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プロローグ1.2
始まりには終わりがつきもの
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俺の名前は湊光矢。こうやと読む。
前はミュージシャンをしていたが、なんか嫌になって辞めて今は転職活動をしている。歳は29だ。そろそろ定職に就かねばと思い、ハローワークを始め色んな企業に応募しているんだが、中々就職先が決まらない。というのもミュージシャンをやっていた間ってのは基本的に職歴なるものがなく、面接までこぎ着けても音楽やってました、って言うと鼻で笑われる。ロックに生きてきた俺にとっちゃ、頭が岩みてえに固い奴なんて縁が無いから断られてもなんもダメージもないんだが。
ないんだが………………
そろそろ金がやばい。
何がやばいって俺の金の使い方に問題があるんだが、俺の心を轢いてくるものが悪い。
だって、コンセレでシン・○面ライダーの変身ベルトタイフーン一号と二号出るって聞いたら予約するしかないだろ。これで十万ほど金が消し飛んで、生活が危ういのだ。
自制心がないのは昔からだが、俺はこれを悪いとは思ってない。大事なものというのは行動、もの、人、出来事問わず皆が妥協しない。俺はそれを生活の全てに振りまいている。お陰で普段からあまりストレスを抱えなくて済んでいる。
が、ここまで転職活動が厳しいものとなると話は違う。流石に音楽でここまでやって来られた俺の全てを否定する連中ばかりが世の中にうじゃうじゃいるとか思ってもみなかったぜ。
でも俺は折れねえ(おもしろギャグ)。
今日は日が暮れて他のエージェントも閉まるから帰るけど、明日には絶対いい企業見つけてやるぜ………………!
待ってろよ、俺のゲームクリエイターの夢! いつか絶対ファイナル○ァンタジーを再興させて見せるからな!
とはいうものの、万が一企業に入れなかった時の事を考えて、一応自分で作るようにはしてる。だが、コードの意味とかが全然分からんのでプログラミングスクールなるものに通っているんだが、これが中々言ってること意味分からん。ギターのコードなら分かるんだが。
と言うわけで、俺は今からそこへ向かう。
人も多ければ道も複雑なこの都会の街だが、住み続ければなんとなく道が分かってくるもので、自分の手のひらみたいに、この人はここへ行くんだろう、とか、あの人はエッチな店に行くんだろう、ホストに行くんだろう、仕事に行くんだろう、って想像も出来るようになる。
他の連中はどう考えてるんだろう………
人を蔑む事はあまり好きじゃないが、どうせ皆は個人の事でいっぱいいっぱいだろうから、人間観察なんかやる余裕ないんだろうな。俺はどれだけ切羽詰まってても人間観察辞めんけど。
どうせなら色んな物事を良いように捉えたい。心の中の真実はどうであれ、起こってしまった事実の積み重ねがどうであれ、全ての人に幸あれ、と。
もし困っていたら、手を差し伸べるし、そうした方が物事も、自分も良いように転がっていく。今までもそうだった。だから、これからも――――――
「おい! じいさん! あぶねえぞ!」
男の声だ。道路を挟んで向かい側の歩道スーツの男が道路上でふらふら歩いている老人に目をやって言ったんだろう。
だが、その老人はどうも聞く耳を持っていないようで、男の声の一切を無視している――――――違う。老人の耳をよく見てみると補聴器が取り付けてあった。恐らく壊れてるのか、電源が切れてしまっているのか、とにかくアレは機能していない、と見れる。
まさに聞く耳が無い………とかいうギャグをかますのはこの場では不謹慎だから置いといて、流石にこの場で何もせずにはいられない。
俺は咄嗟に道路に飛び出した。
どういう因果か、老人の元へ辿りつくまで、横から行き交う車を全て避けていて、ようやくその手が彼の肩に届いた時だった。
目映い閃光が俺の視界を真っ白に染め上げた。何故か浮いている感覚があって、耳から得られる音という情報も全てが籠もって受け取れない。
そして、身体が動かない。
自分に何があったのか、察する間もなく次に視界に飛び込んできたのは、俺の過去の記憶の全てだ。
ああ、小学校一年の頃に初めて好きな子が出来たっけ。
んで、中二で初めて彼女が出来て、二週間で別れて………
高三で音楽を始めて、受かってた大学蹴ってバイトしながら、バンド組んで、二年で解散して、俺一人になって、そっからテレビ出るようになって………
でも、有名なロックスターのように、28で死ねなかったから、俺は伝説になれないって自分でレッテル貼って、音楽突然辞めて………
