18 / 22
フラグ回収?
しおりを挟む転生してから、五年目が過ぎました。
兄様と姉様が学園に入って一年半が過ぎ、ダニエルやアチェロさん、父様や母様達のお陰で寂しさにも大分慣れてきた。
兄様が週に二回は手紙を送って来てくれるからとは言わない。決して言わない。
「セーラ嬢~。まだ着かないのかい?」
「楓先生、頑張って!多分この辺り…。」
私とアチェロさんは今日二人で町へ出て来ていた。
先を歩く私に、疲れた様子のアチェロさん。
私は二人の時アチェロさんを『楓先生。』と呼ぶ。
父様や母様、セバスチャンは知っているけど、ダニエルは知らないから二人の時にしている。
私達が町に出て来たのは確認したい事があったからだった。
数日前ー。
「じゃあセーラ嬢が言うゲームのシナリオとやらにはまず、ダニエルが出て来るんだな?」
「うん。でもね、登場する一年も前に家に来たのよ。」
お茶を飲みながら、不思議よね?と首を傾げる私に眉を寄せるアチェロさんは今、私の部屋で寛いでいる。
防音の魔法を施された私の部屋には、アチェロさんと私の二人だ。
向こうの世界の話をする時は、やっぱり慎重になる。対象のダニエルに聞かれてしまうのを避ける為だった。
ちなみにアチェロさんはゲームをした事がなかったらしい。
「シナリオ自体が変わり始めたのかねぇ?オイラもゲームにはいなかったんだろ?」
「うん。それに兄様も姉様もそこまでシスコンじゃなかったはず。…父様も母様も。」
「ははっ!ルークス達がシスコンとは思うのかい?君も大概だとは思うけどねぇ?」
「私は違います!二人が大好きなだけ!」
目を細めながら茶化すような口調に、私はムッとした顔を隠さない。
一緒だよ~と笑うアチェロさん。
「なあ…オイラ思うんだけど、例えばこの世界を作った神がいたとしよう。」
「神様?」
「ああ。それで、だ。エンディング以外の結末を望んでいるって可能性は考えられないかい?」
アチェロさんは真面目に切り出すと、考えても見なかった事を言い出した。
アチェロさんの考えはこうだ。
まず、アチェロさんがいきなりこの世界に転移して来た事。
そして父様と母様に出会い、共に旅をして仲良くなった。
次に、私に記憶があるまま生まれて来た事。
記憶があるなら、自分で考えて回避策も取れるだろう?とアチェロさんは言う。
そして、私とアチェロさんが会うべくして出会った事。
魔力の高い私は必然的に誰かから学ばなければならない。
父様達と先に出会わなければ、私と出会う事はなかったはずだと。
「何かの思い通りに動かされてる気がするのはいい気分じゃない…けど、この世界でセーラ嬢の助けになるのは悪くないね。」
「楓先生…。ありがとう。」
私が素直にお礼を告げると、照れ臭そうに頬をかいた。
「それで本題はここからだ。」
「うん。」
「まずはダニエルがシナリオ通り、この家の養子に来た。しかも一年も早く。」
「うん。間違いない。私が4歳になってから出会う筈だった。」
「他に変わった事はないのかい?」
アチェロさんに言われて、首を捻りながら考えても思い当たる事はない。
「…変わってるかは判らないけど、ゲームの世界のダニエルは笑わない子だったかな?」
「セーラ嬢~、それ!十分変わった事だよ~!!」
私が考えて話した事に、アチェロさんはテーブルに伏っしながら呆れた声を出した。
「笑わない子が笑う様になるなんて、何処かでシナリオが変わったって事なんじゃないかい?」
アチェロさんにそう言われて、私は驚きを隠せなかった。
ダニエルは確かにゲームの中と同じ様に親戚や知り合いの家を転々としていた。
来た日に見たダニエルは、ゲーム通り笑わない子だった…。影を背負った様に見えた。あんなに小さいのに。
じゃあ、いつから?
ダニエルはいつからよく笑う子になったんだろう…。
いつの間にかヤンデレ要素も消えているし…。
「家族の愛にヤンデレ要素が消えた…とか?」
「…まあ、それもあるんだろうけどねぇ?でもじゃあ、その輪の中に連れて行くのは誰だい?」
アチェロさんは何か思い当たる事があるのか、思わせ振りな言い方だ。
連れて行くのは?
「!!」
呆れながら私を見るアチェロさんに、私は驚きを隠せなかった。
だって、それはーー。
「私…だ…。」
「御名答~!やっと気づいたかい?」
呆れた顔をしながら見るアチェロさんは、驚いて目を大きくした私の頭をよく出来ましたと言う様にひと撫でした。
0
あなたにおすすめの小説
転生者と忘れられた約束
悠十
恋愛
シュゼットは前世の記憶を持って生まれた転生者である。
シュゼットは前世の最後の瞬間に、幼馴染の少年と約束した。
「もし来世があるのなら、お嫁さんにしてね……」
そして、その記憶を持ってシュゼットは転生した。
しかし、約束した筈の少年には、既に恋人が居て……。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました
ララ
恋愛
3話完結です。
大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。
それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。
そこで見たのはまさにゲームの世界。
主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。
そしてゲームは終盤へ。
最後のイベントといえば断罪。
悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。
でもおかしいじゃない?
このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。
ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。
納得いかない。
それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる