40 / 45
第三部
37、医官さんにも分からない事だらけ
しおりを挟む
初めての診察は休暇を取得した八雲と一緒だった。自衛隊病院までは八雲の運転で行ったが、公共機関を使うと一時間弱かかる。総合病院なので紹介状がいるのだろうが、自衛隊関係者やその家族であれば外来受診も問題ないらしい。
もっとも問題ないように手筈したのは夫であり、医官である八雲だった。
「いいかい、ひより。僕がいない時の検診ははタクシーを使うんだ。重たいものはよくないから買い物は僕がする。決して無理はしないこと」
「あの、タクシーはよっぽどの時にします。会社だって電車で行っているし、それに先生はつわりがひどくない限りはいつも通り過ごしていいって言ってましたけど」
「そうか! 通勤があったか……僕がひよりを会社まで送ってじゃ、間に合わんか。ひより、仕事は」
「可能な限り続けますよ」
「そうだよな。ひよりならそう言うよな。ううむ、どうしたものか」
「あの、八雲さん」
まだまだ妊娠初期。見た目は妊娠だと分からない。多少のつわりはあるものの、今のところひよりは元気だ。
産科の先生は気にしすぎるのも良くないから、普段通りにしていいと言う。ただ、塩分糖分の摂りすぎには気をつけることと、激しい運動や飲酒は控えるようにとアドバイスをもらった。
「アイツは信用ならんなぁ。ひよりに何かあったらどうするんだ。妊娠は病人じゃないからこそ、気をつけなければならないというのに」
八雲の言うアイツはひよりの主治医であり、八雲の同期である。その同期を指名したのは何を隠そう八雲だ。
「早川先生は産科専門なんでしょう? その先生を信用しなくて誰を信じるんですか。だったら家から近いクリニックに変えますか?」
「それは絶対にダメだ。僕の目が届かない病院にひよりは預けられない」
「八雲さんてば……」
これはちょっと色んな意味で大変かもしれない。そうひよりは思った。いくら医師免許を持っていようが、妻の妊娠であれこれ心配するのはやめられないらしい。
「とりあえず、お母さんに連絡したらすごく喜んでくれたよ」
「それはよかった。会社にはいつ言うつもりだい」
「安定期に入ってからってよく聞くんですけど、安定期までがしんどそうだから、早めに言った方がいいかなって」
「そうだね。ひよりが一人で我慢しなくていいように、何かあったら協力してもらう体制を作ってもらうのは大事なことだよ。早めに伝えることは賛成だ」
「じゃあ、折を見て上司に報告します。あと、若菜さんにも! すごく心配してくれたから」
「そうだね。安達さんたちにも伝えた方がいいだろう。僕が居ない時は彼らに助けてもらうことになるからね」
病院からの帰りの車の中はこれからのことを話しながらだった。日々、変化していくひよりの体はさすがの八雲にも想像がつかないのだ。
「なんだか八雲さんの方が忙しそうね」
「うん? そんなことはないよ。ひよりがいちばん大変なんだ。僕はサポートしかできないからね」
「ふふふっ」
「何かおかしいこと、言ったかい?」
「ううん。八雲さんが旦那様でよかったなって、思ったの」
「それは光栄だね」
ひよりはまだぺちゃんこのお腹をそっと撫でた。この中に二人の子どもがいるなんて、とても不思議だった。小さな命が二人の間に降りてきてくれたことが、まるで奇跡のようだ。
(元気に大きくなってね。絶対にパパとママが守ってあげるからね)
◇
それから1週間がすぎた頃、
「あーん、ぎもぢわるい」
全然平気とはいかなかった。週数が進むにつれて、つわりというものが色んな角度から襲ってくる。
食べたいものが、見つからない。
想像しただけで胃がムカムカする。
口に入れてみないと食べられるか分からない。
お水すら臭いを感じるしムカムカして飲み込めない。
ずっと、船酔いをしているようだ。
起きていても横になっていても、とにかく気持ち悪いのだ。
「ひより……」
八雲はソファーに突っ伏すようにもたれ掛かかるひよひの背中をたださする。さすってもらって良くなるわけではないが、なんとなく気が紛れる気がする。
「何か口に入れた方がよくないか? 僕がなにか作るよ。何が食べられそうかな」
「うーん……わかんない」
「分からないか……」
正直、考えるのも億劫なのだが、心配する八雲にそんなことは言えない。お手上げ状態で落ち込む八雲に申し訳ないと思ってはいるけれど、どうにもできない。
「八雲さん」
「うん?」
「ごめんなさい。本当に、分からなくて」
