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反撃
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「お父様、なぜこのようなことをするのです!」
「お前を反省させる為だ。お前はいつだって、ベルチェとヴィヴィにことあることに楯突いて二人を傷つけてきた。そろそろ本格的に言い聞かせねばと思ったところだ」
勝手な言い分。
まぁ分かってはいたけれど。
「所詮お父様はお二人の味方ですものね。私が何を言っても聞いてくださらない。ただ罵倒したり殴るだけ!」
「何を勘違いしている」
「勘違い?私は事実しか言っておりませんよ。昔から貴方は、お母様がお父様を愛していたのをそっちのけにベルチェ様たちにうつつを抜かしていましたものね。私はお母様に愛されたかったのに、会うたびに「貴方じゃない」と言われ否定されてきましたもの」
最後の方でエミーヌは鼻を啜った。
泣いている風を装うためだ。
「私はずっと誰かに愛されたかった!お母様にもお父様にも愛してもらえなかったから。だからお二人が来た時、仲良くしてくれるなら、私を愛してくれるなら、心を許しても良いと思った。……でも、お二人は違った。私を邪魔者にしか思わなかった!」
「違うわ!私だって仲良くなりたかったもの!でも貴方が」
「嘘です!貴方たちは私が何か言うたびに、いつも勝手に自分は平民だからと話を遮って」
「だって……」
「仲良くなりたくて、身分なんてどうでも良くて、私はそう思っていたのに、二人が勝手に身分を決めつけて壁を作った!誰か一人でも、私が直接二人に何かを言ったのを聞いたことがあるんですか!?勝手にでっち上げて、そうやって、周りの同情を引いて私を孤立させた!」
早口で捲し立てる。
大事なのは勢いだ。相手の発する言葉を遮るくらいが丁度良い。
これでもずっと思っていたことであり、長い間溜めてきたことだから、不思議なことに口に出すとなかなかに感情的になっていくのがわかる。
あの二人もずっとそれを体験していたのか。
「はぁ、はぁっ、ううっ……」
エミーヌはその場に泣き崩れた。
演技……というのもあったが、ここまで来たらもうエミーヌもあまり冷静とは言えなかった。
長年の不満を吐き出すように、ポロポロと自然に流れていく涙。
「出して、出して……」
扉の向こうから声はもう聞こえて来なかった。そうして……。
ガチャリ
扉が開く音。
お父様、かしら……。
殴られた時のことが甦る。びくびくとしながらも蹲っていた顔を上げると、そこには今にも泣きそうなロバートの顔があった。
彼は今ここにいるはずがないのに、どうして。
「はぁ、ついに幻まで見えるように……?」
「違うよ、ミーちゃん。僕、迎えに来たんだ」
そう言ってロバートはエミーヌを優しく抱きしめる。途端、体中から力が抜けて。
……私、怖かったんだ。
無意識に平静を装う癖のせいで、エミーヌは自分の感情に疎かった。
ゆっくりと背中をさすってくれるロバートのお陰でそれをやっと自覚すると同時に、肩の力が抜ける。
ロバートとは来てくれた。私のために駆けつけてくれた。
エミーヌはただでさえ流れていた涙がまた溢れ出して止まらなかった。
「お前を反省させる為だ。お前はいつだって、ベルチェとヴィヴィにことあることに楯突いて二人を傷つけてきた。そろそろ本格的に言い聞かせねばと思ったところだ」
勝手な言い分。
まぁ分かってはいたけれど。
「所詮お父様はお二人の味方ですものね。私が何を言っても聞いてくださらない。ただ罵倒したり殴るだけ!」
「何を勘違いしている」
「勘違い?私は事実しか言っておりませんよ。昔から貴方は、お母様がお父様を愛していたのをそっちのけにベルチェ様たちにうつつを抜かしていましたものね。私はお母様に愛されたかったのに、会うたびに「貴方じゃない」と言われ否定されてきましたもの」
最後の方でエミーヌは鼻を啜った。
泣いている風を装うためだ。
「私はずっと誰かに愛されたかった!お母様にもお父様にも愛してもらえなかったから。だからお二人が来た時、仲良くしてくれるなら、私を愛してくれるなら、心を許しても良いと思った。……でも、お二人は違った。私を邪魔者にしか思わなかった!」
「違うわ!私だって仲良くなりたかったもの!でも貴方が」
「嘘です!貴方たちは私が何か言うたびに、いつも勝手に自分は平民だからと話を遮って」
「だって……」
「仲良くなりたくて、身分なんてどうでも良くて、私はそう思っていたのに、二人が勝手に身分を決めつけて壁を作った!誰か一人でも、私が直接二人に何かを言ったのを聞いたことがあるんですか!?勝手にでっち上げて、そうやって、周りの同情を引いて私を孤立させた!」
早口で捲し立てる。
大事なのは勢いだ。相手の発する言葉を遮るくらいが丁度良い。
これでもずっと思っていたことであり、長い間溜めてきたことだから、不思議なことに口に出すとなかなかに感情的になっていくのがわかる。
あの二人もずっとそれを体験していたのか。
「はぁ、はぁっ、ううっ……」
エミーヌはその場に泣き崩れた。
演技……というのもあったが、ここまで来たらもうエミーヌもあまり冷静とは言えなかった。
長年の不満を吐き出すように、ポロポロと自然に流れていく涙。
「出して、出して……」
扉の向こうから声はもう聞こえて来なかった。そうして……。
ガチャリ
扉が開く音。
お父様、かしら……。
殴られた時のことが甦る。びくびくとしながらも蹲っていた顔を上げると、そこには今にも泣きそうなロバートの顔があった。
彼は今ここにいるはずがないのに、どうして。
「はぁ、ついに幻まで見えるように……?」
「違うよ、ミーちゃん。僕、迎えに来たんだ」
そう言ってロバートはエミーヌを優しく抱きしめる。途端、体中から力が抜けて。
……私、怖かったんだ。
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ゆっくりと背中をさすってくれるロバートのお陰でそれをやっと自覚すると同時に、肩の力が抜ける。
ロバートとは来てくれた。私のために駆けつけてくれた。
エミーヌはただでさえ流れていた涙がまた溢れ出して止まらなかった。
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