勇者と魔王、選ぶならどっち?

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第三章 勇者の遺跡巡り

砂漠の街まで何マイル?

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「暑いよぉー、喉乾いたよぉー。」
「もう少しでタハールの街に着くから、我慢しなさい。」
 私がちょっと弱音を吐くと、ミュウが直ぐ怒るのよ。
 きっとカルシウムが足りないのね。
 今夜のご飯はお魚の骨を……お魚……。
「ねぇ、ミュウ。砂漠にお魚っているのかな?」
「いるわけないでしょっ!ってなんで魚?|」
 お魚、居ないのかぁ……だったら他にカルシウムはぁ……貝殻?
「ねぇ、貝ならあるかなぁ?」
「海じゃあるまいし、あるわけないでしょうが。」
「そっかぁ……。」
 後は……あ、牛乳。
 でもこの世界に牛さんいないしねぇ……ユニフォーの乳にもカルシウムって含まれてるのかな?
「ねぇねぇ、ユニフォーならいるかなぁ?」
「あー、もぅ!さっきからなんなのよっ!ユニフォーがこんな水の少ない場所で生きてけるわけないでしょ!わけわからない事言ってないで、街に着くまで寝てなさいっ。」
「ぶぅー、ミュウの怒りんぼ。」
 シュッ!
 そう言った瞬間、私の顔のすぐそばを、一陣の風が通り過ぎたの。
 振り返ると、背後の支柱にナイフが一本突き刺さってたのよ。
「何か言った?」
 ブルブル……。
 私は慌てて首を振る。
 ミュウがマジオコだよぉ。
 私は仕方がなく、後部で寝ているクーちゃんの横に移動する。

「暑いよぉ……クーちゃんは良く寝れるねぇ。」
 寝ているクーちゃんを見ると、額には汗が浮いていて、少し寝苦しそうだった。
「やっぱり暑いんだよねぇ……『アイスロック』!」
 私は氷系の魔法で一塊の氷を作って、クーちゃんの近くに置く。
 しばらくすると、氷の冷気で車内が少し冷えて、クーちゃんの寝顔も穏やかになる。
「この暑さだと、氷が長持ちしないのと、床がベタベタになるのが問題なんだよねぇ。」
 すでに解け始めている氷から滴り落ちている雫が、馬車の床で水たまりを作っている。
「はぁ……こんなことならば車を改造しておけば良かったよ。」
「……だからといって、この前みたいに馬車を氷漬けにしないでよっ!」
 私の呟きが聞こえたみたいで、ミュウが前から声をかけてくる。
「あれはあれで涼しいよ?」
「涼しくても、動かなきゃ意味ないでしょ!」
「うぅ……ヤッパリミュウはカルシウム不足だよぉ。」

