鉄仮面騎士団長とだだ漏れ副騎士団長の攻防

SORA

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私が〝それ〟に気付いたのは、五歳になった年だった。

父と母と兄、そしてまだ歩けない妹とごくありふれた日々を過ごしていた。
そして私も今より表情は豊かな方だったと思う。

ある日、母と行ったお茶会でそれは起きた。

同じ年くらいの子供達が集まって、話をしていた時だった。
一緒に遊んでいた子の一人が私の肩に触れた時、〝声〟が聞こえたからその声に返事をしたのだ。

すると『化物』と言いながら逃げて行った子供達を見ながら、私は何が起きたのか判らずに呆然と立ち尽くしていた。

慌てて駆け寄る母に抱き締められて、やっと自分が泣いていた事を知った。

なぜ?どうして?

どうして自分があの子達に『化物』と呼ばれたのか。
ただ返事をしただけだったのに。

この時出なかった答えをすぐに知る事になる。

◇◇◇◇◇

「アリーはまだ部屋から出ないのか?」

「ええ…。」

父ダミアンと、母メーガンが部屋から出てこないアリエルを心配して扉の前に立っていた。

「アリー?美味しいクッキーを貰ってきたよ!一緒に食べよう?」

兄ルイスもお菓子で妹を誘い出そうと必死だ。

「クッキー…。」

お茶会から帰って何も口にしていなかったアリエルは、ルイスのクッキーと言う誘惑に負けて部屋の扉を開けた。

泣き腫らした目が痛々しかったが、アリエルの姿に両親とルイスはホッと胸を撫で下ろした。

「アリー、お腹空いただろう?」

アリエルの部屋のテーブルに持って来たクッキーを広げたルイスは、それを一つ手に取ってアリエルの口に運んだ。
素直に口を開けて咀嚼するアリエルの頭を優しく撫でるルイス。
それを両親が微笑しげに見ていると、アリエルがルイスを見上げている。

「?」

「アリー?どうしたの?」

「どうして兄様はお口を開けないでお話出来るの?」

両親だけでなくルイスも、アリエルが告げた言葉に目を見開いた。

「はぁ?」

「アリー?僕何も言ってないよ?」

「言ったわ。リスみたいだって!今も何を言ってるの?って!」

驚くルイスにアリエルが少し怒った様に言うと、アリエルの怒りに困惑して後ずさった。

「アリー…ルイスがそう言ったの?」

「母様には聞こえなかったの?」

そう言われて戸惑うメーガンとルイスを前に、様子を見ていたダミアンがアリエルを抱き上げる。

「(アリー?父様の声が聞こえるかい?)」

「ええ。聞こえるわ。父様もお口を開けないでお話出来るの?」

アリエルの言葉にメーガンとルイスが目を見開く。驚くのも無理はない。何故ならダミアンは言葉を発していなかったのだから。

そんな中、ダミアンはアリエルに色々試した。アリエルに気づかれぬ様に慎重に。
それを横でメーガンとルイスが静かに見守っていた。

暫くして、ダミアンはアリエルを抱き上げながら目を細めた。

「アリー、君は女神様に愛されているんだよ。」

「?」

「アリーは女神様に特別な力を貰ったんだよ。」

そう言ってダミアンはアリエルやメーガン、ルイスに判る様に伝えた。

アリエルは人に触れると〝心の声〟が聞こえてしまうのだと。

ダミアンは目を細めながらアリエルに優しい口調でそう告げた。



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