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番外編 乙女ゲームの世界なのでクリスマスもあるんです
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今日はクリスマスだ。
私は昨日準備したプレゼントをバスケットに入れ、プレゼントを渡す相手を探しに来た。
まず真っ先に会ったのは――メイドとして当然なのだが――姫様だった。姫様にイヤリングを渡すと、「ありがとう」と笑い、今日はこれを付けてくれると言うのだ。これから気合を入れたい時はこれを使うとまで言ってくださった。
私は姫様から、金のピンを貰った。前髪がそろそろ邪魔になってきたんじゃない?と、先に猫がついているピンをくれた。私がそれをつけると、「やっぱり似合うわね」と笑った。その笑顔も最高のクリスマスプレゼントです。
次にあったのは――これもまぁ当然といえば当然なのだが――ディラスだった。
出会い頭に「はい」と差し出したら、ディラスは目を丸くし「あ、ありがとう。まさか貰えるとは思ってなかった」と。
そんな彼は、私にオシャレなペンをくれた。ちょうどインクが切れかけていたので普通にありがたかった。
次は廊下でクロー厶に。なんでも、これから温室に向かう予定だったのだとか。タイミングが合ってよかった。
私は彼に白の髪紐を差し出した。すると「……ありがとう」と、少しだけ顔を赤らめながら微笑んだ。あざと可愛い!ギルティ!
すると彼は「ここでちょっと、待ってて」と残し、温室とは逆方向に小走りで駆けていった。
しばらくすると、少し息を切らしながら帰ってきて「これ、アイリスに、あげようと、思って」と花を差し出した。
青薔薇だ。
「アイリスっぽいって、思ったから、開発した」
「か、開発!?」
「うん。普通では、咲いてないから。一応、枯れないように、プリザーブドフラワーにした」
青薔薇のプリザーブドフラワー。……日本にもなかったよこんな貴重な花!本当に貰っていいの!?
「アイリスのために、作った。から、遠慮せず、もらって欲しい」
私の心の中を見透かしたように言うクロー厶。
「……はい。では遠慮なく貰っちゃいますね。ありがとうございます」
青薔薇……すごく綺麗。
そういえば青薔薇って『ドキ夢』で好感度が高い攻略対象から貰えるものだったような気が……まぁいいか。
私は次の目的地へ向かう――調理場だ。
「クリぼっちの憐れなみっなさーん!私が来たからにはもう安心!みんなのアイリスちゃんが来たよ!」
――もちろん無表情で言い切った。
「おー、アイリスちゃん。久しぶりじゃん」
真っ先に声をかけてきたのはカルラだった。
「そうだな、確かに久しぶりだ。元気にしてたか?」
眩しい笑顔を向けてきたのはドドリー。えぇ元気でした、と返すと「それは良かった」と笑った。……もうあのこと怒ってないのかな?
他の料理人たちも「やっほー」と軽く挨拶をしてくれた。ここだけだ、唯一私が軽くウェイウェイしに来れるのは。……当たり前か、ここは王宮なんだから。
何はともあれ、私は彼らにクリスマスプレゼントを渡した。ドドリーにはハーブの種を、カルラには計量器を、他の料理人たちにはお菓子の材料を。
「おぉ、これはアイリスがむしり取ったハーブの種じゃないか!アイリスがむしり取ったハーブの!ありがとな!」
やっぱりコイツ、私への恨み忘れてなかった。怖。
とか言いつつ彼は私にクッキーをくれた。クリスマス用にたくさん作りすぎたからお裾分けだそうだ。チョコっぽいのとプレーンっぽいの。美味しそう。
「おっ、計量器じゃん。壊れかけてたって言ったの覚えててくれたんだな。ありがとさん」
ドドリーに比べてカルラの笑顔の眩しさよ……キラキラエフェクトが見える。
そんな彼は私に、マカロン様をくれた。「新味、抹茶と桃とチョコレート!」と、ニカッとしながらくれた。めちゃくちゃ嬉しい。
「あ、これって遠回しにお菓子作れって言われてます?」
「遠回しもなにも、直接言ってるじゃないっスか」
「だよなぁ。さすが美食魔女だな」
「ちょっと!今美食魔女って言ったわよね!?失礼極まりないわよ!」
……美食魔女か。不覚にもカッコイイかも、なんて思っちゃったりして。
彼らは私に、お菓子の詰め合わせをくれた。試作品ばっかりだから感想聞かせて欲しいと。喜んで!
