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2、証言
アドルフ様の突然の登場に全員の視線が彼に集まるが、それには目もくれず、アドルフ様はアンジェリカ様を王子から見えないように背中で庇うと、興奮気味に彼に訴えた。
「アンジェリカ様は冤罪です!」
「はっ、侯爵家の分際で急に出しゃばってきたと思ったら、何の証拠があってそんなことを」
アンジェリカ様を擁護する者が現れても、王子は鼻で笑うだけで全く動じない。
「ティアナの腕を見てもまだそんなことを言うとは、侯爵家は取り潰しだな。残念だ」
「ティアナ嬢の腕は自作自演です」
「は?何のためにティアナがわざわざ自分の腕を傷つけると?」
「ひっ、酷い!私、本当に怖かったのに……」
「あれは茶番です。アンジェリカ様を悪者にするために決まっています」
「……ふっ、はっはっはっ!」
アドルフ様の言葉に、王子は馬鹿にしたように笑い出した。そうして突如、真顔に戻ってアドルフ様に冷たい声で告げる。
「侯爵家は本当に取り潰しだな。しかしアドルフがここまで愚かだとは思わなかったぞ。……おいそこの衛兵、コイツを連れていけ」
王子は顎で衛兵に指示を出す。衛兵がアドルフ様を拘束しようとすると彼は叫んだ。
「お待ちください!ですから、証拠があると言ったでしょう」
「ほう、ならば証言でも証拠でも何でも見聞きしようじゃないか」
「私と同じく証言者がもう一人います。……レイラ嬢!!」
……!突然すぎる……!
突如として名前を呼ばれた挙句、会場中の視線を集めて私は思わず後ずさる。
でもアンジェリカ様のためにも、ここは私が彼女の冤罪を晴らせる証言をしなければ。
そう思って、私はゆっくりと王子たちに近づいた。
「トゥサン伯爵家のレイラ嬢か」
「ご機嫌麗しゅうございます。どうか私めに発言の許可をお与え下さいませ」
「構わん。どうせしょうもないことだからな」
王子から許可を貰えたので私は話し出す。
「話は簡単です。証言というよりは証拠となってしまいますが」
「何でもいいぞ」
まだ余裕そうな王子。高みの見物のように上から目線で私の話を聞いている。だから私は言った。
「ティアナ様の腕の傷は全て偽物です」
「何を!」
「どういうことなの?」
「そんなことあるまい、だってあんなに傷だらけなんだぞ?」
私の発言に会場内が騒然とします。
「何を無礼な!伯爵家の分際で、何の証拠を持ってそんなことを!」
しかし、怒り狂う王子の横で、一人だけ体を震わす令嬢がいる。……当の本人、ティアナ様だ。
「ひ、酷いです!これは偽物なんかじゃありません。衛兵さん、早くあの人を捕まえてくださいっ。じゃないと私、あとで酷い目にあってしまうかもしれませんから……っ!」
「ティアナ?どうしたそんなに取り乱して。大丈夫だぞ、落ち着け」
「そんなの無理です!早くあの人をここから追い出してくださいっ」
ティアナの動揺っぷりに王子は焦る。
……ああ、ああ、そんなに取り乱したら不自然でしょう。ティアナ様、どうやら思ったよりオツムの弱い方のようです。
これならすぐにアンジェリカ様の無罪を証明できる。
私は口元に笑みを浮かべた。
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