2 / 14
出会い
しおりを挟む
ヴィオラとルーカスが出会ったのは、とある公爵令嬢のバースデー・パーティーの時だった。
ヴィオラは主役の令嬢との挨拶を既に済ませ、贅沢なビュッフェに舌鼓を打っているところだった。
……主役のダリア様、やっぱり近くで見ると眩しかったわ。私より三歳も年下なのに、色気もあるし。殿方に囲まれるのも当然よね。……あっ、このパスタ美味しいわ!
一人で黙々と食べているヴィオラだったが、不意に突然背後から声をかけられる。
「あらぁ、ヴィオラじゃなくって?」
振り返ると、幼馴染のテリーヌがいた。ヴィオラは思わず心の中でううっと唸る。
何せ面倒臭いのだ、このテリーヌは。
昔から何かにつけて突っかかってくる。
見た目は金髪碧眼で天使のように美しいのに、その性格は正反対で、特に長い付き合いのヴィオラのことは完全に見下している。ヴィオラも彼女と同じ金髪碧眼かつ同じ伯爵令嬢という身分であることが、テリーヌがヴィオラを敵視する理由になったのかもしれない。
なるべく近づかないようにしていたのに……。
ヴィオラはビュッフェに集中してしまい周りが見えなかったことを後悔した。
「テリーヌ様、お久しぶりです」
「相変わらず一人なのね。エスコートする男性もいないなんて可哀想に」
テリーヌは右頬に手を添えながら首を傾げた。その隣にはパートナーと思わしき男性が連れ添っている。
「こんなあなたにいうのもなんだけど……わたし、ついに結婚することになったの。相手はこの、アーロン・ディラント侯爵様よ」
「それはおめでとうございます」
ヴィオラが頭を下げると、男性も会釈を返す。そうして彼は気を遣ってその場から離れていった。
ヴィオラは男性に見覚えがあった。
確か……令嬢たちから絶大な人気を誇る方よね。テリーヌ、こんな凄い人と結婚することになったんだ。
テリーヌを見ると、勝ち誇った顔でヴィオラを見ている。
「ふっ、結婚式には呼んであげるから」
「楽しみにしております」
「ところで……ヴィオラ、あなた、良い感じの方はいないの?」
「ええ、まだ……」
「なら良い人を紹介してあげるわね。来てちょうだい」
テリーヌの声と共に、五十代ほどの少し小太りの男性が現れる。
「グラッド子爵よ。少し歳の差はあるけれど、相性はとても良いと思うの」
うふふ、とテリーヌは微笑む。
グラッド子爵は満更でもない顔で、ヴィオラのことを見た。舐め回されるような視線を感じ、ヴィオラは身震いする。
「後は二人で仲良くね」
ヴィオラの反応に満足したのか、テリーヌはそそくさとその場を去っていった。
まずいわ。
このままでは噂を立てられるし、この人と結婚するのは怖い。身の危険を感じる。でもここでお断りしても非難されるだろう。
困り果てたヴィオラは逃げるしかないと踵を返そうとした。しかし不運にもその手首を掴まれてしまう。
「どこへ行くのですか?」
窮地に立たされたヴィオラだったが、その時……
「グラッド子爵、デリントン侯爵があなたのことを探しておりましたよ」
助け舟が現れた。
ヴィオラは主役の令嬢との挨拶を既に済ませ、贅沢なビュッフェに舌鼓を打っているところだった。
……主役のダリア様、やっぱり近くで見ると眩しかったわ。私より三歳も年下なのに、色気もあるし。殿方に囲まれるのも当然よね。……あっ、このパスタ美味しいわ!
