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番外編.彼の名は筋肉仮面! 断罪の運命に抗う悲劇のヒーローである!
俺の唯一絶対の相棒よ! 俺を護る盾となれ!!
しおりを挟む「きーんにーっく、仮面さまぁぁぁ!」
駆けて行けば、黒ずくめの集団に囲まれるソルドレイドが、俺に向かって安堵の笑顔を向けて来た。学園1、2を争う魔法の腕前の彼女は、自身の戦闘力に自信を持っていて、よく護衛の者もつけずに遠方の孤児院に慰問に出かけている。帰りが遅くなるのもいつも通り。そんな行動にブラックマン伯爵が目を付けてしまったんだ。
俺の登場に気付いた刺客たちが、急いで彼女に襲い掛かる。けど彼女が何かボソボソと唱えると、刺客が転んだり、押し戻されたりして攻撃出来ないでいる気がするんだけど……助けが必要? んん??
「筋肉仮面様!! 私、襲われておりますっ! 助けてくださいませっ!!」
俺の困惑を余所に、ソルドレイドは「はい、はーいっ!」と、学校でやる気満々の生徒が挙手するみたいに真っすぐ片腕をあげて、その場で何度も小さなジャンプを繰り返している。
なんなら親父の刺客の方が、彼女の魔法に翻弄されて押されてる気がするんだけど。
「はやくっ! たーすーけーてー、くださいませっ!」
けど、助けてって言ってるんだよな。むーん。
些細なことで連立してしまう破滅フラグが怖い俺は、とにかく足を進める。親父の雇った刺客らは、腕の立つ奴等ばかりのはずだ。俺みたいなモブ学生が正面からぶつかっても、絶対に勝てる相手じゃないから恐ろしくて仕方がない。けど、ここで助けを求める女の子を見捨てたら完全に悪人だよな。
助けに向かえば、攻撃を受けて破滅。助けなければ、悪人街道突入で破滅。
どっちも破滅しかないなら、ちょっとでもましな方を選びたい!!
俺にとってのましな方とは――ギャルゲーの世界に生きているなら、可愛い女の子とキャッキャウフフのハッピーライフルート開拓に繋がる、女の子のために生きることだ!!
「俺の唯一絶対の相棒よ! 俺を護る盾となれ!!」
目を瞑りつつ、体中の筋肉に言い聞かせて、俺は剣持ち刺客集団の中へ飛び込んだ。
筋肉の加護を信じ、無意識に取っていたのは「サイドチェスト」のポーズだ。息を吸って胸郭を広げ、肩の三角筋を見せつけるため前にぐっと突き出す。更には両腕を体にぐっと引き寄せ、大胸筋を膨らませつつも、ダメ押し効果の上掛けで、胸を下から腕で寄せて上げて魅せる!
「おぉぉぉお! これが筋肉仮面!!」
男達の唸り声が響いてくる。このゲームの世界には魔法が存在する。だから、男達はそこそこ鍛えた筋肉……いわゆる細マッチョの状態で、華やかな見た目を維持しつつ、魔法の強化を掛けて筋肉のモチベーション以上の行使するのが一般的だ。だから、俺の纏う筋肉鎧は珍しいらしい。学園では、筋肉鎧に目覚めた者も現れだしてはいるがな。
そんな低い歓声を耳にした俺は、見慣れぬ筋肉鎧に恐れをなして、離れてくれ!! と祈りつつ、目を瞑って突っ込んで行く。
ぱし
「おぉ!」
ペタペタ
「ぅぉおぉっ!」
ぺちん
「わぁあ!」
俺の三角筋や上腕二頭筋にぶつかっては、低い叫びが上がる。いつもこうだ。筋肉鎧は触れる者に、俺には分からない効果をもたらすのかもしれない。
次々襲いかかる感触が、どんな状況で起こっているモノなのか全くわからん。目、瞑ったままだし……。
だが俺は、破滅フラグ回避のために、ひたすらソルドレイド目掛けて突き進むーー!!
むに
んんん? なんだ、このほやほや、ふにゃふにゃした、しっとりむっちりしたパン生地のような、マシュマロのような感触は??
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