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現れた両親
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なぜここに……。
今さら何の理由があって私に会いに来たのでしょうか。ニ年前は私をいらない子だとばかり罵ってきましたのに。
「ステラ、久しぶりね。会いたかったわ!」
「ああ。しかしなかなか時間が無くてな」
不自然な笑みを顔に貼り付けて、かつての両親は私の元まで歩み寄って来ました。今まで冷たい視線ばかり浴びせられていた私にとって、それは不気味以外のなにものでもありません。
……怖い。
私は素直に恐怖を感じました。
彼らは何を企んでこんなところにまで来たのでしょう。私の周りの人々にも彼らは危害を加えるのでしょうか。
様々な憶測が脳を飛び交います。どうしても嫌な方向に想像してしまうので、自然に手足が震えてきました。
人間、いざ恐怖に直面するとこうも体が自由に動かせなくなるものなんですね。
固まる私の異変に気づいたのか、先程の常連客さん二人が私ともと両親の間に割り込んでくれました。
「ちょっと、平民ごときが、何の権利があって私たちの邪魔を」
「無礼だぞ、平民!」
元両親はお二人にどなりつけます。しかしお二人は全く怯むこともなく、むしろ呆れ顔で肩をすぼめました。
「全く、お貴族様っていうのは血の気が多いなぁ。そんな状態でステラちゃんを渡すわけがねぇだろ。絶対にどかねぇからな」
「ああ。何か話すことがあんならな、俺たちを通してステラちゃんに話してくれ」
「無礼な……っ!平民は口の聞き方がなってない!」
「いや、敬語くらいさすがに平民でも使えるぜ。だがな、あんたらは敬語を使うほどの相手でもねぇからさ」
「さっさと要件を済ませて帰ってくれ」
元両親はお二人を退かすことを諦めます。でも負けたなんてプライドの高い彼らは絶対に認めません。
「貴方、相手にするだけ無駄ですわ」
「ああ、そうだな。私としたことが、平民と対等に張り合おうとするとは……危なかった」
どこまでも失礼な人たち。
何だか、大事な人たちを貶されているのに彼らに守られている自分が情けないです。私がいるから引き起こされた騒動なのに、私が逃げてどうするんですか。
……大丈夫です、今の私には居場所があるのですから。きっと追い返してみせます。
私の思いが伝わったのか、お二人はそれ以上動きませんでした。
意を決して私はお二人の背中から出て両親の元まで歩きました。彼らの顔がパァッと明るくなります。
「ステラ!やっぱり私たちの子ね。平民なんかに騙されないで出てきてくれるって信じていたわよ」
「おお、少し痩せたか?辛かったろうに。これからはまた屋敷で仲良く暮らそうな」
……今さら何を仲良くするんですか。貴方たちの本性を知っている以上仲良くなんて出来るはずがない。
「お断りです。さっさとカレンの元へお帰りになってください。カレンが王太子妃になる日ももうすぐでしょう?」
「「…………」」
私がそう言うと、何故か元両親は黙りこくってしまいました。そしてお父様が重々しく口を開かれたのです。
「カレンなら、王太子との婚約を破棄してこの国を去った」
今さら何の理由があって私に会いに来たのでしょうか。ニ年前は私をいらない子だとばかり罵ってきましたのに。
「ステラ、久しぶりね。会いたかったわ!」
「ああ。しかしなかなか時間が無くてな」
不自然な笑みを顔に貼り付けて、かつての両親は私の元まで歩み寄って来ました。今まで冷たい視線ばかり浴びせられていた私にとって、それは不気味以外のなにものでもありません。
……怖い。
私は素直に恐怖を感じました。
彼らは何を企んでこんなところにまで来たのでしょう。私の周りの人々にも彼らは危害を加えるのでしょうか。
様々な憶測が脳を飛び交います。どうしても嫌な方向に想像してしまうので、自然に手足が震えてきました。
人間、いざ恐怖に直面するとこうも体が自由に動かせなくなるものなんですね。
固まる私の異変に気づいたのか、先程の常連客さん二人が私ともと両親の間に割り込んでくれました。
「ちょっと、平民ごときが、何の権利があって私たちの邪魔を」
「無礼だぞ、平民!」
元両親はお二人にどなりつけます。しかしお二人は全く怯むこともなく、むしろ呆れ顔で肩をすぼめました。
「全く、お貴族様っていうのは血の気が多いなぁ。そんな状態でステラちゃんを渡すわけがねぇだろ。絶対にどかねぇからな」
「ああ。何か話すことがあんならな、俺たちを通してステラちゃんに話してくれ」
「無礼な……っ!平民は口の聞き方がなってない!」
「いや、敬語くらいさすがに平民でも使えるぜ。だがな、あんたらは敬語を使うほどの相手でもねぇからさ」
「さっさと要件を済ませて帰ってくれ」
元両親はお二人を退かすことを諦めます。でも負けたなんてプライドの高い彼らは絶対に認めません。
「貴方、相手にするだけ無駄ですわ」
「ああ、そうだな。私としたことが、平民と対等に張り合おうとするとは……危なかった」
どこまでも失礼な人たち。
何だか、大事な人たちを貶されているのに彼らに守られている自分が情けないです。私がいるから引き起こされた騒動なのに、私が逃げてどうするんですか。
……大丈夫です、今の私には居場所があるのですから。きっと追い返してみせます。
私の思いが伝わったのか、お二人はそれ以上動きませんでした。
意を決して私はお二人の背中から出て両親の元まで歩きました。彼らの顔がパァッと明るくなります。
「ステラ!やっぱり私たちの子ね。平民なんかに騙されないで出てきてくれるって信じていたわよ」
「おお、少し痩せたか?辛かったろうに。これからはまた屋敷で仲良く暮らそうな」
……今さら何を仲良くするんですか。貴方たちの本性を知っている以上仲良くなんて出来るはずがない。
「お断りです。さっさとカレンの元へお帰りになってください。カレンが王太子妃になる日ももうすぐでしょう?」
「「…………」」
私がそう言うと、何故か元両親は黙りこくってしまいました。そしてお父様が重々しく口を開かれたのです。
「カレンなら、王太子との婚約を破棄してこの国を去った」
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