一人で黙々と食べているヴィオラだったが、不意に突然背後から声をかけられる。
「あらぁ、ヴィオラじゃなくって?」
振り返ると、幼馴染のテリーヌがいた。ヴィオラは思わず心の中でううっと唸る。
何せ面倒臭いのだ、このテリーヌは。
昔から何かにつけて突っかかってくる。
見た目は金髪碧眼で天使のように美しいのに、その性格は正反対で、特に長い付き合いのヴィオラのことは完全に見下している。ヴィオラも彼女と同じ金髪碧眼かつ同じ伯爵令嬢という身分であることが、テリーヌがヴィオラを敵視する理由になったのかもしれない。
なるべく近づかないようにしていたのに……。
ヴィオラはビュッフェに集中してしまい周りが見えなかったことを後悔した。
「テリーヌ様、お久しぶりです」
「相変わらず一人なのね。エスコートする男性もいないなんて可哀想に」
テリーヌは右頬に手を添えながら首を傾げた。その隣にはパートナーと思わしき男性が連れ添っている。
「こんなあなたにいうのもなんだけど……わたし、ついに結婚することになったの。相手はこの、アーロン・ディラント侯爵様よ」
「それはおめでとうございます」
ヴィオラが頭を下げると、男性も会釈を返す。そうして彼は気を遣ってその場から離れていった。
ヴィオラは男性に見覚えがあった。
確か……令嬢たちから絶大な人気を誇る方よね。テリーヌ、こんな凄い人と結婚することになったんだ。
テリーヌを見ると、勝ち誇った顔でヴィオラを見ている。
「ふっ、結婚式には呼んであげるから」
「楽しみにしております」
「ところで……ヴィオラ、あなた、良い感じの方はいないの?」
「ええ、まだ……」
「なら良い人を紹介してあげるわね。来てちょうだい」
テリーヌの声と共に、五十代ほどの少し小太りの男性が現れる。
「グラッド子爵よ。少し歳の差はあるけれど、相性はとても良いと思うの」
うふふ、とテリーヌは微笑む。
グラッド子爵は満更でもない顔で、ヴィオラのことを見た。舐め回されるような視線を感じ、ヴィオラは身震いする。
「後は二人で仲良くね」
ヴィオラの反応に満足したのか、テリーヌはそそくさとその場を去っていった。
まずいわ。
このままでは噂を立てられるし、この人と結婚するのは怖い。身の危険を感じる。でもここでお断りしても非難されるだろう。
困り果てたヴィオラは逃げるしかないと踵を返そうとした。しかし不運にもその手首を掴まれてしまう。
「どこへ行くのですか?」
窮地に立たされたヴィオラだったが、その時……
「グラッド子爵、デリントン侯爵があなたのことを探しておりましたよ」
助け舟が現れた。
185
あなたにおすすめの小説
婚約解消の理由はあなた
彩柚月
恋愛
王女のレセプタントのオリヴィア。結婚の約束をしていた相手から解消の申し出を受けた理由は、王弟の息子に気に入られているから。
私の人生を壊したのはあなた。
許されると思わないでください。
全18話です。
最後まで書き終わって投稿予約済みです。
身代わりーダイヤモンドのように
Rj
恋愛
恋人のライアンには想い人がいる。その想い人に似ているから私を恋人にした。身代わりは本物にはなれない。
恋人のミッシェルが身代わりではいられないと自分のもとを去っていった。彼女の心に好きという言葉がとどかない。
お互い好きあっていたが破れた恋の話。
一話完結でしたが二話を加え全三話になりました。(6/24変更)
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった
みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。
この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。
けれど、運命になんて屈しない。
“選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。
……そう決めたのに。
彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」
涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。
悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢シンディの妹デーリカは、様々な人に迷惑をかけていた。
デーリカはシンディが迷惑をかけていると言い出して、婚約者のオリドスはデーリカの発言を信じてしまう。
オリドスはシンディとの婚約を破棄して、デーリカと婚約したいようだ。
婚約破棄を言い渡されたシンディは、家を捨てようとしていた。
君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった
白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。
さようなら、臆病な私
Rj
恋愛
夫の優しさを愛だと勘違いした妻は臆病な自分に別れを告げる。
亡くなった姉に罪悪感と恨みをつのらせる妹は姉の夫を刺す。
亡くなった妻との美しい思い出にひたる夫は事実を知らない。
死が題材です。
*一話完結で投稿したものに二話加え全三話になりました。(3/28変更)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる