

俺って心配性だったっけ?

桜がいいっていうならいいじゃんか!?…。

自分がよく分からなくなってきた…。

「冬夜!楽しみだねっ!」

「うん…。」

自分がよく分からなくなったって、
もやもやするのも生きてるということを
実感出来ていいかもしれない。


✿林間学校当日✿


「ん…。」

桜が目を覚ました。

「おーい、やっと起きたか…。」

「あれ?…あー!今日って林間学校じゃん!?」

「だからほら、お前の分の弁当。
さっさとつめちゃえよ…。」

「お弁当…」

「あ、えっと、迷惑…だったか?」

「作ってもらったの久しぶり…ありがとう冬夜」

「ほらっさっさと朝ごはん食えよ。」

「はーい!」

「いってきまーす!」

えーっと、あらかじめ林間学校周辺の病院は
調べといたし、保険証もなくさないように
財布の中にいれたし、荷物も全部いれたし…
準備完了!

「いってきまーす」

林間学校楽しみだ!楽しみすぎる!

俺がこんなに林間学校が嬉しいのにも
理由がある。

小さい頃から社会科見学も、修学旅行も
行けなかったからだ。

親にも反対されていたし、
俺自身が、学校の周りの人達に迷惑を
かけたくなかったからだ。

でも、今は自分に自信が持てた。

ただの邪魔なやつじゃなくちゃんと友達がいて、俺を空気じゃなくて、1人の人間としてちゃんと接してくれているから。
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