さてさて、お次は教会のルーナとヴェロールに……と思って教会に向かっていると、ふたり一緒に向こう側から歩いてくるのが見えた。
ルーナが私を見るなり辺りをキョロキョロし出した。そして「わ、わたしはここらで退散しますね!」と余計な気を働かせてくれた。余計なお世話じゃい!
私はルーナを引き止めると、シュシュふたつを差し出した。
「あっ、めちゃくちゃ可愛い。ありがとうございます。でもすみません、あたし何も用意してなくて……」
「あ、お返しなんていいですよ。その代わり、来年はプレゼント交換しませんか?」
「はい、ありがとうございます」
そう言うなり彼女はシュシュをツインテールに付けた。……うん、予想はしていたがクソ可愛い。
「じ、じゃああたし用事思い出しちゃったんで」
と一目散に走り去ったルーナ。だから余計なお世話だって!……うん、私も便乗しようかな。隣にいるヤツがちょっと怖い。笑ってるのに笑ってない。
「じゃ、わたくしもこれで……」
「アイリスさん」
……キンッキンに冷えた声。なんで怒ってるんだ?なんて考える暇もなく、ただただ恐怖を感じる。
「皆にはプレゼントを渡したと聞きました。私めにはないのですか?」
……なぁんだ、そんなことか!
仲間はずれにされて寂しかったって、そういうことならそうと言ってくれればいいのに!
「準備はしてありましたよ。はい」
そう言って私がネックレスを差し出すと、今までの冷えた空気は霧散し、一気に春の陽気がやってきた。彼は「ありがとうございます」と本物の笑顔を見せた。
「良ければこれ、付けてくれませんか?ひとりではなかなか付けにくくて」
何、私にネックレスを付けろと。
「……いいですよ」
私はネックレスを受け取り、彼の背後に回ってネックレスを首にかけた。すると当然彼との距離が近くなるわけで……あ、いい匂いする。
ネックレスがつけ終わったので「できましたよ」と言って彼の正面に回る。
「……あぁ、いいですね、これ」
彼はネックレスを手に取りながら呟いた。
「いいでしょう、神官長のヴェロールらしくて」
「いえ、それもそうなのですが……」
ん?それ以外に何があるのだろう。
「こう……ネックレスをつける時にかかる息とか、少し震えながらつけているのとかを近くで感じられていいな、と」
「…………っ、」
恥じらいもなく何を言ってるんだ!?……あぁいや、赤面しているから少しくらいは恥じらいを持っているのか。
「これをつける時はアイリスさんが近くにいる時だけにしますよ」
「…………いや、普通につけてください」
ふふっと上品な笑みを浮かべながら彼は愛おしげにネックレスを撫でた。
「……あぁ、私めもあなたにプレゼントを用意したんですよ」
「え、そうなんですか。ありがとうございます」
彼が胸ポケットから取り出したのは――小さな箱。
まさかクリスマスに出すこの箱って……いやいや待て待て、そんなはずはない。
「指輪です」
ビンゴーーーーー!クリスマスと小さな箱、イコールで結ばれたのは指輪だって知ってました!
「左手を貸してください」
左手!やっぱりそういうことなのか!?