はは、なにやってんだ……… 俺。
前はミュージシャンをしていたが、なんか嫌になって辞めて今は転職活動をしている。歳は29だ。そろそろ定職に就かねばと思い、ハローワークを始め色んな企業に応募しているんだが、中々就職先が決まらない。というのもミュージシャンをやっていた間ってのは基本的に職歴なるものがなく、面接までこぎ着けても音楽やってました、って言うと鼻で笑われる。ロックに生きてきた俺にとっちゃ、頭が岩みてえに固い奴なんて縁が無いから断られてもなんもダメージもないんだが。
ないんだが………………
そろそろ金がやばい。
何がやばいって俺の金の使い方に問題があるんだが、俺の心を轢いてくるものが悪い。
だって、コンセレでシン・○面ライダーの変身ベルトタイフーン一号と二号出るって聞いたら予約するしかないだろ。これで十万ほど金が消し飛んで、生活が危ういのだ。
自制心がないのは昔からだが、俺はこれを悪いとは思ってない。大事なものというのは行動、もの、人、出来事問わず皆が妥協しない。俺はそれを生活の全てに振りまいている。お陰で普段からあまりストレスを抱えなくて済んでいる。
が、ここまで転職活動が厳しいものとなると話は違う。流石に音楽でここまでやって来られた俺の全てを否定する連中ばかりが世の中にうじゃうじゃいるとか思ってもみなかったぜ。
でも俺は折れねえ(おもしろギャグ)。
今日は日が暮れて他のエージェントも閉まるから帰るけど、明日には絶対いい企業見つけてやるぜ………………!
待ってろよ、俺のゲームクリエイターの夢! いつか絶対ファイナル○ァンタジーを再興させて見せるからな!
とはいうものの、万が一企業に入れなかった時の事を考えて、一応自分で作るようにはしてる。だが、コードの意味とかが全然分からんのでプログラミングスクールなるものに通っているんだが、これが中々言ってること意味分からん。ギターのコードなら分かるんだが。
と言うわけで、俺は今からそこへ向かう。
人も多ければ道も複雑なこの都会の街だが、住み続ければなんとなく道が分かってくるもので、自分の手のひらみたいに、この人はここへ行くんだろう、とか、あの人はエッチな店に行くんだろう、ホストに行くんだろう、仕事に行くんだろう、って想像も出来るようになる。
他の連中はどう考えてるんだろう………
人を蔑む事はあまり好きじゃないが、どうせ皆は個人の事でいっぱいいっぱいだろうから、人間観察なんかやる余裕ないんだろうな。俺はどれだけ切羽詰まってても人間観察辞めんけど。
どうせなら色んな物事を良いように捉えたい。心の中の真実はどうであれ、起こってしまった事実の積み重ねがどうであれ、全ての人に幸あれ、と。
もし困っていたら、手を差し伸べるし、そうした方が物事も、自分も良いように転がっていく。今までもそうだった。だから、これからも――――――
「おい! じいさん! あぶねえぞ!」
男の声だ。道路を挟んで向かい側の歩道スーツの男が道路上でふらふら歩いている老人に目をやって言ったんだろう。
だが、その老人はどうも聞く耳を持っていないようで、男の声の一切を無視している――――――違う。老人の耳をよく見てみると補聴器が取り付けてあった。恐らく壊れてるのか、電源が切れてしまっているのか、とにかくアレは機能していない、と見れる。
まさに聞く耳が無い………とかいうギャグをかますのはこの場では不謹慎だから置いといて、流石にこの場で何もせずにはいられない。
俺は咄嗟に道路に飛び出した。
どういう因果か、老人の元へ辿りつくまで、横から行き交う車を全て避けていて、ようやくその手が彼の肩に届いた時だった。
目映い閃光が俺の視界を真っ白に染め上げた。何故か浮いている感覚があって、耳から得られる音という情報も全てが籠もって受け取れない。
そして、身体が動かない。
自分に何があったのか、察する間もなく次に視界に飛び込んできたのは、俺の過去の記憶の全てだ。
ああ、小学校一年の頃に初めて好きな子が出来たっけ。
んで、中二で初めて彼女が出来て、二週間で別れて………
高三で音楽を始めて、受かってた大学蹴ってバイトしながら、バンド組んで、二年で解散して、俺一人になって、そっからテレビ出るようになって………
でも、有名なロックスターのように、28で死ねなかったから、俺は伝説になれないって自分でレッテル貼って、音楽突然辞めて………
はは、なにやってんだ……… 俺。
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