龍神の巫女の助手になる~大学生編~

ぽとりひょん

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6章 河童

プロローグ

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 皿無川さらなしがわでは、人を水中に引きずり込み、内臓を食べる妖怪が住み着いている。
 カワロウと呼ばれ、子供位の大きさで全身毛が生え、手と足には水かきがある。
 1年のうちに何人もの犠牲者がでるが、村人たちは有効な手を打てずにいる。
 村人が困り果てていたところ、村の力自慢の太助たすけがカワロウの退治に名乗りを上げる。
 太助は川辺でカワロウが現れるのを待つ。
 3日目の夕方、太助は何かに足を取られる。
 太助は転ぶが、力任せに川から這い上がると右足にカワロウが取りついている。
 カワロウは、陸に上がると水中に逃げようとするが、太助は逃すまいと捕まえようとする。
 太助とカワロウはつかみ合い力比べになる。
 太助の活躍を村中の人が見に来ている。
 カワロウの力に太助は屈しそうになるが、みんなに負ける所など見せられない。
 太助は外掛けでカワロウを倒すとカワロウの首を絞める。
 カワロウも太助の首を絞める。
 しばらくすると骨の砕ける音がする。
 村人が見守る中、太助が立ち上がる。
 太助は、カワロウの首の骨を砕いたのだ。
 カワロウの死体は、その場で村人に焼かれる。
 太助は村の英雄になる。
 その晩、太助の活躍を肴に村で宴が開かれる。
 しかし、太助は宴の途中で倒れる。
 村人たちは、太助は戦いの疲れが出たのだと考える。
 太助はその日から高熱にうなされ続ける。
 半月後、太助はそのまま息を引き取る。
 村では、その後、カワロウの被害はなくなる。
 太助とカワロウのことは村で語り継がれる。
 その話は時代を経て、太助と河童の話になって語られてゆくことになる。
 村は西浦町にしうらちょうになり、皿無川はきれいな清流を保っている。
 皿無川は流れの穏やかな川で、近くにキャンプ場もあり、町の観光資源になっている。
 そして、太助と河童が河原で相撲を取ったとされ、川沿いのサイクリングロードには、太助とかわいい河童が相撲を取っている像が置かれている。
 長年、皿無川では水死者は出ていない。
 ところがある年、続けて4人の水死者が出る。
 中には目撃者がいるものもあり、目撃者は一様に見えない何かに引きずり込まれたようだと言う。
 町では、皿無川は大切な観光資源である。
 町議会で、皿無川の事件が取り上げられる。
 「犠牲者の方々にはお悔やみ申し上げます。しかし、これは私たちの死活問題です。」
 「河童に引きずり込まれたのではと言う話もあります。」
 「困りますな。河童のイメージが悪くなります。」
 「とりあえず遊泳区域を設けて監視員を置きましょう。」
 「それでは、根本的な解決になりません。」
 「マスコミには、何かに引きずり込まれたと書かれていますぞ。」
 「これでは町のイメージが悪くなります。」
 「何か良い手はないですか。」
 「神主にお祓いしてもらいましょう。その後、水死者を出さなければよいのです。」
 「そうですな。」
町では、皿無川の河原で神主がお祓いをして、遊泳区域を決め、監視員を置くことになる。
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