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10章 管狐
4話 五條へ襲撃
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祐二は沙衣に質問する。
「沙衣、呪いはどうなったの。」「呪いは壊れたわ。」
「どうやったの。」「祐二、あなたがやったのよ。」
「僕は抱きしめただけだよ。」「祐二には、破魔の力があるみたいよ。」
「これから役に立つかな。」「どうやって、力を使えばいいのかわからないでしょ。」
「分からないと言うより、力があるのが判らないよ。」「なら役には立たないわね。荷物持ちに専念しなさい。」
「沙衣、これからどうするの。」「五條に乗り込んで美湖に会うわ。」
そう言うと沙衣は着替えを始める。祐二は、ぼ~っと見ている。
沙衣の手が止まる。そして、祐二を睨みつける。
「どうしたの、沙衣?」「着替えるから出ていきなさい。」
沙衣は、祐二を部屋から蹴りだす。
その頃、五條家の離れでは、沙衣にかけた呪いの陣がはじけて壊れる。見ていた美湖が言う。
「沙衣が乗り込んでくるわ。」「どうしましょう。皆殺しになるのかしら。」
美月が顔を青くして言う。
「沙衣には、私が会います。」
美湖が言う。美湖は沙衣の性格ならただでは済まないだろうと思う。殺そうとして失敗したのだから沙衣には復讐する権利があると思う。
美湖には沙衣どうやって呪いを消したのかわからない。呪詛が返って来なかったので呪いは消えたとしか思えない。
沙衣は祐二と事務所に行き、ロードスターに乗ると五條家に向かう。祐二は心配になって沙衣に言う。
「五條の人たちを殺したりしないよね。」「私を殺そうとした人たちをかばうの。」
祐二は沙衣が鏡にとじ込まれた時、一緒に解決しようとしたことがある。知っている人たちを沙衣が手にかける所は見たくない。
「五條の人たちは仲間じゃないの。」「許せと言うの。」
「そこまでは言わないけど、殺すのは良くないよ。」「私、敵は殺すことにしているの。」
「彼らは敵じゃないよ。仕事でこうなっただけだよ。」「殺そうとしたことに変わりはないわ。」
「鏡魔の姿見にとじ込まれた時には助けてくれたよ。」「仕事料は払ったわ。」
「なら、迷惑料を払ってもらおうよ。」「・・・」
沙衣は黙り込む。彼女にとって、自分を殺そうとした五條は敵である。襲撃して美湖を殺すのは当然のことである。
しかし、祐二は五條を助けろと言う。祐二は助手に過ぎないから無視すればよいのであるが、なぜかできないでいる。
2人は、五條家に着く。正門の横の脇戸にあるインターフォンを鳴らす。応答はない。祐二は沙衣に言う。
「留守みたいだから出直そうよ。」「留守と言うことはありえないわ。」
沙衣は、ミネラルウォーターのペットボトルから水を出し水の刀を作る。そして、脇戸の木製開き戸を切る。
彼女は、壊した脇戸から中に入る。祐二も後に続く。沙衣はまっすぐ玄関に歩いていくと玄関の引き戸を水の刀で切る。
家に中は、夜なのに灯りはない。祐二が沙衣に言う。
「乱暴だよ。それに暗いから留守かもしれないよ。」「気を付けて、息を殺して潜んでいるのよ。」
沙衣は迷うことなく家の中に入り、廊下を歩いていく。そして、離れに行くと灯りの灯っている部屋がある。
彼女は迷わずその部屋へ行く。部屋には美湖が正座している。美湖は沙衣に言う。
「随分、乱暴な訪問ね。」「歓迎されていないようだから仕方ないわ。」
「よく無事に済みましたね。」「私、死にかかったのよ。」
「どうやって呪いを消したの。」「秘密よ。」
「私を殺しに来たの。」「命乞いはしないの。」