 ◇ ◇ ◇ ◇

 全く、ミカゲは……。
 はぁ……ダメだぁ、イライラする。
 原因は分かってるし、ミカゲにあたるのも、半分は八つ当たりだってわかってるけどね。

 私達が目指しているタハールの街は、タリア砂漠に入ってすぐの所にある。
 だけど、すぐって言っても馬車で1日はかかり、、砂漠用に鍛えた馬か、ラクダじゃないと更にその数倍はかかる。
 知識では知っていたけど、まさかここまで違うとは思っていなくて、ヤッパリ経験は大事だと、改めて思ったね。
 さらに言うと、この暑さでは普通の馬車の御者席に座って御者するなんて、暑すぎてまず無理。
 幸いといっていいかどうかわからないけど、エストリーファやユースティアの加護を受けた装備なら、砂漠の厚さを軽減できるから、御者はマリアとクーが交代で受け持ってくれてるんだけど……ミカゲは御者なんてできるわけないから論外ね。
 で、この暑い中、女神装備を持たない私はクーに負担をかけていることが情けなくて、自分の無力さを感じている。
 それなのに、横で何も考えず能天気な事を言ってくるミカゲに対してイラついてもしかたがないと思う……仕方がないよな?
 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ふぅ……なんか涼しいよぉ……。
 ふと目を覚ますと、枕元に氷の塊が置いてある。
「ミカ姉だね……ありがとう。」
 周りを見ると、ミュウお姉ちゃんと何やら言い合っているミカ姉の姿が見える。
 またバカなこと言って怒られてるんだろうなぁ。
 私は、思わずクスリと笑い、再び枕元の氷を見る。
「コレってすごい事なんだけど、ミカ姉、絶対気付いてないよね。」
 以前は、何も考えていなかったけど、魔法を覚えて、自分で使うようになってから、如何にミカ姉が常識外れの力を持っているかを理解した。
 ひとつの属性魔法しか使えないのが普通で、二つの属性を使えるというだけでもすごい事なのに、ミカ姉は複数の属性をしかも自在に使いこなしている。
 コレって、ありえない事なんだよね。
 二つ以上の属性を持っていると、魔法制御が難しくなり、また修練の時間も倍かかるから、中途半端にしか使えないか、ひとつの属性に絞るのが普通で、大魔導士と言われている、複数属性を持つ一部の凄い人でも、上級魔法迄使えるのは得意な一つか二つの属性までで、ミカ姉みたいに全属性上級魔法まで使えるどころか、さらに各属性を合成した魔法まで使える人なんて見たことも聞いたこともない。
 もっとも、世の中は広いから、探せばそういう人もいるのかもしれないけどね。
 話は戻して、この氷……結構溶けてるみたいだけど、それでもまだこの大きさって事は、元はもっと大きかったんだよね。
 氷系の魔法って、水系の上位にあたるから、使える人って意外と少ないのよ。
 それに、瞬間的に凍らせるならともかく、こうして塊として出す場合、その大きさに見合っただけの魔力を消費するのよ。
 この溶けて拳大になった塊でも、私だったら全魔力の半分以上が必要になると思うのよ。
 だから普通は……。

「あ、クーちゃん起きたの?」
「ウン……ミカ姉、氷ありがとうね。」
「あ、もうそんなに小さくなっちゃったんだ。ちょっと待ってね……『アイスロック』!」 ミカ姉はそう言って手早く呪文を唱え、私の頭の2倍はある氷を生み出す。 
「まだ交代まで時間があるからもう少し休んでいるといいよ。」
 ……だから普通は、そんなに気軽に氷をポンポン出さないんだってばっ!
 私は心の中でさけびつつ、ミカ姉にお礼を言って氷を受け取る。
 ……涼しいのはいいけど、これ溶けたらベチャベチャになるよね。
 そう思いつつ、私は盥を取り出して氷を入れて、暫くの間、その涼しさを楽しむのです。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「ふぅ……涼しいですわ。ミカゲさんですね。」
 クミンさんと御者を交代して、車内に戻ってきた私は、ユースティアの装備を解く。
 すると、一気に暑さが纏わりついてきますが、足元に置いてある盥の中の氷のおかげで、熱さが少し和らぎます。
「こうしてみるとユースティアの装備は破格ですね。」
(当り前じゃ、妾¥を誰と心得る、恐れ多くも女神じゃぞ。)
「ハイハイ、女神様。信仰していますよ。」
 ユースティアに適当に返事をして、足を盥に入れる。
「冷たっ。……でも気持ちいいですわ。」
 少しはしたないですが、この心地よさには抗えません。
 というか、こんな所を砂漠の民に目撃されたら大事になりますから、街に着く前にミカゲさんには自重するように言っておかないといけませんわね。

 砂漠では、何より水は貴重品で、さらに言えば、まず手に入らない氷の塊を、まさに「湯水のように」使っている、使えることが知られたら、どのような騒ぎになる事やら。
 下手すれば、ミカゲさんは捕まって、クスリ漬けにされ、それこそ水を出すアイテムのように使われるかもしれません。
 ミュウさんと相談して、街の滞在は最小限に、ミカゲさんが騒ぎを起こす前い、さっさと砂塵の塔に向かうのがいいかもしれませんね。

「あ、マリアちゃん、交代したんだね。氷もっといる?」
「はい、お願いできますか?後、ミュウさんに相談が……。」
 バレたら騒ぎになりますが、バレない限り、この恩恵にあずかっても問題はないですよね?
 私は、今後の事をミュウさんと相談しながら、そんな事を考えていたのでした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「クーちゃん、あとどれくらいか分かる?」
 ミュウが\マリアちゃんに呼ばれて後ろに引っ込んだので、私は御者台に移動してクーちゃんの横に座る。
「うぅ、暑いぃ……。」
「あ、ミカ姉、あと2時間ぐらいだよ……装備変えないと。」
「あ、そっか、忘れてたよ……ディフェンション!」
 苦笑するクーちゃんの横で慌てて装備を変える。
「ふぅ、涼しぃ……ずっとこのままでいようかな。」
「ミカ姉は凄いね、その恰好でどれくらいいられるの?」
「うーん、わかんないなぁ、1週間はいけるんじゃない?」
「はぁ……ヤッパリ、ミカ姉はおかしいよ。」
 呆れかえるクーちゃん。
 クーちゃんが言うには、クーちゃんやマリアちゃんが女神装備でいられるのは大体6時間が限度なんだって。
 それも、限界まで魔力を使って、って事だから、安全マージンを考えると、3時間ぐらいが妥当なんだって。
 だから御者も3時間交代でやってるんだって。
「そうなんだぁ、魔力タンクとか、ちょっと考えたほうがいいかなぁ。」
「ミカ姉ってほんと規格外。私、実際に生産してみて、それがよ~~~~~くわかったよ。」
「うぅ、そんなことないよぉ。私がやってることって、他の人でも出来る事だよ?」
 実際、私よりすごい魔道具を作る人はいるし、ドワーフの名工に比べたら、私の武器や防具なんて足元にも及ばないし、剣術だって、王国の騎士さんの方が洗練されてるし、回復魔法はマリアちゃんの方が上だし……。
 そうやって、ひとつづつ具体例を出したんだけど、それを聞いたクーちゃんは、あきれてものが言えない、というように頭を抱える。

「えっとね、ミカ姉。確かにね、ミカ姉の言う通り、ドワーフさん達の作る武器の方が凄いかもしれない。でもね、ドワーフさん達の中で武器にエンチャントかけれる人なんてほとんどいないんだよ?宮廷魔導士の中には、ミカ姉\より強力なエンチャントかけれる人もいるかもしれないけどね、そもそもその人たちは魔道具が作れないし、マリアお姉さんは、確かにトップクラスの神聖術師だけど、ミカ姉みたいに他の魔法が使えるわけじゃないの。分かる?一人であらゆることがそれなり以上の出来るって事自体が規格外って言ってるの。」
 一息に喋ったせいか、クーちゃんの息が上がってる。
「えーと……お水呑む?」
「……のむ」
「うーん、クーちゃんはそういうけどぉ……おかしいかなぁ?」
「おかしいのっ。自覚しないと危険だよ?」
 クーちゃんは心配そうな声でそう言う。
 そっかぁ、私はおかしいのかぁ。
「ウン、よくわかったよ。」
 私はそう言いながらミストの魔法を馬たちにかける。
 凄く暑そうだったからね。
 水をかけると走行の邪魔になるから、これぐらいがいい。
 馬たちは体が冷えたことで少し元気を取りもどす。

「ミカ姉は分かってないよぉ!」
 何故か憤るクーちゃん。
「えっ、なんで?」
「その魔法!」
 クーちゃんが馬たちを指して言う。
「魔法って……ただのミストの魔法だよ?クーちゃんも出来るでしょ?」
「出来ないよっ!それだけ細かい水をしかも範囲を限定して使うのに、どれだけの魔法制御力が必要だと思ってるのっ!しかも、私と話しながら片手間に……普通の人は出来ないって事自覚してよぉ。」
 クーちゃんの言葉からすると、私が普通にやっていることはかなり高度な事らしい。
 普通に出来る市、みんなも何も言わないから、他の人もそうなんだって思ってたけど、そうじゃないらしい。
 今まで、みんなが何も言わなかったのは、自分が出来ない事だからそういうものだと思っていたらしく、クーちゃんも最初はそういうものだと思っていたんだって。
 だけど、自分で魔法を使ったり生産をするようになって、私と普通の火との間に格差があるってわかったらしいんだけど……。
「ねぇ、クーちゃん。」
「なに?」
「いまさら、だよ?」
 私がそう言うと、クーちゃんはがっくりと項垂れる。
「そうだよね、今さらだよね……、せめて、街では大人しくしててね……ミュウお姉ちゃん、ごめんなさい。クミンにはミカ姉を止められそうにないです。」

 クーちゃんの呟きが風に流される中、馬車は、刻一刻と町へ近づいて行くのだった。
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