と心の中で大騒ぎしていると、彼が指輪を付けたのは人差し指だった。
「あなたをいつでも見つけられるように、この指輪に魔力を込めておきました」
「そ、そうなんですね。ありがとうございます」
それにしてもこの指輪、すごく綺麗。リングは銀色、アメジストみたいに深い紫色の石が嵌っていて――まるで彼の容姿みたいだ。
と。
「この指は私めが予約しておきます。絶対に誰にも譲らないでくださいね?」
それはそれは素晴らしい笑みを浮かべ、彼は私の――左手の薬指に口付けた。
「んな……っ!」
左手の薬指を予約って!まるで、まるで……
「今はまだその時ではありません。ですから、もう少し待っていてください。全てが終わって、その時に」
……プロポーズの約束みたいではないか。
◆◆◆
てんやわんやあったクリスマス。笑いあり涙あり、時々胸きゅんあり。
来年のクリスマスも楽しみだな……なんてね。
私は昨日準備したプレゼントをバスケットに入れ、プレゼントを渡す相手を探しに来た。
まず真っ先に会ったのは――メイドとして当然なのだが――姫様だった。姫様にイヤリングを渡すと、「ありがとう」と笑い、今日はこれを付けてくれると言うのだ。これから気合を入れたい時はこれを使うとまで言ってくださった。
私は姫様から、金のピンを貰った。前髪がそろそろ邪魔になってきたんじゃない?と、先に猫がついているピンをくれた。私がそれをつけると、「やっぱり似合うわね」と笑った。その笑顔も最高のクリスマスプレゼントです。
次にあったのは――これもまぁ当然といえば当然なのだが――ディラスだった。
出会い頭に「はい」と差し出したら、ディラスは目を丸くし「あ、ありがとう。まさか貰えるとは思ってなかった」と。
そんな彼は、私にオシャレなペンをくれた。ちょうどインクが切れかけていたので普通にありがたかった。
次は廊下でクロー厶に。なんでも、これから温室に向かう予定だったのだとか。タイミングが合ってよかった。
私は彼に白の髪紐を差し出した。すると「……ありがとう」と、少しだけ顔を赤らめながら微笑んだ。あざと可愛い!ギルティ!
すると彼は「ここでちょっと、待ってて」と残し、温室とは逆方向に小走りで駆けていった。
しばらくすると、少し息を切らしながら帰ってきて「これ、アイリスに、あげようと、思って」と花を差し出した。
青薔薇だ。
「アイリスっぽいって、思ったから、開発した」
「か、開発!?」
「うん。普通では、咲いてないから。一応、枯れないように、プリザーブドフラワーにした」
青薔薇のプリザーブドフラワー。……日本にもなかったよこんな貴重な花!本当に貰っていいの!?
「アイリスのために、作った。から、遠慮せず、もらって欲しい」
私の心の中を見透かしたように言うクロー厶。
「……はい。では遠慮なく貰っちゃいますね。ありがとうございます」
青薔薇……すごく綺麗。
そういえば青薔薇って『ドキ夢』で好感度が高い攻略対象から貰えるものだったような気が……まぁいいか。
私は次の目的地へ向かう――調理場だ。
「クリぼっちの憐れなみっなさーん!私が来たからにはもう安心!みんなのアイリスちゃんが来たよ!」
――もちろん無表情で言い切った。
「おー、アイリスちゃん。久しぶりじゃん」
真っ先に声をかけてきたのはカルラだった。
「そうだな、確かに久しぶりだ。元気にしてたか?」
眩しい笑顔を向けてきたのはドドリー。えぇ元気でした、と返すと「それは良かった」と笑った。……もうあのこと怒ってないのかな?
他の料理人たちも「やっほー」と軽く挨拶をしてくれた。ここだけだ、唯一私が軽くウェイウェイしに来れるのは。……当たり前か、ここは王宮なんだから。
何はともあれ、私は彼らにクリスマスプレゼントを渡した。ドドリーにはハーブの種を、カルラには計量器を、他の料理人たちにはお菓子の材料を。
「おぉ、これはアイリスがむしり取ったハーブの種じゃないか!アイリスがむしり取ったハーブの!ありがとな!」
やっぱりコイツ、私への恨み忘れてなかった。怖。
とか言いつつ彼は私にクッキーをくれた。クリスマス用にたくさん作りすぎたからお裾分けだそうだ。チョコっぽいのとプレーンっぽいの。美味しそう。
「おっ、計量器じゃん。壊れかけてたって言ったの覚えててくれたんだな。ありがとさん」
ドドリーに比べてカルラの笑顔の眩しさよ……キラキラエフェクトが見える。
そんな彼は私に、マカロン様をくれた。「新味、抹茶と桃とチョコレート!」と、ニカッとしながらくれた。めちゃくちゃ嬉しい。
「あ、これって遠回しにお菓子作れって言われてます?」
「遠回しもなにも、直接言ってるじゃないっスか」
「だよなぁ。さすが美食魔女だな」
「ちょっと!今美食魔女って言ったわよね!?失礼極まりないわよ!」
……美食魔女か。不覚にもカッコイイかも、なんて思っちゃったりして。
彼らは私に、お菓子の詰め合わせをくれた。試作品ばっかりだから感想聞かせて欲しいと。喜んで!
さてさて、お次は教会のルーナとヴェロールに……と思って教会に向かっていると、ふたり一緒に向こう側から歩いてくるのが見えた。
ルーナが私を見るなり辺りをキョロキョロし出した。そして「わ、わたしはここらで退散しますね!」と余計な気を働かせてくれた。余計なお世話じゃい!
私はルーナを引き止めると、シュシュふたつを差し出した。
「あっ、めちゃくちゃ可愛い。ありがとうございます。でもすみません、あたし何も用意してなくて……」
「あ、お返しなんていいですよ。その代わり、来年はプレゼント交換しませんか?」
「はい、ありがとうございます」
そう言うなり彼女はシュシュをツインテールに付けた。……うん、予想はしていたがクソ可愛い。
「じ、じゃああたし用事思い出しちゃったんで」
と一目散に走り去ったルーナ。だから余計なお世話だって!……うん、私も便乗しようかな。隣にいるヤツがちょっと怖い。笑ってるのに笑ってない。
「じゃ、わたくしもこれで……」
「アイリスさん」
……キンッキンに冷えた声。なんで怒ってるんだ?なんて考える暇もなく、ただただ恐怖を感じる。
「皆にはプレゼントを渡したと聞きました。私めにはないのですか?」
……なぁんだ、そんなことか!
仲間はずれにされて寂しかったって、そういうことならそうと言ってくれればいいのに!
「準備はしてありましたよ。はい」
そう言って私がネックレスを差し出すと、今までの冷えた空気は霧散し、一気に春の陽気がやってきた。彼は「ありがとうございます」と本物の笑顔を見せた。
「良ければこれ、付けてくれませんか?ひとりではなかなか付けにくくて」
何、私にネックレスを付けろと。
「……いいですよ」
私はネックレスを受け取り、彼の背後に回ってネックレスを首にかけた。すると当然彼との距離が近くなるわけで……あ、いい匂いする。
ネックレスがつけ終わったので「できましたよ」と言って彼の正面に回る。
「……あぁ、いいですね、これ」
彼はネックレスを手に取りながら呟いた。
「いいでしょう、神官長のヴェロールらしくて」
「いえ、それもそうなのですが……」
ん?それ以外に何があるのだろう。
「こう……ネックレスをつける時にかかる息とか、少し震えながらつけているのとかを近くで感じられていいな、と」
「…………っ、」
恥じらいもなく何を言ってるんだ!?……あぁいや、赤面しているから少しくらいは恥じらいを持っているのか。
「これをつける時はアイリスさんが近くにいる時だけにしますよ」
「…………いや、普通につけてください」
ふふっと上品な笑みを浮かべながら彼は愛おしげにネックレスを撫でた。
「……あぁ、私めもあなたにプレゼントを用意したんですよ」
「え、そうなんですか。ありがとうございます」
彼が胸ポケットから取り出したのは――小さな箱。
まさかクリスマスに出すこの箱って……いやいや待て待て、そんなはずはない。
「指輪です」
ビンゴーーーーー!クリスマスと小さな箱、イコールで結ばれたのは指輪だって知ってました!
「左手を貸してください」
左手!やっぱりそういうことなのか!?
と心の中で大騒ぎしていると、彼が指輪を付けたのは人差し指だった。
「あなたをいつでも見つけられるように、この指輪に魔力を込めておきました」
「そ、そうなんですね。ありがとうございます」
それにしてもこの指輪、すごく綺麗。リングは銀色、アメジストみたいに深い紫色の石が嵌っていて――まるで彼の容姿みたいだ。
と。
「この指は私めが予約しておきます。絶対に誰にも譲らないでくださいね?」
それはそれは素晴らしい笑みを浮かべ、彼は私の――左手の薬指に口付けた。
「んな……っ!」
左手の薬指を予約って!まるで、まるで……
「今はまだその時ではありません。ですから、もう少し待っていてください。全てが終わって、その時に」
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