「私は、自分の仕事をしただけよ。」「失敗したら死ぬことになるとは思わなかったの。」
「私の呪いは完璧よ。」「でも、生きているわよ。」
「そうね、非常識だわ。」「もう覚悟はできているのかしら。」
「怖いわよ。」「なら、命乞いしたら。」
「して助かるなら何でもするわ。」「依頼者を教えて。」
「教えられないわ。」「何でもすると言ったでしょ。」
「あなたは依頼者を教えたりできるの。」「するわけないでしょ。」
「私も同じよ。」「お金で解決してもいいのよ。」
「意外ね。殺しに来たと思っていたのよ。」「私もそのつもりだったけど、鏡魔の姿見の時は助けてもらっているわ。」
「いくら、払えばいいのかしら。」「私の殺しの依頼料と同額よ。」
「分かったわ。払います。」「祐二に礼を言うのね。」
沙衣は言いながら、祐二を見る。美湖は祐二を見て言う。
「祐二、礼を言うわ。お礼は体で払えばいいかしら。」「け、結構です。」
沙衣の祐二を見る目が冷たくなる。
「祐二、どういうこと。」「僕にもわかりません。」
「母が私の婿に祐二を欲しがっているのよ。」「これは私の助手です。」
「なら、恋人でもないのね。」「そうよ。」
「私がもらっていいのね。」「よくないわ。」
「僕の意思は、どうなるんですか。」
「黙っていて。」「助手は引っ込んでなさい。」
いつの間にか、部屋に美月と樹が現れている。
美月が現金を持つて来ている。アタッシュケースを開けると札束が詰まっている。沙衣は札束の山を見て言う。
「随分、私の値段は高いようですね。」「失敗した時が怖いですから。」
美月が言う。美月は祐二に言う。
「美湖と結婚しませんか。」「僕は沙衣が好きですから。」
「落とすのは大変ですよ。簡単に手に入る幸せの方が良くありませんか。」「僕の気持ちは変わりません。」
「そうですか。残念です。」
美月は五條が命を拾っただけで良しとする。
「沙衣、呪いはどうなったの。」「呪いは壊れたわ。」
「どうやったの。」「祐二、あなたがやったのよ。」
「僕は抱きしめただけだよ。」「祐二には、破魔の力があるみたいよ。」
「これから役に立つかな。」「どうやって、力を使えばいいのかわからないでしょ。」
「分からないと言うより、力があるのが判らないよ。」「なら役には立たないわね。荷物持ちに専念しなさい。」
「沙衣、これからどうするの。」「五條に乗り込んで美湖に会うわ。」
そう言うと沙衣は着替えを始める。祐二は、ぼ~っと見ている。
沙衣の手が止まる。そして、祐二を睨みつける。
「どうしたの、沙衣?」「着替えるから出ていきなさい。」
沙衣は、祐二を部屋から蹴りだす。
その頃、五條家の離れでは、沙衣にかけた呪いの陣がはじけて壊れる。見ていた美湖が言う。
「沙衣が乗り込んでくるわ。」「どうしましょう。皆殺しになるのかしら。」
美月が顔を青くして言う。
「沙衣には、私が会います。」
美湖が言う。美湖は沙衣の性格ならただでは済まないだろうと思う。殺そうとして失敗したのだから沙衣には復讐する権利があると思う。
美湖には沙衣どうやって呪いを消したのかわからない。呪詛が返って来なかったので呪いは消えたとしか思えない。
沙衣は祐二と事務所に行き、ロードスターに乗ると五條家に向かう。祐二は心配になって沙衣に言う。
「五條の人たちを殺したりしないよね。」「私を殺そうとした人たちをかばうの。」
祐二は沙衣が鏡にとじ込まれた時、一緒に解決しようとしたことがある。知っている人たちを沙衣が手にかける所は見たくない。
「五條の人たちは仲間じゃないの。」「許せと言うの。」
「そこまでは言わないけど、殺すのは良くないよ。」「私、敵は殺すことにしているの。」
