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第二部 帰郷
20話 ボーヴォワール領について
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「殿下、没収となる領地とはブランヴィルのみですか。ボーヴォワールも含まれますか」
私が一番気にかかっていた没収となる領地の範囲について説明を求めた。ボーヴォワールは養父に盗られて、ブランヴィル領になっているから。
「当初はブランヴィルのみとしていた。だがボーヴォワール当主であるクリストフ卿から返上の申し出があった」
「お兄様! すでに殿下にお伝えしてらしたのですか」
隣に座るクリストフお兄様に顔を向けた。
今日、申し上げるのだと思っていたので、お兄様が事前に知らせていたとは考えが及んでいなかった。
「少しでも早い方がいいだろうと思ってね。わたしは何の功績も残せておりません。領地をいただける理由がございません」
前半は私に向けて、後半は殿下に向けてお兄様が言う。
お兄様のまっすぐな視線を受けた殿下が、
「文官としての登用も可能だが」
と提案する。
「それでも領地持ちはないかと」
首を縦に振らない。お兄様、意外に頑固なのね。
「返上しか考えていないわけだね」
「それに関して、異議を申し上げます」
このままでは、お兄様一家の離散を回避できなくなってしまう。もちろん領地がなくなったからといって、一家離散が確実になっているわけではない。セラフィーナお姉様のご実家が、お兄様も一緒に受け入れてくださる可能性もある。
だけれど、ボーヴォワールが王の預かりとなれば、誰か知らない貴族の手に渡る可能性がある。領民のことを考えると、良識あるクリストフお兄様が変わらず治めてくださるのが、私としても安心できる。
「クリストフお兄様は今回の事件ではまったく関りがございません。連帯責任と言っても、領地没収までは罰が重すぎると思うのです」
私の考えを殿下に訴えた。
ところが、
「シェリーヌ、わたしにも責任を取らせてほしいんだ。でないと気が休まらない。世間的な罰ではなく、わたし自身が感じている責任への罰だととらえてほしいんだ」
お兄様の人の良さが顔を出す。
それならば、と別の方向で説得を試みた。
「ボーヴォワールは元々独立した土地です。ブランヴィルが没収されたからといって、ボーヴォワールまでが没収されるのは道理がおかしいと思うのです」
「ではブランヴィルから独立したあとで、わたしが返上をすれば道理の問題は片がつくだろう」
お兄様は、ああ言えばこう言うで、まったく聞く耳を持ってくれない。
「道理においてはそうですけれど……殿下、私はクリストフお兄様の情状酌量を求めます」
私がお兄様を説得するのは難しいと思い、殿下にすがることにした。
「余はボーヴォワールの返上は必要ないと思っていた。だが領主が治める気がないというのだから、与えておくのもおかしな話だろう」
殿下もそっち側?! なおも言いつのろうとしたところ、
「そこでだ、ボーヴォワールを元の所有者に返還するというのは、どうだろうか」
殿下から新たな案が出てきた。
「可能であれば、そうしていただこうと思っておりました」
二人の視線が私に向く。
え? 元の所有者って?
「私ですか? 私は養父から土地代を支払っていただきました。権利は消失しているものと認識しております」
きょとんとして、素直に思っていることを告げると、
「二人とも欲がなさすぎる」
殿下が笑ってから続けた。
「まずブランヴィルからボーヴォワールを元の独立した領地とし、クリストフ卿の領地とする。その後クリストフ卿は元の領主ボーヴォワール家に返還する。これでクリストフ卿は納得できるのか」
「はい。それでお願いいたします」
殿下に協力してもらってお兄様を説得してもらうつもりだったのに、殿下はお兄様と結託してしまった。
「お待ちください。私は承知しておりません」
このままではお兄様の意見のみが通ってしまう。慌てて断わる。
「シェリーヌ嬢、戻ってきた領地をどう使おうと、そなたの自由だ。アノルド国から引き揚げて来て商売をしてもよいし、アノルド国にいながら代理の者に領地経営を任せてもよい」
「戻ってくれば、私には貴族としての責任が伴います。私は貴族に戻るつもりはございません」
「余としては、優秀そうなそなたに戻ってきてほしいのだがな」
「買い被りです。私に貴族は務まりません。女が後を継いでよろしいのですか? 夫はこちらでは平民ですよ」
「他の貴族らの反感を買うであろうな。しかし男子しか継げぬというのは、余はおかしいと思っている。ゆくゆくは変えていきたいと思っている」
「長年続いてきた制度や貴族の意識を変えるのは時間がかかりますよ。殿下、はっきりと申し上げます。私は貴族の生活をしたくないのです。アノルドに店があり、生活があります。私はルクディア国民ではなく、アノルド国民です」
二人に考え直してもらおうと、あれこれと言葉を尽くす。
私は必死なのに、アドリック殿下は余裕のある笑みを浮かべている。
