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第二十五夜
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師走の一大イベント、クリスマス。
しかし、それも3度目ともなると、幾分か肩の力を抜いてその日を迎えることとなった。
恭介は朝から、入れ違いで海斗はいつも通り夕方からバイトがあったため、イブも当日ものんびりと家で過ごして終わる予定だ。
プレゼントも、大層なものじゃなくていいだろうと、恭介が海斗へ用意したのは茶色いレザーのブックカバーとしおりのセットだ。
引き出しの奥でずっと眠っていた、未使用の図書カードも付けて。部屋の掃除をした時に発掘したものだが、まあ言わなければバレないだろう。
あとは去年と同じで、恭介がアルバイト先でケーキを買って帰ったくらいだ。
「メリクリ」
イブの夜、部屋でくつろいでいると、風呂上がりの濡れた髪のまま、プレゼントを持った海斗がやってきた。
特に話し合ったわけではないが、海斗もきちんとプレゼントを用意してくれていたらしい。
「はい」と渡されたそれは、緑のリボンで口を縛った赤い不織布の袋だった。
重くはない。どちらかというと軽い。耳を近づけて振ってみたが、ガサガサと音がするだけ。
「なんだろ。俺も用意してある、ほらこれ」
意外にも楽しくなってきて、シルバーのラッピング袋に包まれた例のプレゼントを海斗に渡す。
先に開封したのは海斗だ。
「へえ!いいじゃん、お洒落じゃん。今読んでる文庫本に使えそう。ありがとう」
気に入ってくれたようで恭介はほっと胸を撫で下ろす。
「もう1つ入ってるぞ」
「ああ、ほんとだ。図書カードだ?え、なんで裸?」
その問いには曖昧に笑って誤魔化す。
「恭介本読まないもんなー。どうせベッドの下とかからでてきたやつだろ」
「違うって。机の引き出しの中」
声を上げて海斗が破顔する様子に満足した恭介は、自身が受け取ったプレゼントのリボンを解いた。
逆さまにして膝の上に一気に出して、ん?とそれを覗き込む。
それら3つ、どれも色が黒で、一瞬何か分からなかった。
猫耳、首輪、ふさふさのしっぽ。
しっぽの付け根は出来の悪い玉ねぎのような、先端が細くてぷっくりした小さいものが付いている。
ぞくりと、悪寒が走る。
「ぎ、ギャグかよ!俺は結構真面目に考えたのに」
どうか冗談であれ。素知らぬ顔で袋に仕舞い戻そうとすると、その手を海斗が止めてきた。
「ギャグじゃない」
──あれ、さっきまで笑ってたのにめっちゃ真顔だこいつ。
「え?またまた~」と継続してすっとぼけていると、のし掛かるようにして海斗に押し倒された。
「俺からのプレゼント、コスプレセックス黒猫編。受け取って」
作った笑顔でニコニコと見下ろしてくる。一体他に何編があるのか、聞きたくもない。
「いりませんけど!つかそれ最早お前へのプレゼントになるだろうが!」
「うれしい。今年のクリスマスプレゼントは黒猫恭介か」
「勝手に俺の苗字を変えるなドスケベ」
「いいじゃん、なんでダメなの?」
「ドスケベを否定してくれ……」
「もしかして、エロサンタのほうが良かった?悩んだんだよな」
そんな攻防がしばらく続いたが、結局恭介は、海斗の5回目の「ね、お願い」で渋々折れるのだった。
しかし、それも3度目ともなると、幾分か肩の力を抜いてその日を迎えることとなった。
恭介は朝から、入れ違いで海斗はいつも通り夕方からバイトがあったため、イブも当日ものんびりと家で過ごして終わる予定だ。
プレゼントも、大層なものじゃなくていいだろうと、恭介が海斗へ用意したのは茶色いレザーのブックカバーとしおりのセットだ。
引き出しの奥でずっと眠っていた、未使用の図書カードも付けて。部屋の掃除をした時に発掘したものだが、まあ言わなければバレないだろう。
あとは去年と同じで、恭介がアルバイト先でケーキを買って帰ったくらいだ。
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重くはない。どちらかというと軽い。耳を近づけて振ってみたが、ガサガサと音がするだけ。
「なんだろ。俺も用意してある、ほらこれ」
意外にも楽しくなってきて、シルバーのラッピング袋に包まれた例のプレゼントを海斗に渡す。
先に開封したのは海斗だ。
「へえ!いいじゃん、お洒落じゃん。今読んでる文庫本に使えそう。ありがとう」
気に入ってくれたようで恭介はほっと胸を撫で下ろす。
「もう1つ入ってるぞ」
「ああ、ほんとだ。図書カードだ?え、なんで裸?」
その問いには曖昧に笑って誤魔化す。
「恭介本読まないもんなー。どうせベッドの下とかからでてきたやつだろ」
「違うって。机の引き出しの中」
声を上げて海斗が破顔する様子に満足した恭介は、自身が受け取ったプレゼントのリボンを解いた。
逆さまにして膝の上に一気に出して、ん?とそれを覗き込む。
それら3つ、どれも色が黒で、一瞬何か分からなかった。
猫耳、首輪、ふさふさのしっぽ。
しっぽの付け根は出来の悪い玉ねぎのような、先端が細くてぷっくりした小さいものが付いている。
ぞくりと、悪寒が走る。
「ぎ、ギャグかよ!俺は結構真面目に考えたのに」
どうか冗談であれ。素知らぬ顔で袋に仕舞い戻そうとすると、その手を海斗が止めてきた。
「ギャグじゃない」
──あれ、さっきまで笑ってたのにめっちゃ真顔だこいつ。
「え?またまた~」と継続してすっとぼけていると、のし掛かるようにして海斗に押し倒された。
「俺からのプレゼント、コスプレセックス黒猫編。受け取って」
作った笑顔でニコニコと見下ろしてくる。一体他に何編があるのか、聞きたくもない。
「いりませんけど!つかそれ最早お前へのプレゼントになるだろうが!」
「うれしい。今年のクリスマスプレゼントは黒猫恭介か」
「勝手に俺の苗字を変えるなドスケベ」
「いいじゃん、なんでダメなの?」
「ドスケベを否定してくれ……」
「もしかして、エロサンタのほうが良かった?悩んだんだよな」
そんな攻防がしばらく続いたが、結局恭介は、海斗の5回目の「ね、お願い」で渋々折れるのだった。
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