「大丈夫だ。気にしなくていい。とりあえず、水分補給は必要だからスポーツドリンクでも買ってこようか」
「ありがとう」
「何かあったら電話するんだよ。ひよりのスマホ、ここに置いておくから」
「うん」
八雲はひよりに膝掛けをかけてやり、スマートフォンと鍵を持って部屋を出た。
玄関の扉を閉めて、エレベーターに乗った。一階のエントランスについて、ため息をひとつ。
「はぁ……」
「東隊長、なんとも大きなため息ですな」
ゴミ出しで外に出ていた安達が八雲の前に現れた。
「安達さん。いやいや、みっともないところを」
「ひよりさん、どうですか」
「気分がすぐれないみたいでして。まあ、なんといいますか……医者なのに何もできなくて申し訳ないという気持ちです」
「よかったらうちに寄りませんか。うちの経験者に聞いてみるのも案かと」
「ああ、なるほど。よろしいですか」
「もちろんです」
途方に暮れた八雲に助け舟を出したのは、頼りになる部下の安達陸曹長だった。3人の子どもを立派に育て上げた彼らなら、きっといいアイデアを持っているに違いない。
安達家にやってきた八雲は、さっそく若菜にひよりのことを相談した。気分が悪そうにしているのに、会社には行こうとすること。食べたいものが分からないということ。とにかく辛そうにしていることを伝えた。
「あらあら、隊長さん。ずいぶんとお疲れのようですね。ひよりさん、本格的につわりが始まったんですね。本人も辛いけれど、何もできない家族も辛いですね」
「しかも自分は医者なんで、よけいに」
「あはは。うちの人もそんなこと言ってたわ」
からっと笑う安達夫人に、不思議と八雲の気持ちが軽くなっていった。よくよく考えれば自分たちだけが試練に立ち向かっているかのように落ち込んでいた。ひよりだけが苦しいだけではない。八雲だけが何もできないと焦っているのではない。
親になった者は皆、通ってきた道なのだ。
「とにかく、できるだけ東さんも普通にするの。心配そうな顔して、大丈夫? て聞かれるとね、正直鬱陶しいのよ」
「え、鬱陶しかったんですか!」
「これがね、加減が難しくて。構ってくれないのもイヤなの。構われすぎるのもイヤなの。あとね、情緒不安定になりやすいから、突然泣いちゃったりするのよ」
「それはなかなか手強いな……」
八雲も頭を抱えてしまう。どちらかというと、構いたくて仕方がないのに構いすぎるなと言われたらちょっとキツイかもしれない。
「難しく考えなくていいのよ。そのままのひよりさんを受け止めてあげて。そのうち心配するくらい食べるようになるから。あ、そうだ。ちょっとメモしてくるから、お試しでひよりさんに作ってあげて。一口でも食べられたら褒めてあげてね」
若菜さんから渡されたメモには、食欲のないひより向けのレシピだった。何ひとつ手の込んだものはなく、素材の味が活かされたシンプルなものばかりだった。
キュウリの梅肉和え
そうめん
じゃこの焼きおにぎり
ところてん
「わたしはね、炊きたてのご飯がダメだったの。モワッとした湯気のあの感じがね。だから冷ましたご飯に水分を飛ばしたじゃこを混ぜるの。ポイントは魚の臭みはとばすこと。妊娠は鉄分とカルシウムが不足しがちなのよね」
「あの、水分補給はどうしたら。最近はスポーツドリンクも甘すぎでダメみたいでして」
「それなら、これ試してみて」
ハチミツレモンサワー
無糖炭酸、フレッシュレモン、ハチミツ。
「炭酸は強くないものにして。レモンはできれば生を絞って、ハチミツも甘すぎない程度にね。わたしはこれにずいぶん助けられたの」
「これなら家にあります。ありがとうございます。試してみます」
「なんでも聞いてくださいね。これでもわたし先輩だから」
「はい」
経験者に聞くのがいちばんいい。
医学の知識はあっても、つわりの辛さは分からない。医師としての処置はできても、妊婦というデリケートな心のケアは難しいものだ。
「安達さん助かりました。ありがとうございます」
「何もできない辛さは自分も経験しました。隊長だけができないわけじゃないんですよ。もとより男は何もできない」
「そうですね。これからそんな事ばかりなんでしょうね」
「でも、ひよりさんなら大丈夫ですよ。隊長のこと、鬱陶しいなんて思いませんよ」
「まいったな。それをいちばん気にしていたんですよ」
「そうでしょうな」
「「あはは」」
安達夫妻が近くにいて本当によかった。八雲はこれまで幾度もそう思ったが、今回はこれまで以上にそう思ったかもしれない。
