姫様を幸せにするために恋愛フラグを回避しまくります!

夕闇蒼馬

文字の大きさ
40 / 55

番外編 とある昼下がりのお茶会

しおりを挟む
 とある昼下がり、私は姫様とふたりっきりのお茶会をしていた。男子禁制の、いわば女子会がしたいと姫様に申し出されたので、ついてこようとしていたディラスを腹パンし、「男子禁制です!」と言い張ってからお茶会開催に至った。――風の噂だが、ディラスは私に腹パンされてしばらくは起き上がれなかったために倒れていて、それを見かけた王立騎士団の団員が「姫様の護衛騎士が倒れている……!姫様が何者かに攫われたのか!」と、一時王宮を騒がせたらしい。もちろん、その場にいたディラスがそのことを否定し、姫様はメイドと男子禁制の茶会をしていると説明したおかげで、騒ぎは収まったのだとか。

「ねぇ、アイリス」
「なんでしょう、姫様」
「恋って何かしら」
「恋、ですか……」

 前世から『恋とは何か』という問いかけは絶えなかった。それに対する模範的な答えといえば。

「気付けば相手のことを目で追っているだとか、面と向かって話すとドキドキする、暇な時は相手の顔を思い浮かべてしまう、相手と会えることが、一緒にいられることが嬉しい、などでしょうか」

 恋とは何か、と問われた人は大体このようなことを言う。そして。

「…………へ、へぇ、そう。なるほど、それが相手に恋したという証拠なのね」

 図星である人ほど、その答えを聞いている間に、だんだんと顔を赤く染めるのだ。今の姫様のように。

「参考になりましたか?」
「えぇ、まぁそうね、参考になったわね。ありがとう」

 ただでさえ眩しい姫様のご尊顔が、笑顔との相乗効果により、この世のものとは思えないほどの神々しさを放っていた。
 だが、その顔は赤い。――そんな姫様を見て、私は悪戯心が湧いてしまった。

 そろそろお開きにしようかと、私が片付けをしている間に、姫様に話しかける。

「姫様はこの国になくてはならない存在です。王族の血を引いた、唯一の方なのですから。……そんな姫様が、護衛とはいえ、一介の騎士と結ばれるのは難しいかもしれません。しかし、わたくしは全力で応援致します。他の誰が反対しようとも、わたくしは応援し続けます、そして姫様を幸せにしてみせます――そのために、ここまで来たのですから」
「んな……っ」
「相手が相手ですから、苦労は絶えないと思います。ですが、諦めずに頑張ればきっと……いえ、必ず姫様は幸せを掴み取ることができます。だから安心して、姫様はアイツと仲を深めてください。……わたくしとしては認めたくない相手なのですけれどね」

 そう言って笑えば、姫様は顔を真っ赤にして「き、気づいていたのね……!」と私を睨みつけてきた。でもそんな可愛らしい顔だから迫力も恐ろしさもない。ただただ、可愛さが爆発しているだけだ。

「わたくし、必ず姫様を幸せにします」

 私はそう強く言い切った。
 前世から今世に至るまで、片時も忘れなかった――忘れることができなかった、姫様の幸せ。
 姫様がハッピーエンドを迎えるために、私もできることから頑張っていこうと思った今回のお茶会であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

処理中です...