私がヒロイン!?〜いえ、丁重にお断りします!

SORA

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フラグ回収?

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転生してから、五年目が過ぎました。


兄様と姉様が学園に入って一年半が過ぎ、ダニエルやアチェロさん、父様や母様達のお陰で寂しさにも大分慣れてきた。

兄様が週に二回は手紙を送って来てくれるからとは言わない。決して言わない。


「セーラ嬢~。まだ着かないのかい?」

「楓先生、頑張って!多分この辺り…。」

私とアチェロさんは今日二人で町へ出て来ていた。
先を歩く私に、疲れた様子のアチェロさん。
私は二人の時アチェロさんを『楓先生。』と呼ぶ。

父様や母様、セバスチャンは知っているけど、ダニエルは知らないから二人の時にしている。

私達が町に出て来たのは確認したい事があったからだった。


数日前ー。

「じゃあセーラ嬢が言うゲームのシナリオとやらにはまず、ダニエルが出て来るんだな?」

「うん。でもね、登場する一年も前に家に来たのよ。」

お茶を飲みながら、不思議よね?と首を傾げる私に眉を寄せるアチェロさんは今、私の部屋で寛いでいる。

防音の魔法を施された私の部屋には、アチェロさんと私の二人だ。

向こうの世界の話をする時は、やっぱり慎重になる。対象のダニエルに聞かれてしまうのを避ける為だった。

ちなみにアチェロさんはゲームをした事がなかったらしい。

「シナリオ自体が変わり始めたのかねぇ?オイラもゲームにはいなかったんだろ?」

「うん。それに兄様も姉様もそこまでシスコンじゃなかったはず。…父様も母様も。」

「ははっ!ルークス達がシスコンとは思うのかい?君も大概だとは思うけどねぇ?」

「私は違います!二人が大好きなだけ!」

目を細めながら茶化すような口調に、私はムッとした顔を隠さない。
一緒だよ~と笑うアチェロさん。

「なあ…オイラ思うんだけど、例えばこの世界を作った神がいたとしよう。」

「神様?」

「ああ。それで、だ。エンディング以外の結末を望んでいるって可能性は考えられないかい?」

アチェロさんは真面目に切り出すと、考えても見なかった事を言い出した。

アチェロさんの考えはこうだ。

まず、アチェロさんがいきなりこの世界に転移して来た事。
そして父様と母様に出会い、共に旅をして仲良くなった。

次に、私に記憶があるまま生まれて来た事。
記憶があるなら、自分で考えて回避策も取れるだろう?とアチェロさんは言う。

そして、私とアチェロさんが会うべくして出会った事。
魔力の高い私は必然的に誰かから学ばなければならない。
父様達と先に出会わなければ、私と出会う事はなかったはずだと。

「何かの思い通りに動かされてる気がするのはいい気分じゃない…けど、この世界でセーラ嬢の助けになるのは悪くないね。」

「楓先生…。ありがとう。」

私が素直にお礼を告げると、照れ臭そうに頬をかいた。

「それで本題はここからだ。」

「うん。」

「まずはダニエルがシナリオ通り、この家の養子に来た。しかも一年も早く。」

「うん。間違いない。私が4歳になってから出会う筈だった。」

「他に変わった事はないのかい?」

アチェロさんに言われて、首を捻りながら考えても思い当たる事はない。

「…変わってるかは判らないけど、ゲームの世界のダニエルは笑わない子だったかな?」

「セーラ嬢~、それ!十分変わった事だよ~!!」

私が考えて話した事に、アチェロさんはテーブルに伏っしながら呆れた声を出した。

「笑わない子が笑う様になるなんて、何処かでシナリオが変わったって事なんじゃないかい?」

アチェロさんにそう言われて、私は驚きを隠せなかった。

ダニエルは確かにゲームの中と同じ様に親戚や知り合いの家を転々としていた。

来た日に見たダニエルは、ゲーム通り笑わない子だった…。影を背負った様に見えた。あんなに小さいのに。

じゃあ、いつから?

ダニエルはいつからよく笑う子になったんだろう…。
いつの間にかヤンデレ要素も消えているし…。

「家族の愛にヤンデレ要素が消えた…とか?」

「…まあ、それもあるんだろうけどねぇ?でもじゃあ、その輪の中に連れて行くのは誰だい?」

アチェロさんは何か思い当たる事があるのか、思わせ振りな言い方だ。

連れて行くのは?

「!!」

呆れながら私を見るアチェロさんに、私は驚きを隠せなかった。

だって、それはーー。

「私…だ…。」

「御名答~!やっと気づいたかい?」

呆れた顔をしながら見るアチェロさんは、驚いて目を大きくした私の頭をよく出来ましたと言う様にひと撫でした。
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