翌日、部隊を超えて水面下に迅速に以下の情報が広まった。
『東夫人、絶賛つわり中』
むろん、八雲は知らない。
もっとも問題ないように手筈したのは夫であり、医官である八雲だった。
「いいかい、ひより。僕がいない時の検診ははタクシーを使うんだ。重たいものはよくないから買い物は僕がする。決して無理はしないこと」
「あの、タクシーはよっぽどの時にします。会社だって電車で行っているし、それに先生はつわりがひどくない限りはいつも通り過ごしていいって言ってましたけど」
「そうか! 通勤があったか……僕がひよりを会社まで送ってじゃ、間に合わんか。ひより、仕事は」
「可能な限り続けますよ」
「そうだよな。ひよりならそう言うよな。ううむ、どうしたものか」
「あの、八雲さん」
まだまだ妊娠初期。見た目は妊娠だと分からない。多少のつわりはあるものの、今のところひよりは元気だ。
産科の先生は気にしすぎるのも良くないから、普段通りにしていいと言う。ただ、塩分糖分の摂りすぎには気をつけることと、激しい運動や飲酒は控えるようにとアドバイスをもらった。
「アイツは信用ならんなぁ。ひよりに何かあったらどうするんだ。妊娠は病人じゃないからこそ、気をつけなければならないというのに」
八雲の言うアイツはひよりの主治医であり、八雲の同期である。その同期を指名したのは何を隠そう八雲だ。
「早川先生は産科専門なんでしょう? その先生を信用しなくて誰を信じるんですか。だったら家から近いクリニックに変えますか?」
「それは絶対にダメだ。僕の目が届かない病院にひよりは預けられない」
「八雲さんてば……」
これはちょっと色んな意味で大変かもしれない。そうひよりは思った。いくら医師免許を持っていようが、妻の妊娠であれこれ心配するのはやめられないらしい。
「とりあえず、お母さんに連絡したらすごく喜んでくれたよ」
「それはよかった。会社にはいつ言うつもりだい」
「安定期に入ってからってよく聞くんですけど、安定期までがしんどそうだから、早めに言った方がいいかなって」
「そうだね。ひよりが一人で我慢しなくていいように、何かあったら協力してもらう体制を作ってもらうのは大事なことだよ。早めに伝えることは賛成だ」
「じゃあ、折を見て上司に報告します。あと、若菜さんにも! すごく心配してくれたから」
「そうだね。安達さんたちにも伝えた方がいいだろう。僕が居ない時は彼らに助けてもらうことになるからね」
病院からの帰りの車の中はこれからのことを話しながらだった。日々、変化していくひよりの体はさすがの八雲にも想像がつかないのだ。
「なんだか八雲さんの方が忙しそうね」
「うん? そんなことはないよ。ひよりがいちばん大変なんだ。僕はサポートしかできないからね」
「ふふふっ」
「何かおかしいこと、言ったかい?」
「ううん。八雲さんが旦那様でよかったなって、思ったの」
「それは光栄だね」
ひよりはまだぺちゃんこのお腹をそっと撫でた。この中に二人の子どもがいるなんて、とても不思議だった。小さな命が二人の間に降りてきてくれたことが、まるで奇跡のようだ。
(元気に大きくなってね。絶対にパパとママが守ってあげるからね)
◇
それから1週間がすぎた頃、
「あーん、ぎもぢわるい」
全然平気とはいかなかった。週数が進むにつれて、つわりというものが色んな角度から襲ってくる。
食べたいものが、見つからない。
想像しただけで胃がムカムカする。
口に入れてみないと食べられるか分からない。
お水すら臭いを感じるしムカムカして飲み込めない。
ずっと、船酔いをしているようだ。
起きていても横になっていても、とにかく気持ち悪いのだ。
「ひより……」
八雲はソファーに突っ伏すようにもたれ掛かかるひよひの背中をたださする。さすってもらって良くなるわけではないが、なんとなく気が紛れる気がする。
「何か口に入れた方がよくないか? 僕がなにか作るよ。何が食べられそうかな」
「うーん……わかんない」
「分からないか……」
正直、考えるのも億劫なのだが、心配する八雲にそんなことは言えない。お手上げ状態で落ち込む八雲に申し訳ないと思ってはいるけれど、どうにもできない。
「八雲さん」
「うん?」
「ごめんなさい。本当に、分からなくて」
「大丈夫だ。気にしなくていい。とりあえず、水分補給は必要だからスポーツドリンクでも買ってこようか」
「ありがとう」
「何かあったら電話するんだよ。ひよりのスマホ、ここに置いておくから」
「うん」
