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13話
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突然のテオドールの状況にオデットも当然驚いたが、それ以上に目を見開き驚愕しているのがルイーズだ。
「今、岩陰から出てきたな……?ということは我々が来るずっと前からいたということか?今の今まで一部始終聞いていた、ということか……!?」
信じられないと言った顔で、ルイーズはテオドールを見た。
「……はい、一応、全部」
テオドールが俯きながら仕方なく頷いた途端、ルイーズはヒューゴの胸ぐらを掴む。
「先ほど言ったこと、すぐさま撤回する!お前は優秀でない!!」
「いいよ、ルイーズ、その意気だよ」
「お前はもう黙れぃ、マリウス!!そもそもの元凶が何を言う!疫病神!この変態野郎!!」
よほどマリウス殿下とのイチャラブをテオドールに見られたのが恥ずかしかったのだろう、ルイーズはかつてないほど顔を真っ赤っかにさせ、マリウス殿下とヒューゴに怒声を浴びせている。
しかしマリウス殿下は怒られてもむしろ目をとろんとさせルイーズを見つめている。
その姿からオデットは彼の心の底にある恐ろしさを背筋の震えで感じ取った。
「ルイ、君の罵倒はいくらでも聞いていられる。もっと言ってくれ」
もしかするとルイーズは、とんでもない人に捕まってしまったのではないか。
「ああ、ルイ、私にもっと、罵声をーー」
「黙れ、気持ち悪い!!ーーおい、ヒューゴ、この変態王太子をどうにかしてくれ」
「マリウス様がそのモードに入ったら、僕にはもうどうすることもできません。この状況でマリウス様を制御出来るのはルイーズ様、貴方ただ一人のみ。というわけで、自分でどうにかしてください」
「ええい、使えない!そもそもなんでお前はテオドール公爵令息の存在を知っていたのに、我々に話さなかったのだ。お前はそんな簡単なミスをするようなやつではなかったろうに」
「いえ、ミスじゃないです。それに僕が何かを言う前にイチャイチャし出した人が何を言うんですか」
それを言われてしまうとお終いだ。ルイーズはぐっと押し黙る。
「あー後、テオドール君にもイチャイチャを見せつけられる方の身になってほしくて。はは、気分はどうですか」
ヒューゴはコケた頬とくまの出来た目をテオドールに向けて、不気味に微笑んだ。
テオドールはヒューゴの言葉に固まったまま、返事はしなかったが、気まずそうに斜め下の地面を見つめている。
「全く、ねちっこい奴だな、ヒューゴは。お前も早く婚約者を作れば良いのに。私たちのようになれるぞ?」
「やめろ、卑猥な手つきで触るな!」
「貴方の補佐をしていると、おちおちゆっくりする暇などないですよ」
いつまでも話が脱線するような気がしたので、オデットは直接テオドールに話しかけた。
「テオドール様、どうしてこちらへ?」
テオドールはオデットに話しかけられたとことに驚いているが、すぐにハッとしたように話し出した。
「シェリーシアが!シェリーシアの様子が変なんだ!!」
助けを求めるようにオデットに詰め寄ったテオドールに、のけぞりになりながらオデットは言った。
「それは貴方が目を覚ましただけでは……?」
「今、岩陰から出てきたな……?ということは我々が来るずっと前からいたということか?今の今まで一部始終聞いていた、ということか……!?」
信じられないと言った顔で、ルイーズはテオドールを見た。
「……はい、一応、全部」
テオドールが俯きながら仕方なく頷いた途端、ルイーズはヒューゴの胸ぐらを掴む。
「先ほど言ったこと、すぐさま撤回する!お前は優秀でない!!」
「いいよ、ルイーズ、その意気だよ」
「お前はもう黙れぃ、マリウス!!そもそもの元凶が何を言う!疫病神!この変態野郎!!」
よほどマリウス殿下とのイチャラブをテオドールに見られたのが恥ずかしかったのだろう、ルイーズはかつてないほど顔を真っ赤っかにさせ、マリウス殿下とヒューゴに怒声を浴びせている。
しかしマリウス殿下は怒られてもむしろ目をとろんとさせルイーズを見つめている。
その姿からオデットは彼の心の底にある恐ろしさを背筋の震えで感じ取った。
「ルイ、君の罵倒はいくらでも聞いていられる。もっと言ってくれ」
もしかするとルイーズは、とんでもない人に捕まってしまったのではないか。
「ああ、ルイ、私にもっと、罵声をーー」
「黙れ、気持ち悪い!!ーーおい、ヒューゴ、この変態王太子をどうにかしてくれ」
「マリウス様がそのモードに入ったら、僕にはもうどうすることもできません。この状況でマリウス様を制御出来るのはルイーズ様、貴方ただ一人のみ。というわけで、自分でどうにかしてください」
「ええい、使えない!そもそもなんでお前はテオドール公爵令息の存在を知っていたのに、我々に話さなかったのだ。お前はそんな簡単なミスをするようなやつではなかったろうに」
「いえ、ミスじゃないです。それに僕が何かを言う前にイチャイチャし出した人が何を言うんですか」
それを言われてしまうとお終いだ。ルイーズはぐっと押し黙る。
「あー後、テオドール君にもイチャイチャを見せつけられる方の身になってほしくて。はは、気分はどうですか」
ヒューゴはコケた頬とくまの出来た目をテオドールに向けて、不気味に微笑んだ。
テオドールはヒューゴの言葉に固まったまま、返事はしなかったが、気まずそうに斜め下の地面を見つめている。
「全く、ねちっこい奴だな、ヒューゴは。お前も早く婚約者を作れば良いのに。私たちのようになれるぞ?」
「やめろ、卑猥な手つきで触るな!」
「貴方の補佐をしていると、おちおちゆっくりする暇などないですよ」
いつまでも話が脱線するような気がしたので、オデットは直接テオドールに話しかけた。
「テオドール様、どうしてこちらへ?」
テオドールはオデットに話しかけられたとことに驚いているが、すぐにハッとしたように話し出した。
「シェリーシアが!シェリーシアの様子が変なんだ!!」
助けを求めるようにオデットに詰め寄ったテオドールに、のけぞりになりながらオデットは言った。
「それは貴方が目を覚ましただけでは……?」
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