「シェリーヌよ。そなたの考えはよくわかった。冷静になれ。余はアノルド国にいながら代理の者に領地経営を任せてもよい、とも言ったぞ」
落ち着いた声でゆっくりと諭すように言われた。
殿下が何を言おうとしているのか意図をくみ取り、はっと気がついた。
冷静さを欠いていたのを反省し、こほんと咳払いをする。
「そうでした。それでは、ボーヴォワールの土地は唯一の後継ぎである私に返還していただきます。けれど、私はアノルド国を離れる気はありませんので、代理としてクリストフお兄様にお任せします」
「しかし、シェリーヌ! それでは――」
今度はお兄様が慌てる番だった。
私はお兄様の言葉を遮る。
「領主からの命令です。クリストフお兄様に代理をしていただきます。ただし、私が領主ですから、お兄様には給金をお支払いいたします。それと、私とアランに何かあった場合、リュカが後を継ぎます。その際、未成年であれば後見人となっていただき、成人後であれば、リュカのやり方に従っていただきたい。というのはいかがでしょうか」
わざと強めに申し上げた。
「シェリーヌ……」
「お願いです、お兄様。セラフィーナお姉様とマーティナ様を悲しませる選択をなさらないでください」
譲歩してほしい。そんな思いを込めて、情に訴えてみた。
お兄様は小さなため息をついた。息とともに、張っていた力みも抜けたように見えた。
「そんな甘い処罰で良いのだろうか」
「甘くはございませんよ」
これから訪れるであろう未来を予想し、お兄様に伝えた。
「妹であり、女性である人間の下で働いていただくのです。他貴族から後ろ指を差されるやもしれません。けれど、何があっても耐えていただきます。よほどの事情がある場合は相談に応じますが、できる限り終身雇用契約でお願いいたします」
ご自分を責めているお兄様の心を少しでも軽くして差し上げようと思ったけれど、結局は助けたいという思いが勝った。
お兄様の目に、じんわりと涙が浮かぶ。
「クリストフ卿よ。その条件で応じないか」
殿下の優しい言い方が、背中を押した。
クリストフお兄様は肩を震わせながら、「承知いたしました」と頷いてくれた。
次回⇒21話 これからのこと
私が一番気にかかっていた没収となる領地の範囲について説明を求めた。ボーヴォワールは養父に盗られて、ブランヴィル領になっているから。
「当初はブランヴィルのみとしていた。だがボーヴォワール当主であるクリストフ卿から返上の申し出があった」
「お兄様! すでに殿下にお伝えしてらしたのですか」
隣に座るクリストフお兄様に顔を向けた。
今日、申し上げるのだと思っていたので、お兄様が事前に知らせていたとは考えが及んでいなかった。
「少しでも早い方がいいだろうと思ってね。わたしは何の功績も残せておりません。領地をいただける理由がございません」
前半は私に向けて、後半は殿下に向けてお兄様が言う。
お兄様のまっすぐな視線を受けた殿下が、
「文官としての登用も可能だが」
と提案する。
「それでも領地持ちはないかと」
首を縦に振らない。お兄様、意外に頑固なのね。
「返上しか考えていないわけだね」
「それに関して、異議を申し上げます」
このままでは、お兄様一家の離散を回避できなくなってしまう。もちろん領地がなくなったからといって、一家離散が確実になっているわけではない。セラフィーナお姉様のご実家が、お兄様も一緒に受け入れてくださる可能性もある。
だけれど、ボーヴォワールが王の預かりとなれば、誰か知らない貴族の手に渡る可能性がある。領民のことを考えると、良識あるクリストフお兄様が変わらず治めてくださるのが、私としても安心できる。
「クリストフお兄様は今回の事件ではまったく関りがございません。連帯責任と言っても、領地没収までは罰が重すぎると思うのです」
私の考えを殿下に訴えた。
ところが、
「シェリーヌ、わたしにも責任を取らせてほしいんだ。でないと気が休まらない。世間的な罰ではなく、わたし自身が感じている責任への罰だととらえてほしいんだ」
お兄様の人の良さが顔を出す。
それならば、と別の方向で説得を試みた。
「ボーヴォワールは元々独立した土地です。ブランヴィルが没収されたからといって、ボーヴォワールまでが没収されるのは道理がおかしいと思うのです」
「ではブランヴィルから独立したあとで、わたしが返上をすれば道理の問題は片がつくだろう」
お兄様は、ああ言えばこう言うで、まったく聞く耳を持ってくれない。
「道理においてはそうですけれど……殿下、私はクリストフお兄様の情状酌量を求めます」
私がお兄様を説得するのは難しいと思い、殿下にすがることにした。
「余はボーヴォワールの返上は必要ないと思っていた。だが領主が治める気がないというのだから、与えておくのもおかしな話だろう」
殿下もそっち側?! なおも言いつのろうとしたところ、
「そこでだ、ボーヴォワールを元の所有者に返還するというのは、どうだろうか」
殿下から新たな案が出てきた。
「可能であれば、そうしていただこうと思っておりました」
二人の視線が私に向く。
え? 元の所有者って?
「私ですか? 私は養父から土地代を支払っていただきました。権利は消失しているものと認識しております」
きょとんとして、素直に思っていることを告げると、
「二人とも欲がなさすぎる」
殿下が笑ってから続けた。
「まずブランヴィルからボーヴォワールを元の独立した領地とし、クリストフ卿の領地とする。その後クリストフ卿は元の領主ボーヴォワール家に返還する。これでクリストフ卿は納得できるのか」
「はい。それでお願いいたします」
殿下に協力してもらってお兄様を説得してもらうつもりだったのに、殿下はお兄様と結託してしまった。
「お待ちください。私は承知しておりません」
このままではお兄様の意見のみが通ってしまう。慌てて断わる。
「シェリーヌ嬢、戻ってきた領地をどう使おうと、そなたの自由だ。アノルド国から引き揚げて来て商売をしてもよいし、アノルド国にいながら代理の者に領地経営を任せてもよい」
「戻ってくれば、私には貴族としての責任が伴います。私は貴族に戻るつもりはございません」
「余としては、優秀そうなそなたに戻ってきてほしいのだがな」
「買い被りです。私に貴族は務まりません。女が後を継いでよろしいのですか? 夫はこちらでは平民ですよ」
「他の貴族らの反感を買うであろうな。しかし男子しか継げぬというのは、余はおかしいと思っている。ゆくゆくは変えていきたいと思っている」
「長年続いてきた制度や貴族の意識を変えるのは時間がかかりますよ。殿下、はっきりと申し上げます。私は貴族の生活をしたくないのです。アノルドに店があり、生活があります。私はルクディア国民ではなく、アノルド国民です」
二人に考え直してもらおうと、あれこれと言葉を尽くす。
私は必死なのに、アドリック殿下は余裕のある笑みを浮かべている。
「シェリーヌよ。そなたの考えはよくわかった。冷静になれ。余はアノルド国にいながら代理の者に領地経営を任せてもよい、とも言ったぞ」
落ち着いた声でゆっくりと諭すように言われた。
殿下が何を言おうとしているのか意図をくみ取り、はっと気がついた。
冷静さを欠いていたのを反省し、こほんと咳払いをする。
「そうでした。それでは、ボーヴォワールの土地は唯一の後継ぎである私に返還していただきます。けれど、私はアノルド国を離れる気はありませんので、代理としてクリストフお兄様にお任せします」
「しかし、シェリーヌ! それでは――」
今度はお兄様が慌てる番だった。
私はお兄様の言葉を遮る。
「領主からの命令です。クリストフお兄様に代理をしていただきます。ただし、私が領主ですから、お兄様には給金をお支払いいたします。それと、私とアランに何かあった場合、リュカが後を継ぎます。その際、未成年であれば後見人となっていただき、成人後であれば、リュカのやり方に従っていただきたい。というのはいかがでしょうか」
わざと強めに申し上げた。
「シェリーヌ……」
「お願いです、お兄様。セラフィーナお姉様とマーティナ様を悲しませる選択をなさらないでください」
譲歩してほしい。そんな思いを込めて、情に訴えてみた。
お兄様は小さなため息をついた。息とともに、張っていた力みも抜けたように見えた。
「そんな甘い処罰で良いのだろうか」
「甘くはございませんよ」
これから訪れるであろう未来を予想し、お兄様に伝えた。
「妹であり、女性である人間の下で働いていただくのです。他貴族から後ろ指を差されるやもしれません。けれど、何があっても耐えていただきます。よほどの事情がある場合は相談に応じますが、できる限り終身雇用契約でお願いいたします」
ご自分を責めているお兄様の心を少しでも軽くして差し上げようと思ったけれど、結局は助けたいという思いが勝った。
お兄様の目に、じんわりと涙が浮かぶ。
「クリストフ卿よ。その条件で応じないか」
殿下の優しい言い方が、背中を押した。
クリストフお兄様は肩を震わせながら、「承知いたしました」と頷いてくれた。
次回⇒21話 これからのこと
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