八雲はひよりに膝掛けをかけてやり、スマートフォンと鍵を持って部屋を出た。
玄関の扉を閉めて、エレベーターに乗った。一階のエントランスについて、ため息をひとつ。
「はぁ……」
「東隊長、なんとも大きなため息ですな」
ゴミ出しで外に出ていた安達が八雲の前に現れた。
「安達さん。いやいや、みっともないところを」
「ひよりさん、どうですか」
「気分がすぐれないみたいでして。まあ、なんといいますか……医者なのに何もできなくて申し訳ないという気持ちです」
「よかったらうちに寄りませんか。うちの経験者に聞いてみるのも案かと」
「ああ、なるほど。よろしいですか」
「もちろんです」
途方に暮れた八雲に助け舟を出したのは、頼りになる部下の安達陸曹長だった。3人の子どもを立派に育て上げた彼らなら、きっといいアイデアを持っているに違いない。
安達家にやってきた八雲は、さっそく若菜にひよりのことを相談した。気分が悪そうにしているのに、会社には行こうとすること。食べたいものが分からないということ。とにかく辛そうにしていることを伝えた。
「あらあら、隊長さん。ずいぶんとお疲れのようですね。ひよりさん、本格的につわりが始まったんですね。本人も辛いけれど、何もできない家族も辛いですね」
「しかも自分は医者なんで、よけいに」
「あはは。うちの人もそんなこと言ってたわ」
からっと笑う安達夫人に、不思議と八雲の気持ちが軽くなっていった。よくよく考えれば自分たちだけが試練に立ち向かっているかのように落ち込んでいた。ひよりだけが苦しいだけではない。八雲だけが何もできないと焦っているのではない。
親になった者は皆、通ってきた道なのだ。
「とにかく、できるだけ東さんも普通にするの。心配そうな顔して、大丈夫? て聞かれるとね、正直鬱陶しいのよ」
「え、鬱陶しかったんですか!」
「これがね、加減が難しくて。構ってくれないのもイヤなの。構われすぎるのもイヤなの。あとね、情緒不安定になりやすいから、突然泣いちゃったりするのよ」
「それはなかなか手強いな……」
八雲も頭を抱えてしまう。どちらかというと、構いたくて仕方がないのに構いすぎるなと言われたらちょっとキツイかもしれない。
「難しく考えなくていいのよ。そのままのひよりさんを受け止めてあげて。そのうち心配するくらい食べるようになるから。あ、そうだ。ちょっとメモしてくるから、お試しでひよりさんに作ってあげて。一口でも食べられたら褒めてあげてね」
若菜さんから渡されたメモには、食欲のないひより向けのレシピだった。何ひとつ手の込んだものはなく、素材の味が活かされたシンプルなものばかりだった。
キュウリの梅肉和え
そうめん
じゃこの焼きおにぎり
ところてん
「わたしはね、炊きたてのご飯がダメだったの。モワッとした湯気のあの感じがね。だから冷ましたご飯に水分を飛ばしたじゃこを混ぜるの。ポイントは魚の臭みはとばすこと。妊娠は鉄分とカルシウムが不足しがちなのよね」
「あの、水分補給はどうしたら。最近はスポーツドリンクも甘すぎでダメみたいでして」
「それなら、これ試してみて」
ハチミツレモンサワー
無糖炭酸、フレッシュレモン、ハチミツ。
「炭酸は強くないものにして。レモンはできれば生を絞って、ハチミツも甘すぎない程度にね。わたしはこれにずいぶん助けられたの」
「これなら家にあります。ありがとうございます。試してみます」
「なんでも聞いてくださいね。これでもわたし先輩だから」
「はい」
経験者に聞くのがいちばんいい。
医学の知識はあっても、つわりの辛さは分からない。医師としての処置はできても、妊婦というデリケートな心のケアは難しいものだ。
「安達さん助かりました。ありがとうございます」
「何もできない辛さは自分も経験しました。隊長だけができないわけじゃないんですよ。もとより男は何もできない」
「そうですね。これからそんな事ばかりなんでしょうね」
「でも、ひよりさんなら大丈夫ですよ。隊長のこと、鬱陶しいなんて思いませんよ」
「まいったな。それをいちばん気にしていたんですよ」
「そうでしょうな」
「「あはは」」
安達夫妻が近くにいて本当によかった。八雲はこれまで幾度もそう思ったが、今回はこれまで以上にそう思ったかもしれない。
翌日、部隊を超えて水面下に迅速に以下の情報が広まった。
『東夫人、絶賛つわり中』
むろん、八雲は知らない。
22
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる