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久遠類 編
水槽のキャンバス
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「14時まで好きなところで絵を描いて帰る前に先生に渡すこと!いいか!勝手に帰るなよ!」
写生大会当日。
集合場所で千川先生がそう言った。
私たちはそれぞれ荷物を持ち自由行動となった。
「何描きに行く?」
私がそう言うと、澄華が「人喰いサメ!!!」
とはしゃぐように大きな声で言った。
「はいはい、お前はまた変なホラー映画観たな」
澄華はオカルトやホラー映画が大好きでよくひとりでに暴走することがある。
今回もそうだろう、と火憐が呆れた様子で言った。
正解!と言いたそうに澄華がニヤリと笑った。
「…そういえば、この間澄華に貸してもらった本面白かったよ」
ふと、蛍が口を開いた。
本…。
蛍は私の隣の席に座っているが、そういえば最近朝行くと見たことも無い黒い本を読んでいたような気がする。
「あーっ!でしょでしょ~!ラヴクラフト面白いでしょぉ~!」
澄華が得意げにそう言った。
ラヴクラフト、名前だけは聞いたことあるけど
なんなのかさっぱり分からない。
「ラヴクラフト?」
蓮巳が眉間に皺を寄せてそう言った。
「そう!あ、今度みんなにも貸すねっ」
意気揚々とそう言った。
貸してほしいとは言ってないけど…とは誰も言えない。
こうなった澄華はもう誰の手でも止められないのだ。
話によれば最近クトゥルフ神話とやらに熱中しているらしい。
私たちが立ち止まり話し込んでいると火憐が注意してきた。
「この話おわり!つーか、早く場所取らないと時間なくなるじゃん!熱弁する澄華も悪いけど、急に本の話した蛍はなんなの?」
苛立つように火憐は蛍を睨んだ。
火憐の鋭い目に睨まれた蛍はびくっと肩をふるわせた。
「えっ……あ、ごめん。」
蛍は気まづそうに目を伏せた。
この2人は仲が悪い…という訳では無いけど少し気が合わないのだ。
多分お互い苦手なタイプって思ってるだと思う。
「まぁまぁ、とりあえず火憐の言う通り場所決めちゃおうよ」
私はそう言って館内マップを開いた。
みんなもそれを覗き込む。
「ふう…。どうにか間に合った。」
私たちは無事に絵を描き終え、ぐったりしていた。
時刻は13時半。
ぎりぎりだったがどうにか間に合ったのだ。
千川先生が待つ一階の受付の前へと私たちは歩いていた。
その途中で1番後ろにいた澄華が「あーーっ!」と声を上げた。
「帽子!!どっかで落としちゃったのかも!」
澄華が酷く慌てた様子でそう言った。
私たちは手分けして澄華の帽子を探すことにした。
「とりあえず焦ってもどうにもなんねーし、澄華はここでもう一度よくカバンの中を探してて、あたしはさっきの場所もう1回見てくる。
蓮巳は1階。類は2階。蛍は、5人の絵を先生に渡してきて。
あったら連絡して。とりあえずあってもなくても20分後にはここで落ち合おう。」
そう言って一目散に火憐は走って行った。
私達も顔を見合わせて頷き、各々の場所へと向かった。
「帽子…帽子…」
と探してみたはいいものの結局何も見つからなかった。
ため息をつき顔を上げると大きな水槽がそびえ立つ壁のように設置されていた。
魚たちが私の悩みなど知らずに自由奔放に泳いでいる。
ーー私もついこの間夢の中で海底を泳いでいたような気がする。
おかしなことにどんな夢だったかは思い出せない。
だが、そんな気がした。
疲れすぎて気が動転したのだろうか。
携帯を見るともうとっくに20分経っていた。
この水槽を見た時はまだ10分はあったのに。
10分もこの水槽の前に立ち尽くしていたのか。
変な人だと思われただろうな
そう思い周囲に目をやっても不思議とこの水槽の周りには誰も人がいなかった。
写生大会当日。
集合場所で千川先生がそう言った。
私たちはそれぞれ荷物を持ち自由行動となった。
「何描きに行く?」
私がそう言うと、澄華が「人喰いサメ!!!」
とはしゃぐように大きな声で言った。
「はいはい、お前はまた変なホラー映画観たな」
澄華はオカルトやホラー映画が大好きでよくひとりでに暴走することがある。
今回もそうだろう、と火憐が呆れた様子で言った。
正解!と言いたそうに澄華がニヤリと笑った。
「…そういえば、この間澄華に貸してもらった本面白かったよ」
ふと、蛍が口を開いた。
本…。
蛍は私の隣の席に座っているが、そういえば最近朝行くと見たことも無い黒い本を読んでいたような気がする。
「あーっ!でしょでしょ~!ラヴクラフト面白いでしょぉ~!」
澄華が得意げにそう言った。
ラヴクラフト、名前だけは聞いたことあるけど
なんなのかさっぱり分からない。
「ラヴクラフト?」
蓮巳が眉間に皺を寄せてそう言った。
「そう!あ、今度みんなにも貸すねっ」
意気揚々とそう言った。
貸してほしいとは言ってないけど…とは誰も言えない。
こうなった澄華はもう誰の手でも止められないのだ。
話によれば最近クトゥルフ神話とやらに熱中しているらしい。
私たちが立ち止まり話し込んでいると火憐が注意してきた。
「この話おわり!つーか、早く場所取らないと時間なくなるじゃん!熱弁する澄華も悪いけど、急に本の話した蛍はなんなの?」
苛立つように火憐は蛍を睨んだ。
火憐の鋭い目に睨まれた蛍はびくっと肩をふるわせた。
「えっ……あ、ごめん。」
蛍は気まづそうに目を伏せた。
この2人は仲が悪い…という訳では無いけど少し気が合わないのだ。
多分お互い苦手なタイプって思ってるだと思う。
「まぁまぁ、とりあえず火憐の言う通り場所決めちゃおうよ」
私はそう言って館内マップを開いた。
みんなもそれを覗き込む。
「ふう…。どうにか間に合った。」
私たちは無事に絵を描き終え、ぐったりしていた。
時刻は13時半。
ぎりぎりだったがどうにか間に合ったのだ。
千川先生が待つ一階の受付の前へと私たちは歩いていた。
その途中で1番後ろにいた澄華が「あーーっ!」と声を上げた。
「帽子!!どっかで落としちゃったのかも!」
澄華が酷く慌てた様子でそう言った。
私たちは手分けして澄華の帽子を探すことにした。
「とりあえず焦ってもどうにもなんねーし、澄華はここでもう一度よくカバンの中を探してて、あたしはさっきの場所もう1回見てくる。
蓮巳は1階。類は2階。蛍は、5人の絵を先生に渡してきて。
あったら連絡して。とりあえずあってもなくても20分後にはここで落ち合おう。」
そう言って一目散に火憐は走って行った。
私達も顔を見合わせて頷き、各々の場所へと向かった。
「帽子…帽子…」
と探してみたはいいものの結局何も見つからなかった。
ため息をつき顔を上げると大きな水槽がそびえ立つ壁のように設置されていた。
魚たちが私の悩みなど知らずに自由奔放に泳いでいる。
ーー私もついこの間夢の中で海底を泳いでいたような気がする。
おかしなことにどんな夢だったかは思い出せない。
だが、そんな気がした。
疲れすぎて気が動転したのだろうか。
携帯を見るともうとっくに20分経っていた。
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10分もこの水槽の前に立ち尽くしていたのか。
変な人だと思われただろうな
そう思い周囲に目をやっても不思議とこの水槽の周りには誰も人がいなかった。
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