「彼らは敵じゃないよ。仕事でこうなっただけだよ。」「殺そうとしたことに変わりはないわ。」
「鏡魔の姿見にとじ込まれた時には助けてくれたよ。」「仕事料は払ったわ。」
「なら、迷惑料を払ってもらおうよ。」「・・・」
沙衣は黙り込む。彼女にとって、自分を殺そうとした五條は敵である。襲撃して美湖を殺すのは当然のことである。
しかし、祐二は五條を助けろと言う。祐二は助手に過ぎないから無視すればよいのであるが、なぜかできないでいる。
2人は、五條家に着く。正門の横の脇戸にあるインターフォンを鳴らす。応答はない。祐二は沙衣に言う。
「留守みたいだから出直そうよ。」「留守と言うことはありえないわ。」
沙衣は、ミネラルウォーターのペットボトルから水を出し水の刀を作る。そして、脇戸の木製開き戸を切る。
彼女は、壊した脇戸から中に入る。祐二も後に続く。沙衣はまっすぐ玄関に歩いていくと玄関の引き戸を水の刀で切る。
家に中は、夜なのに灯りはない。祐二が沙衣に言う。
「乱暴だよ。それに暗いから留守かもしれないよ。」「気を付けて、息を殺して潜んでいるのよ。」
沙衣は迷うことなく家の中に入り、廊下を歩いていく。そして、離れに行くと灯りの灯っている部屋がある。
彼女は迷わずその部屋へ行く。部屋には美湖が正座している。美湖は沙衣に言う。
「随分、乱暴な訪問ね。」「歓迎されていないようだから仕方ないわ。」
「よく無事に済みましたね。」「私、死にかかったのよ。」
「どうやって呪いを消したの。」「秘密よ。」
「私を殺しに来たの。」「命乞いはしないの。」
「私は、自分の仕事をしただけよ。」「失敗したら死ぬことになるとは思わなかったの。」
「私の呪いは完璧よ。」「でも、生きているわよ。」
「そうね、非常識だわ。」「もう覚悟はできているのかしら。」
「怖いわよ。」「なら、命乞いしたら。」
「して助かるなら何でもするわ。」「依頼者を教えて。」
「教えられないわ。」「何でもすると言ったでしょ。」
「あなたは依頼者を教えたりできるの。」「するわけないでしょ。」
「私も同じよ。」「お金で解決してもいいのよ。」
「意外ね。殺しに来たと思っていたのよ。」「私もそのつもりだったけど、鏡魔の姿見の時は助けてもらっているわ。」
「いくら、払えばいいのかしら。」「私の殺しの依頼料と同額よ。」
「分かったわ。払います。」「祐二に礼を言うのね。」
沙衣は言いながら、祐二を見る。美湖は祐二を見て言う。
「祐二、礼を言うわ。お礼は体で払えばいいかしら。」「け、結構です。」
沙衣の祐二を見る目が冷たくなる。
「祐二、どういうこと。」「僕にもわかりません。」
「母が私の婿に祐二を欲しがっているのよ。」「これは私の助手です。」
「なら、恋人でもないのね。」「そうよ。」
「私がもらっていいのね。」「よくないわ。」
「僕の意思は、どうなるんですか。」
「黙っていて。」「助手は引っ込んでなさい。」
いつの間にか、部屋に美月と樹が現れている。
美月が現金を持つて来ている。アタッシュケースを開けると札束が詰まっている。沙衣は札束の山を見て言う。
「随分、私の値段は高いようですね。」「失敗した時が怖いですから。」
美月が言う。美月は祐二に言う。
「美湖と結婚しませんか。」「僕は沙衣が好きですから。」
「落とすのは大変ですよ。簡単に手に入る幸せの方が良くありませんか。」「僕の気持ちは変わりません。」
「そうですか。残念です。」
美月は五條が命を拾っただけで良しとする。
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